自分のこだわりを少数の人たちと共有する事
2025/5/15 担当:小松
D-fabでは管理人である私も新商品開発に挑戦しています。今作っているのはペットボトルロケットの製作キットで、これはDERCロケットサークルさんとの共同開発から着想を得た商品です。
DERCさんとはD-fabの創設時からいっしょにロケット開発をしてきました。最初から商品開発を目的にしていたわけではないのですが、自分とは異なる領域の作り手と交流する中で今までにない視点を得られたことが商品開発のきっかけとなりました。
D-fabのようなfab施設は単に珍しい工作機械が使えるというだけではなくて、他の利用者さんから新しい視点や知見を得ることができるというのが大きなメリットだと私は考えています。
個人メイカーである私が商品開発をするきっかけは、たいてい自分の小さなこだわりを形にしたいという思いがもとになっています。そのこだわりからは様々な作品が生まれますが、そのほとんどが商品になることはありません。自分のこだわりが他人と共有できるとは限りませんし、例え共有できたとしても製造コストや販売コストが高過ぎれば商品としては成り立たないでしょう。
そこで、私は作品を商品化する過程で以下のことを確認します。
1.市場があるか
これはAmazon内での販売データを確認します。具体的にはその商品に関連するキーワードの月間検索数、月間販売数で判断します。あとはそのキーワードで実際に検索を行い、競合製品の数と質、価格の相場などを確認します。
2.現実的に製造可能か
私のような個人メイカーにとって取れる製造方法というのは限られています。数百万円もする金型を作って数万個売れてやっと採算がとれるような製造方法は取りません。長時間手作業しなければ作れないものも避けます。3Dプリンターやレーザー加工機はものが大きくなると製造コストが高くなり不利になりますので、このようなデジタルファブリケーション機器を使う場合はできるだけサイズが小さくできないかを考えます。また、初期費用があまりかからない加工方法で小ロットからでもOEM生産を受けてくれるメーカーさんを探す、もしくは既製品の組み合わせだけで作る方法を考えたりします。
3.価格
相場より高い値付けでも売れるかどうかを検討します。私のような個人事業者は集客力に限界があるため、安い商品を大量に売るよりも、高い商品を少数の人に買ってもらう方が現実的であることが多いです。世の中の多くの商品は大企業が製造しているので、相場で売ると採算が取れないことがほとんどです。USP(Unique Selling Proposition:自分の商品だけが顧客に提供できる価値)でもって相場より高い値付けができる商品かどうかを慎重に判断します。
今回は個人メイカーである私が商品開発の時に考えていることについてお話ししました。上記の内容はあくまで私の考え方ですので、これが正解というわけではありませんが、これから自分で商品を作って売ってみたいと思われている個人メイカーさんの参考になればと思います。
無数の個人が独自のこだわりを少数の人たちと共有する。これからは個人事業の時代だと私は思っています。本業でなくても副業として、また自己表現の一つの手段としても、自分だけのオリジナル商品、ビジネスを作ることには大きな意義とやりがいがあると感じています。このようなモノづくりに興味のある方は一度D-fabまでお越しください。本記事では書き切れなかったさらに詳しい内容についても直接お話しできると思います。
D-fabではモノづくりでの創業を目指す人を支援しています。個人作家、手作り品販売などの小規模事業者も対象ですので興味のある方は一度D-fabまでお越しいただければと思います。