新型コロナウイルス感染拡大下の

大学教育を考える(1)

問題意識と情報の共有に向けて


遠隔授業に対応できない学生への取り組み


藤田 機材や通信環境が整っていない学生が遠隔授業に対応できない事態が危惧されています。皆さんの大学ではどのような取り組みが行われていますか。

A 学生対応については、大学の規模や組織構成で変わってきますよね。大規模大学でも小講座制で講座研究室のあるところは所属学生のケアは可能です。 

B B大学では、Zoom などの同時双方向システムを推進したい教員がいて、今後の就職活動にも必要だから学生に対してネット環境を改善するように求めるべきと主張しています。どうしてもネット環境を整えられない学生に対しては、環境整備のために親から出資してもらうように伝えるべきとか…本当にそれでよいのでしょうか。また、先ほども話題に出たように、ネット不具合のフォローを、完全に教員任せにするのも問題です。

C 所属学科の学生へ独自にウェブ上でアンケートをして、約半数の人から回答が集まりました。PC でインターネットに接続できる学生が8割いましたが、6%の学生が PC がなく、1%がスマホもないという結果でした。 

I アンケートに回答できなかった学生は、もっと状況が厳しい可能性がありますよね。 

D D大学で行われた調査では約1,000人中、持っているのがスマホのみという学生が約16%、PC もスマホもない学生も1%ほどはいるという結果でした。PC やタブレットを貸し出すことで対応しようとしています。少人数なら大学の施設を使ってもらえばいいという案も出ていましたが、感染防止を優先するために今のところ許可されていません。 

G 所属先では、ある程度の数であればモバイルルーターの貸出というような対応が考えられていると聞きました(最終的には、通信環境の整備に困難を抱える学生に対する金銭的補助が行われるようです)。 

H H大学では、モバイルルーターを購入して状況の厳しい学生に貸し出す方向で準備を進めています。