新型コロナウイルス感染拡大下の

大学教育を考える(2)

問題意識と情報の共有に向けて


新任教員としての悩み


藤田 次は、Nさんにうかがいます。現在の状況はいかがでしょうか。

N この4月に大学に着任しました。そもそも授業を受け持つのが初めてなので、何もなくても大変なところにコロナ禍が重なり、さらには学内の人間関係ができてない状況も重なって信じがたいほど大変な状況です。本来であれば学内で同僚教員と話したり会食に出かけたりする中で、人間関係をつくったり情報共有したりできるはずですけど、今は全くできない状況です。先ほどの非常勤講師の状況と同じく、気軽に問い合わせたりできない状況で、ちょっとした質問をするのも遠慮してしまいます。遠隔授業についても、どこまで準備すればいいのか、よくわからないので、できることは何でも全力でやるしかなくて大変です。今のところ何とかなってはいますが、どこまでもつのか不安です。すでにへとへとです。

藤田 それは大変ですね。

N あと、オンライン授業に必要な機材や図書はすべて自費で支出しています。大学に着任するに当たって親から借金をして引越費用を賄ったんですけど、さらに支出がかさんでいます。大学図書館は休館しているので、卒論指導に必要な図書も自費で購入しています。金銭的な負担も大きいと感じています。

藤田 立て替え払いしたものを後から大学に請求することはできないのでしょうか。

N 初任者研修とかもすべてなくなったので、まだよくわかっていません。引き継ぎなどもなく、何の説明もないままにやってくださいという状況です。事務もものすごく忙しいようで、連絡しづらく、いわゆる忖度をしてしまっています。

O 今学期は実習が欠かせない課程の大学で非常勤もしていますが、実習ができない状況になって事務も大混乱しているのか、事務連絡がほとんど来ません。