4月例会
オペラシアターこんにゃく座「オペラ遠野物語」
柳田国男「遠野物語」による
柳田国男「遠野物語」による
厳しい自然から生まれた土地の民たちの物語
●公演の会場/湘南台市民シアター
●公演の日程/2025年4月20日 P.M4:30開演
【寄せられた感想】
★(例会を、まだ)そんなに沢山観てきたわけではなく、「オペラ」も初めてかも・・・ですが、セリフが聞き取れないのは気にならなかったし、方言も思ったより強烈ではなくて分かり易かったです。「闇」がもっと暗く表現されるかと思ったけど、思ったより優しくて安心して観ていられました。何よりも生演奏が良かった。役者さんと演奏者の方々息がぴったりでとっても楽しかったです。 (えんどう豆)
★私はあの抒情性が好きでしたが、もう少しエピソードを減らして短時間にしても良かったかなと。方言も分かり易い発音にするといいですね。聞いているのはシニアだし、劇場も大きいし、創り手の想いと観客のニーズのバランスが難しいところかな?いつもそうですけど。(よいこちゃんず)
★音楽の効果がとても素晴らしく物語に引き込まれました。
・舞台配置も興味深く、また湘南台シアターの円形の会場と高低差のある客席が一体感を生み出しているように感じました。
・内容が理解しにくい。
・演劇鑑賞会は民主主義や平和を求めるのが目的ではなかったのですか?「おんやりょう」や今回の作品では感じられなかった。 (糸ぐるま)
★(前半は)台詞も遠野の言葉が分かりにくいところもあり、物語についていくのに苦労しました。大きなホールは苦手だと再認識した次第です。二幕の長い作品、厳しいと思いました。
後半は、舞台になれてきたこともあると思いますが、喜善、葉舟の人間臭い出来事と遠野物語がうまく響き合っていて、楽しむことが出来ました。津波で亡くなった女房の場面の波の表現、高音域の女声コーラスなど、もう一度観劇したいと思える場面がいくつかありました。生演奏、特にチェロが良かったですが、舞台の右側に割と広いスペースを取っているので、座席が右側だと役者さんがどうしても遠くなってしまいます。もう少し、演奏スペースをコンパクトにするか、右端の客席は使わないなど、工夫がほしいところです。案留めると、良い作品だと思います。もう一回観れば、もっと理解できて楽しめると思いますし、やはり、役者さんからの距離が近く、役者さんの息遣い、発せられる「気」みたいなものを感じられる距離で観劇したいと思いました。(まほろば)
★「えっ、どうして?」東北地方の土地に根差した物語とオペラ、この二つがどうして結びつくのか、大いなる疑問から始まった『オペラ遠野物語』」。けれども最初の顔合わせ会での歌役者の相原さんのお話、演出家の真鍋さんや台本作家の長田さんからのメッセージ、共同作曲者の方たちの考えを学ぶうちにこの方々の思いの結晶が「オペラ遠野物語」であることに納得して期待が高まりました。ただ例会の当日は鎌倉芸術館の2階席だったので、舞台との距離がかなりあり、俯瞰的に舞台を見ることはできましたが、一人一人の役者さんの動きや表情を見て取ることができず残念でした。 けれどもザシキワラシやカッパなどの異界と柳田国男・佐々木喜善・水野葉舟の現実の世界との同時進行の演出、照明の巧みさ、そして何よりもフルート・ピアノ・チェロ・打楽器の生演奏の素晴らしさは堪能することができました。(九条の会)
★小生、この鑑賞会に入会してまだ半年という新人で長年芝居を見るという趣味を持たなかったのだが、あるサークルの友人から誘われて昨年8月に初めて観劇した。その素晴らしさと感動を強く受けてこの鑑賞会なるもののすばらしさを知った。
今回のこんにゃく座の『オペラ遠野物語』を初めて見させていただいたが全体的に東北岩手の風景と方言、そして楽士の奏でる音楽とが一体となりあの東北の厳しい生活の中にも何かを信じ敬愛の念をもって生きる東北人のリアルな姿が見えた。数々の場面で感動したが柳田と水野に朝食をしたくしながら始まった祖母トヨの語りが印象的でトヨを演じた梅村博美さんの好演が目立った。また出演者全員のボイストレーニングが徹底されているようでその通る声が一段と舞台を際立たせた。特に水野舟翼を演じた島田葉翼さんのバリトンにはしびれた。次回の観劇会が今から楽しみだ。(百日紅)
★東北の言葉は難しい。遠野弁何を言っているのか判らないところがあった。
闇とは? 人間の心の中に潜むもの? あたたかな闇とは?見えないものからの声、見たくないもの見る? なんだか自分の中でモヤモヤ。
楽士の方々素敵でした。ずっと聞いていたかった。
劇団の人との顔合わせ、楽しかった。舞台上どこにいる?探した。
水野さんと喜善、あの後遠野の地でどうなる? (ひととき)
★こんにゃく座のファンで、これまでにもいくつか作品を鑑賞しましたが、その中でも今回の『オペラ遠野物語』は、ダイナミックで、見どころ満載でした。柳田國男、佐々木喜善、水野葉舟のかかわりを縦糸にし、遠野物語を一つ一つ編み込んでいく脚本はとても興味深かったし、歌役者や演奏家の方たちの力量もあって、不思議な旋律の音楽は、独特な世界をつくっていたと思います。また、斜めの舞台とそれゆえにできたような三角形の穴、演じる方は大変だったと思いますが、強く印象に残りました。闇をつくり出す照明、まさかの壁の穴、ダイナミックな神輿など、長さを感じさせない演出を堪能しました。(サハン)
★『オペラ遠野物語』は、厳しい自然環境の中、食べ物もなく大変な生活を強いられていたということは知っていた。オペラの形をとるということでびっくりした。音楽は素敵だと思ったが、セリフが問題だった。よく声が通る人と、通らない人との差が激しい。おまけに方言ということで、少し理解しにくいところがあった。
急に姿をくらましたり、いなくなった人が突然現れたり、ザシキ童子がいなくなりその家が不幸になる。大津波で亡くなった妻が目の前に現れたり、不思議なことがいっぱい。物書きを目指していた佐々木は、柳田國男に遠野の話を伝える。本は出版されるが佐々木の名前はない。本人は、村長を押し付けられ、沢山の借金を背負わされたりする。それを受け入れ生きて行く佐々木。何かさびしい。ネズミにかじれらたまんじゅうを、水野と見つめる最後のシーン。どういう意味があるのかと、2〜3人で話したが分からない。 (小町会)
★作家になる夢を抱いて東京に出ようとする喜善に、四方八方から寄ってくる「闇」——「おめ、ホンドに(本当に)いぐのか?」とまとわりつく。まるで、思うように生きたい若者を自由にさせないしがらみのようだ。けれどまた、「闇」は、傷ついて帰郷した喜善を、理屈抜きで温かく包み込む母性の象徴でもあった。
遠野に伝わる数々の不思議なお話——怖い話、理不尽な話、呆れた話、救いのない話——どれも(そんなこと、あるものか)と思いながらも、(でも、もしかしたら)と否定しきれない。そんな話の数々が根っこのところにあって、人は生きて立っているのではないだろうか。
少女の時に神隠しに遭い、何十年かして人ならぬ姿で戻ってきたミヨちゃん。「もうここには帰れないけれど、みんなに会いたくて来た」という言葉が切なかった。人は人を求める。たとえ時が経ち、世界が遠く隔てられても、心を寄せる——そういうものなのだろう。
終わり近く、こんな歌詞が心に残った。「人はようぇー(弱い)。人はずるい。人はぎだねぇ(汚い)。人は醜い。人は嘘つき。人は愚か。人は悲しい。人は……」と、いくつもの否定的な言葉が畳みかけられる。私には、一つ一つ「私は…」と、主語を自分に置き換えて迫ってきた場面だった。そして、最後に、ひと言、「そんでも、優しい」と続く。であれば、多くのマイナスを抱え込みながらも、最後にひとつ「優しい」ということで、人は存在を許されるのだろうか——そんなことを考えた。
生演奏の素晴らしさ、東北言葉の素朴な温かさ、澄み切った歌声の響き……どれ一つとっても、私には、いつまでも心の中で輝く宝石のような舞台だった。 (えんどう豆)
★対面式がとても楽しめて、その後のプレゼントを主役の方に渡せた嬉しさ。そして「陰アナ」をも担い、まるで団員の一人になったような気持ちで楽しめました。
何度かのサークル会のあり、劇団を学び、『遠野物語』を学んでの当日であったことで、理屈抜きで楽しめました。搬出にも参加でき、すべてを見せていただき、団員さんの下着の洗濯物を干す仕事まで関わり、とても身近な劇団となってしまいました。 (PMF)
★離れて暮らしている孫(中1と高1)を含め家族4人で初めて参加。孫たちは「面白かった」といってました。
でも、セリフ・言葉が聞き取りにくかった(東北弁で早口だったからか?)。
オペラと思っていたが、お芝居という感じでオペラだとアリアやデュエットなどがあると良かったのに。
後半に出てきたししおどり(?)は躍動感があって良かった。
これらと融合した東北の農民の魂を伝えるオペラへ昇華することを期待したい。
遠野物語といえば柳田國男しか知らなかったが、佐々木喜善が居なかったら遠野物語は生まれなかったことが分かった。
例会が終って、家族揃って寿司を食べに行った。(下の孫と母親も加わって)、離れて暮らす孫一家とは、正月や孫の誕生日には揃って会食をしたが、これからは月例の度にみんな揃って会食をする機会が出来るので、楽しい時が増えて楽しみです。 (カメ)
★オペラ遠野物語で初めての生演奏でした。物語とあっていて、より一層物語の深さを感じ、悲しさや恐ろしさをより感じました。特にマリンバの音色が良かったです。 (スカイベリー)
★佐々木喜善と闇との絡み(悩み・疑問・包容力)、柳田國男・水野葉舟と佐々木喜善の3人の物語の中に遠野の昔話を上手に組み入れていて、とても面白かった。喜善の祖母の優しさが良く伝わってきました。祖母ノヨさんのソプラノが素敵でした。それと腰を曲げての演技は大変だったのでは…と思います。カーテンコールの時ピーンと腰が伸びて良かった(笑いが出ましたネ)。また、照明も微妙に色が変化しつつ又芝居に深みを出していた様に感じました。
マイクは使わず、生演奏・生歌で素晴らしい舞台でした。 (スカイベリー)
★私は、若い頃、民話や昔話に興味があり、「柳田國男全集」を購入して、今も本棚に飾っています。遠野にも数回行き、地元の方が語る昔話を聞いたことがあります。今回その世界がお芝居で観られると楽しみにしていました。
一緒に観劇した友人は、昔、祖母から語り聞いた話を教えてくれました。
生の演奏はすばらしく、歌声も会場に澄みわたるようでした。多少場面により歌詞が聞き取りにくいこともありましたが、全体として民話の世界と当時の文壇の様子を感じることができました。
闇の世界を演じる方達の雰囲気も味わうことができ、興味深かったです。 (まほろば)
★東北は昔、貧困な家庭もあり、子供が多い家では、特に女の子は口減らしと言って人買いや他人の家に我が子を預けるような家庭がありました。この物語を観て、人間とは、生きるとは何かを考えさせられる思いを感じた。又、東北弁で歌う事はむずかしいと思っていたが、楽士の演奏も素晴らしく、音響も良かったです。久しぶりに気持ちもスッキリ楽しみました。
厳しい生活の中の生きる知恵や教えでしょうか?
幼き日聴いた事を想い出しました。
お天道さまが見ているよ!!
その時をどう生きるか自分に問いかける指針でしょうか?
そんな事を考えて思っています。 (すいせん)
★今回1番好きな劇団こんにゃく座を担当することが出来てラッキーでした。会員を増やす活動も積極的に出来ましたし、自分でも驚く成果でした。
ところで、和製オペラと云ってもあまりに日本的なものとの融合は難しいのではと云う気がしていました。前回もたまたま担当した「ネズミの涙」は、ネズミ国なので、無国籍的だったのかもしれません。
ともかく、筋を追うのに夢中で、歌を聴いたと云う印象が薄かった気がします。楽器の演奏は素晴らしく、現代音楽風の所も有り、難を云えば方言を使ったセリフに音がかぶって語尾が聞き取り難かったです。
他方、メインのキャストが登場している舞台に物語の人物が次々と現れ、お話が展開していくところが面白かったです。
開けた戸口から吹雪と共に30年振りに帰って来た女性(女の子)の変わり果てた姿と餅を食う坊主とかユーモラスな姿が頭から離れません。その反面、メインの登場人物達は、夫々の弱さを抱え生活も成り立っていかない状態のままで終わってしまいました。 (杉の子)
★闇という漢字「もんがまえ」に「音」とくれば辞書で意味を調べたくなりますよね。光が入らない状態。家の中だけではなく東北の特に冬は暗い。
たった4人の方が音・音楽、照明さんは陰を操り登場人物と渾然一体。とてもとても“ブラボー”でした。終始ほぼ薄暗く狭い舞台で闇の広がりや深さ、遠野から東京と表現していて凄いです。皆さんの早変わりに全部ついて行けませんでしたが、数人の方は分かりました。私はマヨイガのノヨさんが好きでした。綺麗なお声にうっとり。
私の思っているオペラとは別物でした。堅苦しくなくて楽しめました。ありがとうございました。
が、最後が(も?)暗〜く終わってしまい、そこがちょっと…。 (ツンベルギア)
★こんにゃく座、久しぶりに拝見しました。
実力のある歌役者、チェロ、フルート、ピアノ、打楽器は各1人ずつなのに芝居に負けない豊かな音色を奏でていました。
今、私のキーワードは〝変〟。物事は常に変化しているもの。これだけ生きてきてたくさんの変化を経験してきました。
何もしなくても変わるもの、私たちが変えたもの、変わってよいものもあれば、そうでないものも当然あります。便利なことはいいけれど、果たしてそうなのか?遠い昔(ちょっと昔)に大事にしていたもの、失ってきたもの、手放したままでいいのか?
大切に守り続けるべきものを見失うことは絶対に避けたい。と考えさせられた遠野物語でした。
ありがとうございました。(ツンべルギア)
★オペラシアターこんにゃく座の舞台を鑑賞するのは初めてでした。お芝居と音楽が舞台上でも一体化され、その斬新な演出にすぐに引き込まれました。
開演前の対面式で役者さん方の自己紹介を伺い、皆様が一人何役もされるのを事前に知ることができ、お芝居中に「あ、あの人今度はあの役で出ている!」というお楽しみの特典もあり、最後まで舞台から目が離せませんでした。
柳田国男「遠野物語」の裏に佐々木喜善という作家希望の青年の希望と挫折、地方社会の因習から逃れることのできない苦悩があったことを浮き彫りにし、それが「闇」という存在で具現化されることで、回り回って「遠野物語」の世界に戻っていくような感覚を覚えました。(ツンべルギア)
★『遠野物語』が人から人へ語り継がれた言葉から生まれたものであったことが、今回オペラシアターこんにゃく座のみなさんのお芝居で改めて実感できました。キャストのみなさんのすてきな歌にのって、遠野の人たちの苦しみや喜び、悲しさが染みるように伝わってきました。当時の東京と東北の、それぞれの地で生きることの難しさや息苦しさも表現されていた点が大変印象的でした。また、楽士のみなさんの生演奏も最高でした。ありがとうございました。(九条の会)
「★もともと柳田国男についても関心を寄せて、本を読んでいました。
みちのく遠野に伝わるいくつものお話を、東北のことばと音楽で表現した『遠野物語』、とても面白く、本当に良かったです。 (ひさし)