新型コロナウイルス感染拡大下の

大学教育を考える(2)

問題意識と情報の共有に向けて


新型コロナウイルス感染拡大下の学会活動について


藤田 最後に、言いたいことがありましたら、お願いします。

J 先ほど申し上げました通り、オンライン授業への対応で追加の費用負担が発生しているので、今来ている学会費の請求についても支払えていない状況です。とりあえず前期は待ってもらって後期に全部払うつもりです。非常勤講師や大学院生で、学会を退会しようかと考えている方が少なからずいるのではないでしょうか。各学会で学会費の納入に関して猶予期間を設けるなど柔軟に対応していただければありがたい限りです。すでに非常勤講師や大学院生に対して年会費を下げている学会も多いと思いますけど、このような状況なので、さらなる対応が必要です。もちろん費用負担の話になるので、簡単な話ではないと思いますけど。

N そうですね。私の関わっている学会も含めて、会費の納入が滞ると学会自体が続けられなくなる学会もあると思います。かなり厳しい状況なので、何かいい方法がないでしょうか。

L 人文社会系の学会は、どこも会員数の減少などで苦しんでいそうです。過去の学会費の貯蓄で何とか運営できているというところも多いんじゃないでしょうか。先細りになっていく状況で、どうすればいいのか、難しいところです。

P 私の関わっている一部の学会は、資金的余裕があるので、大会開催と雑誌発行を中止しても何とかなりますが、若手研究者が研究報告をしたり論文投稿をしたりする機会が奪われてしまうのは問題です。この点について、上の世代は危機感が足りない気がします。一方で、雑誌をいきなりオンラインで公開したところもあって、どのような人々が関わっているか、どのような人々を対象にしているかで、各学会ごとに差が生まれています。

L 私の関わっている学会は、今年度の大会は中止になりましたが、若手会員に研究報告と論文掲載の機会を与えるために、オンライン研究会というかたちで査読会のようなことをしようと計画しています。

M はっきり言えば、若手のことだけを考えればいいんです。各分野の若手研究者が研究報告をして論文を掲載できるなら、学会は一つあればいいんです。それぞれの分野で分科会を開けばいいんですから。年一回数日フェスのような学会で、場合によってはオンラインも使いながら、分科会を開いて研究報告をすればいいでしょう。学会誌もオンライン前提で、図書館用にはオンデマンド印刷で刊行すればいいんですから。

N 出版社と契約している学会誌は、オンライン化などの対応はなかなか難しい面もあります

M いろいろな学会で運営でも人がかぶっているので、一本化しようと思ったら、そろそろできるのではないでしょうか。大きい学会も、小さい学会も、執行部でバリバリやっている人はお互い顔見知りです。今の中堅世代で5年10年かければ、できるでしょう。今すぐできなくても、ビジネスモデルをみんなで考えましょう。若手に活躍の場を与えること、つまり若手研究者に研究報告と論文掲載の機会を与えることをゴールにすれば、すっきりするので可能だと思いますけど。