レーザー加工機を用いたオリジナルはんこの作成と活用方法

2023/08/12  担当:小松


レーザー加工機を用いてよく作られる定番の作品の一つに”はんこ”があります。レーザー彫刻用のゴム板が販売されているので、そのゴム板に対してレーザー彫刻を施し、凹凸をつけます。

D-fabでも過去に同志社女子大学の学生さんが同好会のオリジナルスタンプを製作しに来られました。今回は以前からD-fabをご利用いただいているデザイナーの中島様がはんこのサンプル加工に来られたのでご紹介したいと思います。

はんこ用の彫刻データはインクを乗せたい箇所を残すかたちで作成します。レーザー彫刻でレーザーが当たる部分が焼け焦げて凹み、レーザーが当たらない部分が凸部として残ります。あとははんこなのでデータを反転させる必要もあります。

はんこの作成では凹凸部の差をしっかり取るために、結構強めにレーザーを当てる必要がありました。本来は木材のカットに使用するぐらいの強めのレーザー強度で、彫刻を2~3回繰り返して行います。加工後にはゴム板の焼けかすが残りますので綺麗に洗い流します。

制作したはんこと実際に押印した様子が以下になります。インクののりも良く、ちゃんとはんことして機能していることが確認できました。

オリジナルスタンプは作って楽しい、というだけでも十分なのですが、D-fabはビジネスにつながる創作活動を目指しておりますので、ここでも少しビジネス面でのはんこの活用について事例を一つ上げたいと思います。

皆さま、オリジナル商品を開発するとした場合、パッケージはどのように製造されますでしょうか?商品をお客様に届ける際、商品だけを梱包材にくるんでそのまま送るわけにはいきません。やはりオリジナルのパッケージにきれいに梱包して納品する必要があります。

パッケージ開発も商品開発の一部です。あまりに不格好なパッケージでは商品の価値自体を落としてしまうことにもなりかねませんし、かと言って大企業が作るような手の込んだオリジナルパッケージを印刷会社で量産してもらうにはかなりのコストがかかります。(版代などの初期費用が高くなるため、数をたくさん作らないと安くならない。)

個人メーカーや手作り作家さんにとってオリジナルパッケージの印刷はコスト的なハードルがとても高いのです。そこで代替案として出てくるのが既製品の無地のパッケージにオリジナルのシールなどを張り付けてオリジナルパッケージを作成する方法です。シールであれば家庭用のインクジェットプリンターで簡単に印刷できます。

ですが、この方法、やはりシールであることが一目で分かってしまうため、若干見劣りしてしまうのと、あと、長時間の保管や輸送中にシールがはがれてしまう心配があるんです。

そしてもう一点、これは私が直面した事例なのですが、「Amazonでのブランド申請が通らない」という問題がありました。

Amazonでオリジナル商品を販売するセラーはそのブランドをAmazonに登録することができます。ブランド登録ができるとAmazonがある程度そのブランドを保護してくれるという仕組みです。

そのブランド申請を行うにあたって必要な条件の一つに、ブランド名かブランドロゴが印刷されたパッケージ写真の提出、というものがありました。しかしこのロゴ入りパッケージの申請、”シール”では申請が通らないんです。(2023年現在ではこの条件は無くなったとの情報もあります。)

私は当時シールでパッケージにロゴの入れていたため、この条件をクリアするために非常に苦労したのを覚えています。当時の私はパッケージに1つ1つロゴマークをレーザー彫刻することでこの条件をクリアしました。しかし、レーザー彫刻は手間と時間がかかる上に、レーザー彫刻自体のコストも無視できません。レーザー加工機を所有している場合は手間と時間だけの問題で済みますが、レーザー加工機自体を持っていない場合は、わざわざレーザー加工機をレンタルできる工房まで材料を持っていき、レンタル費用を払ってパッケージの加工を行う必要があります。

もうお分かりかと思いますが、このようなときにオリジナルはんこが全ての問題を解決してくれます。はんこは印刷と原理が同じなので、見た目にも見劣りせず、シールのようにはがれる心配もありません。はんこ自体は安く制作できますし、押印するだけなのでレーザー彫刻のような手間も時間も必要ありません。

既製品の無地パッケージにはんこを押してオリジナルパッケージを製作するというこの手法は、一度見聞きすれば当たり前に思いつく方法のように思われるかもしれませんが、知らない状態でいざその立場になると意外に思いつかないのではないでしょうか。(少なくとも当時の私には思いつきませんでした。)

皆さまもオリジナルパッケージの製造に困ったときにはD-fabまでオリジナルはんこを作りに来てください。

D-fabではモノづくりでの創業を目指す人を支援しています。個人作家、手作り品販売などの小規模事業者も対象ですので興味のある方は一度D-fabまでお越しいただければと思います。