散光星雲など
散光星雲など
散光星雲は、宇宙空間でガスやチリが集まってできた雲のような天体です。これらのガスやチリは、近くの恒星(星)から放出された強い光や熱エネルギーを受けて輝いています。
散光星雲はつぎのように分類されます
輝線星雲: ガスが恒星の紫外線を受けて電離し、特有の色の光を放出することで輝きます。オリオン大星雲などが代表的な例です。
反射星雲: ガスやチリが近くの恒星の光を反射して輝きます。プレアデス星団周辺の青い反射星雲などが有名です。
(※ この写真集では輝線星雲を散光星雲という名称で取り扱っています)
Sh2-171、172
カシオペア座~ケフェウス座
クエスチョンマーク星雲
はてなマークに似ているので、「クエスチョンマーク星雲」とか「はてな星雲」と呼ばれている散光星雲です。
Sh2-308
おおいぬ座
ミルクポット星雲、イルカの頭(dolphin head)星雲
Sh2-308も光が淡いため撮影の難易度が高い星雲です。またこの星雲は超新星残骸ではなく、中心星が放出したガス成分が実体だそうで惑星状星雲の範疇に入るようですが、普通は散光星雲とされているようです。
中心星が青色巨星(ウォルフ・ライエ星)なので、こんな色をしています。
M8付近(中央:M8 右上:M20 左:NGC6559)
いて座
干潟星雲
ブログ記事
M8は干潟星雲と呼ばれている見かけの大きさが45'ある散光星雲です。近くに三裂星雲(M20)、猫の手星雲(NGC6559)などがあります。
IC434
オリオン座
馬頭星雲
馬頭星雲として有名な星雲です。馬の頭の形をした暗黒星雲が背景の赤い散光星雲(IC434)に浮かび上がっています。
この星雲も水素が出すHα線により赤く光っています。
M16(NGC6611)
へび座
わし星雲
形状から、わし星雲と呼ばれています。中央付近に「創造の柱」と呼ばれる柱状のものがあり、ここで新しい星がたくさん生まれています。
M20(NGC6514)
いて座
三裂星雲
暗黒帯により三つに分かれているように見えるので「三裂星雲」と呼ばれています。赤い色と青い色の対比がきれいです。
M17 (NGC6618)
いて座
オメガ星雲
望遠鏡で見るとギリシャ文字の「Ω」に見えることからオメガ星雲と呼ばれている散光星雲です。いて座、たて座、へび座の境界付近にあり、大きさは満月位あります。
M42 (NGC1976)
オリオン座
オリオン大星雲
オリオン大星雲として知られる散光星雲で、明るく肉眼ではっきり見えます。三ツ星の下にある小三ツ星の中央にあります。人気のある星雲です。
M78 (NGC2068)
オリオン座
(ウルトラマンの故郷)
ウルトラマンの故郷という想定になっている散光星雲です。(本当はM87になる予定だったようですが、どこかで間違えたようです)そういう意味で知名度が高い天体です。
Sh2-220 (NGC1499)
ペルセウス座
カルフォルニア星雲
その形から、カルフォルニア星雲と呼ばれている散光星雲で、写真に撮ると綺麗な赤色になります。
NGC2024
オリオン座
燃える木星雲
木が燃えているように見えるので「燃える木星雲」と呼ばれています。近くには馬頭星雲があり両方を一画面に写すことが多いです。
Sh2-190 (IC1805)
カシオペア座
ハート星雲
少し歪んだ形のハート形ですが、ハート形をしているのでハート星雲と呼ばれている大型の散光星雲です。
Sh2-199(IC1848)
カシオペア座
胎児星雲
形が胎児に似ているので、胎児星雲と呼ばれている散光星雲ですが、海外ではSoul Nebulaと呼ばれているようです。IC1848は星雲内にある散開星団を指すようです。
(散光星雲+散開星団)
C4(NGC7023)
ケフェウス座
アイリス星雲
ケフェウス座にある青白い色をした反射星雲で、恒星の光により輝いています。
アイリスというのはアヤメ科の植物や虹彩の意味だそうですが、ギリシャ神話では神の伝令を務める女神だそうです。確かにそんな感じの色ですね。
C11(NGC7635)
カシオペア座
バブル星雲
中央部にシャボン玉のようなものがあるのでバブル星雲と呼ばれています。
この泡状のものは中心にある高温で大質量の恒星による恒星風によって作られているようです。
C20(NGC7000)
はくちょう座
北アメリカ星雲
北アメリカ大陸に似ていることから、「北アメリカ星雲」と呼ばれています。見かけの大きさが大きい星雲です。
C27(NGC6888)
はくちょう座
三日月星雲
あまり似てないですが、三日月星雲と呼ばれています。赤色巨星であったときに放出された恒星風により形成されたそうです。
IC405
ぎょしゃ座
勾玉星雲
ぎょしゃ座にあるIC405は形が勾玉に似ていることから、勾玉星雲と呼ばれています。思ったより光が淡く撮影しにくい散光星雲です。
赤い色の星雲が多いのは、宇宙にたくさんある水素が一定条件の元でHα線という赤い色を出すためです。
C49(NGC2237)
いっかくじゅう座
ばら星雲
薔薇の花のように見えるので「ばら星雲」と呼ばれています。多くのNGC天体の集合体です。骸骨星雲と呼ばれることもあるようです。
よく見るとそんな風にも見えますね。
Sh2-131(IC1396)
ケフェウス座
ケフェウス座にある大きい散光星雲 で北の方に輝いているのはガーネットスターという赤色巨星です。この星雲内には「象の鼻星雲」(右の写真)があることで有名です。
vdB142 in IC1396
ケフェウス座
象の鼻星雲
左の写真、ケフェウス座にある散光星雲 IC1396の中には
象の鼻星雲(vdB142)
という星雲があります。
象の鼻のような形からこの名前があるようです。
Sh2-109
はくちょう座
Sh2-109は非常に広大なHII領域で、その直径は約1,440光年に達すると考えられています。北アメリカ星雲なども小さく写っています。
また、 単一のHII領域ではなく、複数のHII領域が重なり合って見える複雑な構造をしています。
Sh2-109を輝かせているエネルギー源は、はくちょう座OBアソシエーションと呼ばれる若い星たちの集まりで、これらの星々から放出される強烈な紫外線が、周囲の水素ガスを電離させ、美しい輝きを生み出しているようです。
Sh2-142
ケフェウス座
魔法使い星雲(Wizard Nebula)
Sh2-142は大きさが30’であまり大きくはありませんが、面白い形をしたHⅡ領域で暗黒帯も走っています。
資料には ”Contains NGC7380” と書いてあるので、Sh2-142 は散開星団NGC7380を含んでいるようです。
Sh2-254~Sh2-258
オリオン座(Sh2-257=NGC2162)
団子三兄弟
形が団子に似ているので、団子三兄弟と呼ばれている星雲です。
近くには、小さいSh2天体が存在しています。
Sh2-230
ぎょしゃ座
Sh2-230は約5度もある大きな天体です。「勾玉星雲じゃないか」と思われるかもしれませんが、Sh2-230は勾玉星雲やおたまじゃくし星雲を含んだ広いHⅡ領域となっています。
これだけ広い範囲を一度に見ると爽快ですね。
Sh2-276
オリオン座
バーナードループ
バーナードループはオリオン座の三ツ星の南付近を中心とする円弧上の巨大な散光星雲です。写真で見るとよく分かります。
この星雲は約200万年前に起きた超新星爆発の残骸と考えられていますが、古いため通常のHⅡ領域として扱われているようです。
Sh2-264
オリオン座
エンゼルフィッシュ星雲
この星雲はオリオンの頭付近にある巨大な散光星雲です。
形が熱帯魚のエンゼルフィッシュに似ていることからその名前があります。
左の写真で、上(北)に少し見えているのがこの星雲です。
エンゼルフィッシュ星雲の口の下にはエンゼルフィッシュの餌という小さい星雲も存在します。
Sh2-273
いっかくじゅう座
(コーン星雲などを含む)
NGC2264は大きさが40'あり、コーン星雲とクリスマスツリー星団を合わせたものですが、Sh2-273はNGC2264を含めた広いHⅡ領域(200')を指します。
この写真の中央付近にあるのがコーン星雲などです。
Sh2-296(IC2177)
いっかくじゅう座
かもめ星雲
翼を広げているように見えるので、日本では「わし星雲」と呼ばれることが多い散光星雲です。
海外では、Seagull Nebula(かもめ星雲)と呼ばれているようです。
NGC1333
ペルセウス座
NGC 1333は、ペルセウス座にあるカラフルな反射星雲です。
星形成が活発に行われているようです。緑っぽい色の天体は少ないですね。
Sh2-298(NGC2359)
おおいぬ座
トールの兜星雲
この散光星雲は中心星が超新星となる前の高温の巨星であると考えられているようです。
近くの大きな分子雲との関係で複雑な形状になっているようです。
Sh2-11(NGC6357)
さそり座
彼岸花星雲
この星雲は、日本では彼岸花星雲と呼ばれることが多いHII領域です。
内部には大質量の散開星団があり、これが周囲の巨大分子雲との相互作用により大質量星が生まれているようです。
Sh2-136(IC63)
カシオペア座
ゴースト星雲
その形が幽霊を連想させることからGhost Nebula(ゴースト星雲、幽霊星雲)と呼ばれています。
この星雲の内部には恒星が存在していて、その光を反射して輝いている反射星雲です。
Sh2-310
おおいぬ座
見かけの大きさが8度(満月16個分)もある大きい星雲です。実際の大きさも680光年あり銀河系内でも有数の大きいHII領域です。
この星雲は暗い上に日本では高度が低いため、大気などの影響を受けやすく、撮影はかなり難しい部類に入ります。
Sh2-310(明るい部分)
おおいぬ座
右の写真の明るい部分を拡大撮影したものです。鷲の足先のような感じがしないでもないですね。
IC2118
エリダヌス座
魔女の横顔星雲
魔女の横顔に見えることから、「魔女の横顔星雲」と呼ばれている星雲です。オリオン座の青色超巨星リゲルの光で輝いている反射星雲です。淡いので撮影が難しい天体です。
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