検索キーワード調査ツールによる市場分析
2025/6/12 担当:小松
D-fab会員のhair studio Licht(ヘア-スタジオリヒト)さんは美容室に併設する形で観葉植物販売事業を始めることになり、D-fabにてオリジナル商品の開発などをされています。
リヒトさんは実店舗での販売と同時にWebでの販売も計画されていたので、園芸カテゴリにおける検索キーワード調査を行いました。
検索キーワード調査とはWeb上でのユーザーの検索行動を調査することであり、どのようなキーワードが一月当たりにどの程度検索されているかを調べることで、Web上での需要を判断したりするものです。あまり具体的なところまでは公開できないのですが、ここでは検索キーワード調査ツールを用いてどのように商品開発をしていったのかを紹介してみたいと思います。
検索キーワードを調査するツールには様々なものがあるのですが、有名なものに「キーワードプランナー」があります。このツールはgoogleの広告を運用する際に、広告を出すキーワードを選定するためにgoogleが公開しているツールです。
その他、Amazon内での検索キーワードを調べる「セラースプライト 」というツールも存在します。Amazonでは購買目的の検索が行われますので、物販を目的とする場合にはGoogleのキーワードプランナーよりセラースプライトのようなツール を参考にした方が良いように思います。
今回のリヒトさんの事例ではAmazon内での検索キーワード調査を行いました。その結果、園芸カテゴリでの検索需要は比較的高いことが分かりました。
検索需要が高いことはそれだけ求めているお客さんが多いということなので基本的には良いことなのですが、検索需要が高いカテゴリーというのはそれだけ参入企業も多くなりますので、既存商品の品質やコストパフォーマンスが高過ぎて太刀打ちできないことが多いです。
なので月間検索数はそこそこある割には強力なライバル商品が少なく、かつ商品単価も高い検索キーワードを探していきます。(ざっくりですが、私の場合は月間検索数1000件~1万件程度の範囲内で探しています。)実際にはそんな都合の良いキーワードはなかなか見つからないのですが、企業にとっては小さ過ぎて採算の取れない領域でも、個人、または小規模事業者にとってはそこそこ利益の出せる領域が、強い競合のいない状態で見つかることもまれにあります。
私たちは観葉植物や園芸カテゴリーの中から可能性のある検索キーワードを抽出し、そのキーワードと実際の検索結果、売れ筋商品、レビューの内容を調査していきました。さらにその結果から、どのようなユーザーがどのような目的でこの売れ筋商品を購入しているのかを読み解いていきます。
調査の結果、今回私たちが着目した検索キーワードは事業目的での購入が予想される、ある商品に関するキーワードでした。事業目的で購入される商品は高単価でも受け入れてもらいやすい事、検索数の割りに競合が少ない事、自分たちのネットワークの範囲内で製造できる可能性のある商品である事、などが選定の理由です。
また、競合商品との差別化について。私たちは検索キーワードから少しずれた商品を提案する事で競合との差別化を図ることを考えました。厳密には検索キーワードから外れるけれども、キーワードから予想されるユーザーの検索意図にはしっかりと適合するという商品です。(これは例えば「肩こりに効く薬」を検索しているユーザーに対して肩こり対策器具を提案するといったことです。ユーザーの検索意図は肩こりを解消したいということなので、その目的を達成できる商品であれば直接の検索キーワードから外れていても購入につながる可能性はあります。)このような変則的なやり方が通用するかどうかは実際に販売してみないと分からないのですが、自分たちの特性や、取り得る製造手法の制約から判断し、最も可能性のありそうな戦略を考えた結果です。
以上が現在私たちが行っている商品開発の概要です。このように計画を立てても実際に商品が完成するところまで持っていけることは少ないですし、実際に販売してみても売れない、もしくは売れても採算がとれなことも多いと思います。そのたびに商品企画からやり直す…といった具合に試行錯誤を繰り返していくと、そのうち売れる商品が出てきます。
商品開発は宝探しに似ていると思う事があります。もっとも、すぐにでも売上を作らなければならないという状況ではこのような試行錯誤はとてもつらい作業になると思うのですが、副業の範囲内でやるということであればある程度気楽に楽しみながら続けることもできるのではないでしょうか。むしろそのような気軽さで臨む方が結果的に上手く行くようにも思います。
今はネット上の様々なサービスによって個人がモノを作って販売することが昔よりも簡単に行えるようになりました。自分の商品を持ってみたいと思われている方は少額の投資で製造できる商品から始めてみてはいかがでしょうか。
D-fabではモノづくりでの創業を目指す人を支援しています。個人作家、手作り品販売などの小規模事業者も対象ですので興味のある方は一度D-fabまでお越しいただければと思います。