院試(東北大学理学研究科物理学専攻)が一通り終わったので,記憶が新しいうちに感想を書いておこうと思います.
08:30
集合時刻.ただその時間になっても試験官の姿はない.多少遅れても問題なさそう.
08:35ごろ
試験官がやってくる.
08:45
試験上の注意事項の読み上げとともに, 1時間目の基礎数学の問題用紙と解答用紙が配付される.解答用紙はA3で,用紙の両面に問題番号がふってある.大問1つにつきA3片面を使える.
09:00
基礎数学の試験開始.
[1]行列形式で書かれた2階微分方程式
[2]Fourier級数と数列の無限和
[3]1次元波動方程式
[4]複素積分
とりあえず[1]に取り掛かる.1)は固有値と固有ベクトルの問題だとして2)ってどうやるんやったっけ?1階やったら行列の指数関数やけど・・・? よく分からなくなったので[2]へ.
[2]は過去問によく似た問題があったので3)まではサクサクと.4)あれー?どうやるやったっけ?(2度目)諦めて次の問題へ.ココまでで試験時間の半分を使う.
このあたりで試験官による本人確認.
[3][4]どっちやるか悩んで,[4]をやることに.留数計算して実軸以外の積分の寄与がR→∞で消えるやつっしょ,と思って計算したら留数が複素数に(実数になって欲しかった).困ったなあと思いつつその時は円弧の寄与が消えないことに気づかず複素数の実数部分を解答に.残り10分を切る.
[3]のモヤモヤが払拭できないまま[4]に.とりあえず1)の途中までやって時間切れ.
体感の出来は5割.いつまで経っても数学だけは本番に弱い(実力もない).
10:00 - 10:15
休憩時間.名目上は30分あるが10:15には着席なので解答用紙回収時間を考えると休憩時間は10分程度.解いた過去問などを見直す.
10:15 - 10:30
試験上の注意事項が(以下略),力学と電磁気学の問題用紙と解答用紙が配付される.力学と電磁気学ともに各大問につきA3の解答用紙が1枚配付され,両面使うことができる.
力学の解答用紙が[1]用のものと[2]用のもの合わせて2枚配付され,力学が2題出題されていることを悟る.去年から続いたこの傾向(質点の力学と剛体の力学で1題ずつ)は今後も続くと考えて良さそう.
電磁気学はいつも通り2題.
10:30 - 12:30
力学と電磁気学の試験開始.
やはり力学は[1]質点と[2]の剛体の2題.[1]の方が簡単そう?とか考えつつ電磁気も見てみる.[1]静電場と[2]磁場中の閉回路.どう考えても[2]が面倒そう.
というわけで力学の[1]に取り掛かる.久しぶりにパラメータ表示された曲線の長さとか計算した(計算できてよかった).5)がうまく計算できなかったので次の問題に進むことにする.ここまでで30分経ってなかった気がする.
[2]剛体.力学演習でも出てこなかったような難しめの問題.とりあえず公式通り重心の運動方程式と回転の運動方程式を立てて,すべらない条件から変数を1つ消去して微小振動の方程式,そして周期.ココまではできるがその先が厄介.考えてても仕方ないので電磁気学へ.50分くらい経ってた気がする.
電磁気学[1]静電場.過去問で見たことあるような問題.あまりにサクサク解けすぎて不安になる.80分経過.
[2]静磁場.円電流が作る磁場を計算できずに焦る(結局できた).2)以降の回路が傾いた場合の計算で,位置ベクトルと電流素片ベクトルがぐちゃぐちゃになって時間を溶かす.トルクだけはm×Bで計算できることは知っていたので答えだけそれで出したところで時間切れ.
力学7割.電磁気学6割.
12:30 - 13:15
答案回収ののち昼休憩.休憩時間は13:30までだが,例によって15分前までに着席なので13:15まで.眠くなってはいけないので昼食は軽めにしつつ,ちょっと外に出て体の空気を入れ替え,次の試験に備える.
13:15 - 13:30
試験上(以下略).量子力学,熱・統計力学ともに各大問A3の解答用紙1枚ずつが配られる.どうやらいつも通りの出題.しかも熱力学は予想してた問題(Joule-Thomson過程)の様.勝ったな(確信).
13:30 - 14:30
試験開始.
例によって全体的に問題を見渡す.量子力学[1]は1次元調和振動子.これはいけそう.ただ最後が時間発展絡みで面倒そう.[2]は中心力ポテンシャルの問題.昨晩解いたとこなのでまあいけそう.[1]熱力学はやはりJoule-Thomson.これを最初にしばくことになりそう.[2]は昨年に引き続き古典統計力学.ちゃんと読んだわけではないけど後半は難しそうだから後回しかな.
というわけで熱力学[1]にとりかかる.難なく4)a)に到達.しかしb)からがよく分からない.それっぽい答えを書いて次に移る.ここまでで20分くらい.
簡単めなのから倒そうということで量子力学[1]をしばく.親の顔より見た調和振動子の問題なので速攻で5)まで終える.6)以降は少し悩む.時間発展ってどう表すんやっけ??? すぐに思い出せなかったので[2]へ.ここで50分くらい.
続いて量子力学[2].上に書いたように昨晩解いたのとほとんど同じなので解答するというよりはほぼ写経に近い.そんな感じで1)を終える.2)をやるより統計力学を先に片すことにする.80分経過.
統計力学[2].1)と2)は手を動かすだけ.久しぶりにグランドポテンシャルを計算するなどした.3)以降どうなんだろ,と思って問題文を読むと意外といける・・・?と思ったら中身はほぼ手の運動だった.6)の最後を大分配関数で割り忘れたことに帰途で気づく.105分くらい経ってた気がする.
戻って量子力学[1].うろ覚えの時間発展演算子で計算.最後の期待値まで求まった!と思って満足して試験を終えた.よくよく考えたらe^{iωt}が入ってるのまずくね?と試験後に気づく.
量子力学7割.熱.統計力学8割.
中1日空いて面接試験.前日の17時過ぎに筆記合格の連絡があった.
8時過ぎ
朝食を買いにスタバへ行く道すがら大学から電話.zoomの登録をしてくださいとの連絡.直前にすればいいやと思って放置しててごめんなさい.
8:45
zoomに接続する.
9:00
全体説明開始.受験番号ごとに大まかな面接予想時刻が提示されるので,それまで待機.僕は早い方で9:30ごろのよう.
9:40ごろ
面接開始.本人確認のための受験票の提示を行ったのち.本題へ.聞かれたのは①研究室の志望動機②卒業研究の内容③卒業後の予定.いずれも1分ずつくらい.最後に併願してるかを聞かれて終了.全体で5分も掛からなかったような気がする.
基本的に過去問を回したら良さげ.特に物理学専攻の公式HPに掲載されている最も古い過去問より1年前の題材が採用されやすい(例えばR5入試の場合はH28入試)ので,要チェック.
力学についていうと,従来通りの質点の力学と昨年から出始めた剛体の力学が1題ずつ出題されるようなので,剛体の力学は別途対策が必要そう.共立『詳解力学演習』など.
過去問を十分に解いたなら猪木・川合の2巻目をやってもいいかも.
研究室の志望動機や卒業研究の内容,そして大学院でやりたいことを聞かれるのでその辺りはメモを準備しておくと良さげ.大学院を出た先のこともちょっと聞かれる.
まあでもあれだよ,今この記事読んでる人は問題なく受かるよ(他大を受けるなら話は別だが).