線型代数、微分積分、集合位相といった基本的なことを学んだ人向けの楽しい幾何学勉強ルートの紹介です。
幾何学総論的なポジションとしてシンガー=ソープ『トポロジーと幾何学入門』を勧めたい。古典的曲面論を除いた学部で学ぶ幾何学の全部が一冊にまとまっているのでとりあえずこれをしっかり読んで興味を持った分野に行くといいと思います。話は集合位相に始まり、基本群と被覆空間、単体複体、多様体、リーマン幾何とマジでめっちゃ書いてて面白い。
あと幾何学をやるうえでの一つの指針となるpdfも紹介しておきます(東大の古田幹雄先生によるadviceです)
1冊目に勧めたいのは舛田幹也『代数的トポロジー』。サクッと読んでしまうといいです。代トポをやろうとすると加群の知識が必要になるが、この本では一章で基本的な性質が説明されているので問題ない。集合位相の軽い話を分かっているなら十分に読める。基本的な命題が飛ばされている(5-lemmaやmayer-vietorisなど)のでそのあたりは適宜調べる必要がある。
2冊目に勧めたいのは坪井俊『ホモロジー入門』。上の本では単体的複体からホモロジーが導入され極めて直感的かつ歴史的であるがそのため具体的な計算で振り回せる力が弱い。ので、公理的に導入されCW複体の登場が早く、計算問題も豊富なこの本でハイパー計算人間になろう、なりたい。
追加で面白そうな本としてはHathcer『Algebraic Topology』。かなり分厚いので気になるところだけ読めばいいと思う。具体例が豊富で楽しい。あと洋書の中ではぶっちぎりで安い。なんなら本人がブログで全文挙げている。洋書はこういう分厚いけど中身としては具体例が豊富でイメージつきやすいみたいな本が多い気がしてとてもいいですね。まだ全然読んでませんが。
もっとハードなものとしては服部晶夫『位相幾何学』とかがある。序文に幾何学的イメージをとか言っているが図も何もなくてつらい。めちゃくちゃいろんなことが書いているので辞書的に使うのがいいと思うが途中から見ても何かいてるか分からん。つらい。
とりあえず1冊目は小林昭七『曲線と曲面の微分幾何』。微積と線形が出来れば全部読めるので一年生後期、二年生前期くらいの人が幾何の楽しいところを見るのにすごくいい。読みやすいんだけど、定義・命題・証明というような形式を取っていないので自分でしっかりどこが定義か、どこから証明で必要になっている仮定は何かといったことを意識しながら読むべし。演習問題も解ける問題がほとんどなのでしっかり取り組むといいと思います。
2冊目はTu『An Introduction to Manifolds』か松本幸夫『多様体の基礎』。二冊とも位相の話も含めて書いてくれているので(Tuは付録の部分にある)初学者向けといえる。Tuの方がちょっと体力がいるような気もするが、リー群もしっかり扱っているし、ドラームコホモロジーまでちゃんとできるようになる構成になっている。多様体使える人間になるのはTuかなあという気がしている。
3冊目に勧めたいのはWarner『Foundations of Differentiable Manifolds and Lie Groups』か森田茂之『微分形式の幾何学』。どちらも多様体の基本的概念のまとまった章に続き調和解析(ホッジ理論)まで載っている(森田茂之はさらに特性類についても載っている)。より発展的な幾何学を学ぶ上で大事なことを学べる本だと思う。
次に続きそうなのはTu『Differential Geometry』とかゲージ理論とか微分トポロジーとかそういうのかなあと思うけど僕がしっかり読めているものがないので割愛
C0 飯塚