新型コロナウイルス感染拡大下の

大学教育を考える(2)

問題意識と情報の共有に向けて


遠隔授業開始後に生じたトラブルや混乱


藤田 Jさん、Kさん、追加で何かありますか。

J 遠隔授業でも出席がとりやすいかどうかはシステムによりますね。学生に3分の2以上の出席を義務づけているZ大学では、LMSによる出席確認が対面授業を想定しているもので、オンデマンド授業では利用困難です。そのため、別のシステムを使って遠隔授業の出席確認をしています。

K 皆さんにお聞きしたいのですが、元々の授業時間に対して音声による遠隔授業はどれくらいの長さにするのが適切なのでしょうか。音声を長時間聴き続けるのは学生が大変なので、授業音声はあまり長くせずに残りを課題の時間にしているのですが、どのような分量が適切なのか考えてしまいます。

N 文字のやり取りですが、学生に課題をやらせる時間も含めて90分です。

M M大学では、オンデマンド科目は10分程度のファイル3つというのがガイドラインです。学生のギガと時間は「共有地」です。

P あんまり課題を出しすぎると学生が眠れなくなってしまうので、課題は最低限にして意欲のある学生が追加で学習できるような工夫をしています。

Q 私も授業時間を短くして、意欲のある学生向けには発展課題を出しています。教員も学生も、共倒れにならないように、できるかたちでやっていくしかありませんから。専業非常勤講師時代を考えても、担当授業が多い場合は負担が大変なことになるので、各大学の指針に反しない範囲で負担を減らすように工夫するしかないと思います。

L おっしゃる通りなんですけど、非常勤講師はどうしても手を抜きにくい状況におかれています。結局、先ほどから出ている非常勤講師は横のつながりをつくりにくいという問題に戻ってしまうわけですけど。

K 専任教員の間でも考え方の違いがあるので、意見がぶつかった結果なのか、玉虫色の通知が来ることがあります。

O それが、どこの大学でも多かれ少なかれ、起きている事態のような気がします。

M 柔軟に対応して学びを止めるなというのが文科省のメッセージです。授業の方法についてうるさく言う教員はいるかもしれませんが、各教員の裁量に任せるべきです。

K 各大学が文科省のメッセージをきちんと受け止めているわけではありませんよね。

M そこは大学がきちんとフォローしなくてはいけません。人的ネットワークを使って情報収集する専門のスタッフがいれば問題は解決します。