本企画は、教育思想史研究としても長らく対象とされてきた教養主義研究について、教養そのものの是非を問い正す、自由闊達な討議と交流を企図するものである。そのために今回は、近年精力的に教養研究を展開し、著作を上梓している松井健人会員(東洋大学)の本年度刊行著作『大正教養主義の成立と末路』の合評会を執り行う。それによって、狭義の教育学に限定されない、開かれた教育思想史の議論を行いたい。
今回は本書に対して、会員からは本郷直人会員(慶應義塾大学・院生)を、日本文学・日本思想史研究の視点からは中野綾子氏(八洲学園大学)、栗原悠氏(総合研究大学院大学/国文学研究資料館)をそれぞれ報告者としてお招きし、コメントを頂く。その上で、指定討論者として著者の松井健人会員からの応答を頂くことで、学会員内外そして領域を跨ぐ学際的な議論を展開していきたい。