劇団朋友『あん』
劇団朋友『あん』
第224回例会
2024年12月8日(日)4時開演
湘南台市民シアター
観劇後に寄せられた感想
★静かに、辛さを控えめに生きてきた徳江さん。原作を読み、映画を観て期待していました。改めて感動しました。特に舞台に流れるハンセン病と闘った塔和子さんの詩の朗読は胸をうちました。徳江さんの「あん作り」への思いが「あん」の旨さになり、それが生きる力を失いかけていた仙太郎さんや、友人としっくり行かず悩むワカナさんなどに「人は何のために生きてきたのか」を押し付けではなく、たんたんと話す徳江さん。亡くなった徳江さんに、ワカナさんが白いブラウスをプレゼントした時には涙があふれました。外部との分断された生活、隔離生活を余儀なくされ、愛する人の子どもを産むことも禁止された辛さなど、自由に生きる猫との対比は胸が締め付けられました。
最後の場面、徳江さんが両手を広げ伸び伸びとあんこを作る場面には、希望を感じました。しつとりと訴える芝居、いいですね。徳江さんはもっと老いた感じではないかなという感想が何人かからありました。(スイトピーⅡ)
★「人はなんのために生まれてきたのだろう」、とても重い言葉です。療養所の中で、外に出ることも許されず、希望すら持つことができなかったら、人間の心はどうなってしまうのだろうと考えさせられた作品でした。その環境下の中でも、友達との出会い、旦那様との出会い、「あん」作りを続けていく徳江さん。社会からの偏見に、閉ざされてしまった人生、それが何十年後に間違いであったと気付いても、時間は取り戻せない。私達が生きている社会、どれが正しいか、間違っているか、自分の力だけでは解決できないことが沢山あります。そんな中でも、私達は命ある限り生きていかなければならない。夢を抱き、希望に持ちながら、自分を信じて歩んでいける。今の幸せを感じながら・・・。(S・D・C)
★舞台という限られた空間の中で表される梅雨のジトジト感、セミの鳴き声と共に表される夏の暑さ、過ぎ行く夏のセミの鳴き声、風の音、舞う桜の花びら、塔和子さんの美しい詩のナレーション、すばらしい舞台の中で繰り広げられる。「あん」の世界、偏見や差別やいじめの中にいた徳江さんの働くという喜び、自分の居場所があるという事、未来を信じて生きるという事が、折り重なって表現されていくという、とてもすばらしい舞台で感動しました。(ブルーモニカ)
★映画上映、ゲネプロにも参加し、内容はより深まりました。主人公と年代も同じなので、気持ちがよく分かりました。重いテーマで、偏見の中に人生を閉じこめられ、又、苦悩を抱えながら、徳江さん、千太郎さん、ワカナちゃん、それぞれが一生懸命生きている姿にとても感動しました。塔和子さんの詩が劇中で語られ、とても強烈でした。 (ちえのわ2)
★過去をかくしながら生きてゆくために、職を得るために、心を込めて作る「どら焼き」。それにかかわる周りの人々の思いがかっての日本の閉鎖的な社会で表現されていました。心にしみ入る暖かくて優しい作品でした。 (おせっかい)
★今回の「あん」は映画で観てあらすじを知っていて、舞台ではどのように演じて下さるかとても楽しみにしていました。徳江さんお登場からラストの桜のシーンまで、とても感動的でした。今年最後の作品を会員全員で観られた事もよかったです。(花の会)
★私は昭和30年に四国で生まれた。幼い頃、お遍路さんが家の前で鈴を鳴らす姿が物悲しく、何故か恐ろしかったことを覚えている。母は看護師で「お金を触ったら手を洗いなさい」と繰り返し言った。「らい病がうつるかもしれないから」と。ハンセン病に感染したら親からも引き離されて、島に送られる怖い病気だと教えられていた。
しかし、その頃には既に特効薬があって、強制隔離をする必要もない病だったというのに。病が癒えた後も何十年にもわたって隔離され、差別され、子を持つことも許されなかった無念さは想像を絶する。
「あん」を複雑な思いで観た。心の中で自らの偏見を、無理解を、無関心を詫びた。
今も差別や不条理を強いられている人達はたくさんいる。私はその人たちを見つめ、かかわってきただろうか?劇中に流れた塔 和子さんの美しい、悲しい詩が心に残った。 (ちえのわ)
★以前見たことはありましたが、脚本が違うのですね。徳江さんの半生に焦点を当てていたのかと思いました。
*徳江さんの話に、白いブラウスを届けたワカナに涙が出ました。
*差別や偏見がなくならない社会ですが、まず相手を知り理解することが,大切だと再確認しました。
*劇団朋友の皆さん「ありがとうございました。」
(藤沢ネットワーク)
★「あん」は以前、映画で見ました。それがあったので舞台ではどう表現されるのかとても楽しみでした。
世間からの差別、偏見を受け、とても生きづらいことだったでしょう。卑屈にならず生活している徳江さんは素敵です。
徳江さん役の方の声、話し方が心地良く響きました。
舞台セットの転換、季節感などとても良かったです。
がんばってください。(アップル)
★なるべく甘いものは控えるようにしていますが、「どら焼き」はたまには食べましょうという時に買い求める和菓子の上位に入ります。疲れた時に食べるには格好のように思います。そんなこともあり作品の冒頭から「どら焼き」の甘さが気になることしきりでした。
そして舞台上にある一本の桜の木、どのように見事な満開の桜がみられるのかというも同じです。満開の桜の木から散った花びらがとても美しいフィナーレ、ホワイエで販売されていて早速お召しになっている方も多かったTシャツのデザインはこの最後のシーンをイメージしていることがわかりました。「ハンセン病」まだまだ偏見も多く考えさせられますがあんこの甘さと桜の美しさにホッとする心温まる作品でした。劇団朋友の皆様ありがとうございました。(アジサイ)
★私はハンセン病がこんなに人権を否定して療養所に隔離されて、隔離されていたり、その療養所に入る時に、今までの持ち物をすべて取り上げられたとか、まったく知りませんでした。徳江さんがお母さんが作ってくれた〝白いブラウス〟を取り上げられたとか、舞台のなかでどら焼き屋さんの千太郎さんが徳江さんが被害者いうことも知らず雇ってしまった。
始めは徳江さんが手も不自由だし、年も取っているから雇わないと言っていましたが、徳江さんのあんこを食べた時のおいしさに何とも言えない千太郎さんの笑顔が素敵でした。それからは仲良く、お客様も多くなり順調だったのに徳江さんのハンセン病というのが知れ渡り、徳江さんがやめなければならなくなり、世間の人達はきびしいと思いました。その後ワカナさん、千太郎さんと療養所に行き徳江さんと徳江さんのお友達の四人で楽しくお話してました。その後徳江さんが亡くなりました。しばらくして徳江さんのお友達とワカナさんと千太郎さんと会って、ワカナさんが自分で作った〝白いブラウス〟を持っていったが徳江さんには渡すことが出来なかった、涙が出てきました。俳優さんの演技がすばらしかった、通るきれいな声で感激しました。(ブルーローズ)