レーザー加工機を用いた製品製造の事例

2023/010/14  担当:小松


デジタルファブリケーション機器の代表例としてよく取り上げられる3Dプリンターやレーザー加工機は、製品そのものを製造するのではなく、製造の前段階の試作で用いられることが多い機器です。

デジタルファブリケーション機器が製品製造には使われない主な理由としては、量産効果が低く、一製品当たりの製造単価が下げられない場合が多い、という点が挙げられます。しかし、デジタルファブリケーション機器が製造の場面で全く用いられていないかと言えばそうではなく、特にレーザー加工機などは製品の製造にも使用されている事例が多くあります。以下にレーザー加工機を製品製造に使用されているD-fab会員様の事例を紹介いたします。

D-fab会員の「みやこ模型」さんは鉄道模型用のオリジナルパーツの企画・開発をされています。その商品の一部は製造をレーザー加工機で行っておられます。

レーザー加工機は加工対象物を切断するためにレーザーヘッドがカットライン上を走る必要があり、カットラインの長さに比例して加工時間が長くなります。

量産に用いる場合は加工時間がそのまま製造コストとなるため、比較的大きなものやカットラインが複雑なものはレーザー加工機での量産が難しくなります。しかし、みやこ模型さんが扱っておられる鉄道模型は個々のパーツが非常に小さいため、レーザー加工機でも短時間に加工を行う事ができます。

以下の写真が実際の製品の写真です。(みやこ模型さんに許可を得て掲載させていただいております。)非常に小さいことが分かっていただけると思います。

デジタルファブリケーション機器は試作向きの機械であり製品の量産に使用する事は難しい、というのが一般的な認識であると思います。このことは決して間違ってはいないのですが、初めからデジタルファブリケーション機器を使った製品製造の可能性を否定して考えるのはもったいないと思います。金型による量産でしか製品製造はできないという発想では、ニッチな市場を取りこぼしてしまいますし、チャレンジのハードルも高くなってしまうでしょう。

起業したての個人事業者が初めて製品企画をする場合、最初から金型を使った大規模生産にチャレンジするのはリスクが高く、あまりお勧めできるやり方ではありません。デジタルファブリケーション機器は個々の機械の特性をよく理解すれば工夫次第で小規模生産も可能です。レーザー加工機に限らず、小資本でもチャレンジできる製造手段をいくつか知っておくことで、起業のハードルを少し下げられるかもしれません。

D-fabではモノづくりでの創業を目指す人を支援しています。個人作家、手作り品販売などの小規模事業者も対象ですので興味のある方は一度D-fabまでお越しいただければと思います。