建物の位置・高さ・日影の問題
建設地に計画されている場所は昭島市を走る青梅線北側から西武線までの大半を占めている、ゴルフ場として親しまれた「昭和の森ゴルフコース」全てを物流施設・データセンター施設に変貌させる計画です。
計画通りに建物が建てられると、計画地北側の住宅への日影の問題やこの景観を楽しみに住まわれてきた皆さんの生活が一変することは間違いありません。
計画における問題は多岐に亘りますが、このページでは建物高さの規制があるにもかかわらず計画が立てられている状況の理解を進めるためのページです。
GLPはその点を十分に理解しているにもかかわらず無理な計画を立てているように思えます。
我々も、計画地にはどのような規制があり、GLPの計画のどこに問題があるのかを知らなければ、GLPに対抗できないと思います。
そして「撤退や縮小」を実現させましょう
★注記★
建物高さの制限について、横田基地の高さ制限については間違った解釈をしていたようです。横田基地の高さ制限については、昭島市地区計画のページに修正内容を記載しておりますので先ずはこちらからご確認ください。
https://sites.google.com/view/akishimawokangaeru/Akishima-City-Comprehensive-Plan
また、このページをご覧いただき参考とされてこられた皆様にはお詫び申し上げます。
次に、建築基準法に基づく北側斜線の解説に於いても、記載した内容をもう少し調査しなければいけないようです。現在調査中ですので、以下の内容は参考としてご覧ください。
GLPの計画する規模と建物高さ
計画地のエリア.図1
GoogleMapを参照し作図しています。
GLPの計画では、ゴルフ場として親しまれた「昭和の森ゴルフコース」に物流施設:6棟、データセンター:9棟を建設するというものです。そしてその広さは東京ドーム12個分、ディズニーランドがすっぽりと入る広さです。
建物の高さはそれぞれ次の通りですが、その高さにはいくつかの問題があります。
データセンター 高さ 40メートル
物流施設 高さ 35~55メートル
この度のGLP計画地には幾つかの建物高さの制限を受けると考えられる法律や規制があります。そのそれぞれの内容、「東京都景観条例・玉川上水景観基本軸」「横田基地の制限空域」等についてみていきたいと思います。
東京都景観条例・玉川上水基本軸
図に示している青色の範囲は、GLPの計画地のすぐ北側を流れる玉川上水の中心から北側100mの範囲を示しています。
この範囲は、東京都景観条例・玉川上水景観基本軸により制限が設けられている地域で、昭島市の「用途地域等に関する指定方針及び指定基準」に於いて、大半は第一種低層住宅専用地域に指定され、建物の最高高さは10mとされています。但し「西武立川駅南口地区地区計画」に於いて住宅地の最高高さは12m、一部にマンションが建てられていますが15mほどの高さになっています。
同地域には立川市との境界もあり、立川市も「西武立川駅南口地区 地区計画の運用基準」を定め、昭島市と同様に住宅地の最高高さは12mとしています。
その様な指定となる理由は「東京都景観条例・玉川上水景観基本軸」に於いては次のように定められているからです。
玉川上水景観基本軸の定める区域は、玉川上水の中心から両側それぞれ100mの地域で、
高さは、周辺建築物群のスカイラインとの調和を図り、著しく突出した高さの建築物は避ける。特に、玉川上水や緑道の樹木と隣接する敷地では、玉川上水や緑道に面する建築物の高さが、玉川上水や緑道の樹木の最高高さを超えないよう工夫する。玉川上水沿いの散策路や周辺の主要な眺望点(道路・河川・公園など)からの見え方に配慮した規模とする。
両市の定めるこの住宅地並びに玉川上水北側の建物高さは、玉川上水景観基本軸を基本として定められていると共に、立川市、昭島市の境界を越えた景観の連続性も保たれています。
計画地のエリア.図1
GoogleMapを参照し作図しています。
玉川上水景観基本軸より参照.図2
玉川上水中心から100m南側エリアの地区計画は
昭島市地区計画ではこの範囲には建物を建てない、若しくは建てても高さは15mまで
図1のピンク色のエリアは玉川上水中心から100m南側の範囲です。
この範囲は東京都景観条例・玉川上水景観基本軸が定める制限を受ける範囲であり、建物の高さは立木の高さを超えないように配慮することが求められています。
玉川上水中心から100m北側の範囲(青色のエリア)ではそれを遵守し、昭島市の地区計画では第一種低層住宅専用に指定しています。
出来ればこの範囲には建物を建てない、若しくは北側と同様に高さ15m程度を建物高さの制限とすべきと考えます。(参照:昭島市地区計画図)
しかしながら、GLPの計画ではこの範囲に40m高さのデータセンターが建設する計画となっています。(ピンク色エリアのDCが重なっています。)
GLPは一切の質問に応えようとしないので分かりませんが、GLPはこの制限があることは知っているにもかかわらずこのような計画を立てているとしか考えられません。これも計画が届け出制になっているため、先ずは計画を立て提出してみるということではないかと推測します。
計画では、24時間稼働する高さ40mのデータセンター(DC)が、玉川上水沿いのほぼ1.5㎞に亘って林立します。敷地内はアスファルトに覆われ 高いビルの間を通り過ぎるビル風、突風が吹き荒れることが危惧されます。歩行者への危険や周辺の動植物が心配です。
● 高さ40mの建物が建つと、北側エリアの低層住宅には日影問題が発生します。
● 高い建物が林立し、現在のスカイラインを確保できなくなります。
● 景観の連続性の維持が必要です。立川市⇒昭島市⇒福生市に引き継げるような景観を作る必要があります。
「景観条例・玉川上水景観基本軸の景観形成基準」
玉川上水の中心から両側100mの範囲には「景観条例・玉川上水景観基本軸の景観形成基準」という次のような基準が設けられています。
玉川上水沿いの自然環境に対して、通風、日照、開放性に配慮したオープンスペースが確保されているか。
玉川上水の緑を周辺の街から見通すことができるような視界が確保された配置となっているか。
壁面の位置の連続性や適切な隣棟間隔の確保など、周辺の街並みに配慮した配置 となっているか。
周辺建築物群のスカイラインとの調和を図り、著しく突出した高さの建築物は避ける。特に、玉川上水や緑道の樹木と隣接する敷地では、玉川上水や緑道に面する建築物の高さが、玉川上水や緑道の樹木の最高高さを超えないよう工夫する。
玉川上水沿いの散策路や周辺の主要な眺望点(道路・河川・公園など)からの見え方に配慮した規模とする。
形態・意匠は、建築物自体のバランスだけでなく、玉川上水の自然環境や周辺建築物との調和を図る。
玉川上水の樹林への日照や通風など、自然環境に配慮した形態とする。
外壁は玉川上水や緑道に面する壁面を分節化するなど、長大な壁面を避け、圧迫感の軽減を図る。
色彩は、別表2の色彩基準に適合するとともに、周辺景観との調和を図る
屋根・屋上等に設備等がある場合は、建築物と一体的に計画するなど周囲からの見え方に配慮する。
建築物に附帯する構造物や設備等は、建築物本体との調和を図る。
玉川上水沿いにオープンスペースを確保し、隣接するオープンスペースとの連続性を持たせる。
敷地内はできる限り緑化を図り、玉川上水の緑と一体的な空間とする。また、屋上や壁面の緑化を積極的に検討する。
緑化に当たっては、武蔵野の緑に適した樹種を選定するとともに、植物の良好な生育が可能となるよう、植栽地盤を工夫する。
敷地内に自然の水面や湧水がある場合は、それらを生かした計画とする。
宅地部や田園部の閑静な街並みでは、過度な照明を使用しない。
外構計画は、敷地内のデザインのみを捉えるのではなく、隣接する敷地や道路など、周辺の街並みと調和を図った色調や素材とする。
横田基地の制限空域
横田基地では離着陸時の航空機の安全確保や、航路下の住民の安全確保の観点から、航路下の建築物には高さ制限が設けられています。昭島市は横田基地と隣接しており、GLPの計画地もその制限を受ける範囲にあります。
今回のGLPの計画では「物流施設の高さが35~55m」となっていますが、この高さは制限空域の制限から逸脱していると思われますのでその理由を下記に説明したいと思います。
もしこの建設計画が許されるようなことがあれば、制限空域を無視した高さの高い建物が林立する危険な街になってしまいます。
我々の命を守るためには、この計画を阻止し、安全を確保させる必要があります。
横田基地の航空制限の範囲
昭島市のホームページでは横田基地に係る航空制限について次のように説明されています。
「航空法による高さ制限について」(昭島市 (akishima.lg.jp) より転写)
航空の安全を確保するために周辺の一定空域を障害物が無い状態にしておく必要があり、一定の高さを超える物件等を設置することはできません。
各空港ごとに制限表面が設定されており、その制限表面の上に出る高さの建造物、植物その他の物件を設置し、植栽し、又は留置することは禁止されております。
昭島市域では横田基地、立川飛行場の2つの空港による制限がありますが、この度GLPの計画地は横田基地の制限を受ける範囲にあります。
横田基地の制限空域の地図は次のリンクから確認することができます。
横田基地の飛行場の制限空域の地図(外部サイトにリンク)
表示される地図の、
① 飛行機の離着陸航路の丁度171m近辺(161mと181mの真ん中辺り)に計画地の西側の一部が掛かっており、
② 残りの大半は186mのエリアにあります。
昭島市HPの解説では、この地図に表示される制限表面(●●m)から横田飛行場の基準標高(141m)を引いて建物高さを算出するとあります。
詳細な見方は、「防衛省 北関東防衛局 横田防衛事務所おしらせ(外部サイトにリンク)にも解説がありますのでご確認ください。
計画地に位置と建物高さ
地図から得られた基準より建物高さを計算すると次のようになります。
①のエリアは、171m-141m=30m
②のエリアは、186m-141m=45m
この計算から得られた値を見る限り、GLPの計画はこの制限空域の高さ制限を超えていると言えます。
先にも記載した通り、この高さを守らせることが航空の安全のみならず眼下の住民の安全を守ることになります。
上記資料の作成後、改めてこの横田基地の高さ制限について、再検証し下記のページに説明をしています。
上記の141mという数字を、現地標高117mに変えて計算をすることが必要なようです。
https://sites.google.com/view/akishimawokangaeru/Akishima-City-Comprehensive-Plan
都市計画・建築基準法からの建物の日影対応について
昭島市都市計画図に於いて、当該計画地は「準工業地帯」の「第2種高度地区」に指定され、建設物の高さ制限が設けられています。
第2種高度地区の建物の要件
昭島市地区計画に於いて、GLPの計画地は準工業地域 第2種高度地区に指定されており、そこに建てる建物の高さ等について次のように定められています。
建築物の各部分の高さは、当該部分から前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離が8メートル以内の範囲にあっては、当該水平距離の1.25倍に5メートルを加えたもの以下とし、当該真北方向の水平距離が8メートルを超える範囲にあっては、当該水平距離から8メートルを減じたものの0.6倍に15メートルを加えたもの以下とする。
用途地域の説明は、昭島市のHP(下記リンク)からご確認ください。
https://www.city.akishima.lg.jp/s094/010/010/010/050/20140916001218.html
この要件に合わせ建物側面図を作成してみると、下図のようになります。図右側が玉川上水方面:北側です。
このように建物形状が北側(玉川上水方向)に傾斜している理由は、建物北側に位置する住宅等への採光などの観点から求められた形状です。
尚、作図にあたり下記に留意して作成しています。
上図の説明図のように道路がある場合は道路斜線制限がありますが、現在の計画では隣接道路などの関係や建物の大きさが示されていないため対象外としています。
建物奥行112mは、施設配置計画図と地図とを比較検討して概算で算出した長さです。
上記第2種高度地区の定めに基づき、建物側面図は下記手順で作成しています。
① 水平基準面より5mを立ち上げ
② 北側から8m奥行まで1:1.25 の傾斜線を引く(高さ15m)
③ 8m奥行の罫線から 1:0.6 の傾斜線を引く
そのまま延長すると約77mの高さになります
④ 横田基地航空管制からの高さ規制45mを水平方向に書き入れ完成。
尚、横田基地航空管制からの高さ規制を考えると、計画地西側の一部エリアでは高さ制限が30mであることから、上図の45m高さの水平線が、30m高さに制限されることになります。