昭島市地区計画


玉川上水南側地区の地区計画策定に関する懇談会に出席しました。その時の気付きを書き留めています。

その後GLPの説明会もありましたので、内容を一部更新しています。

懇談会に参加して

懇談会に参加して感じるのは、市は何をしたいのかが見えないということ。そして配布された資料にはGLPが計画を進めるにあたりどうしても整合性が取れない部分を、地区計画の為の事前懇談会という名目で出された資料に、知らぬ間に刷り込まれようとしている、錯覚させようとしているようにしか思えない資料の配布がありました。

その後、GLP計画の説明会が開催されました。その配置について先ず説明しておきます。
下図左は初期の計画、右は変更後の配置です。物流施設は6棟を3棟に、データセンターは9棟を8棟に変更されましたが施設の面積は計画通りで、依然データセンターは玉川上水から100mの範囲に林立しています。

GLPの初期計画の配置

GLPが新たな配置

代官山北側には新設道路を挟んで中央公園を作り、緑道でつなげる緑のネットワークを作るとありますが、 昭島市内には無い片道2車線の4車線通の16m道路が南北のつながりを分断していて、これで緑のネットワークが作れるというのでしょうか。東西道路の新設には多くの問題がありますので、改めて説明をしたいと思います。

1.玉川上水景観基本軸における建物高さの考え方

玉川上水景観基本軸における景観形成基準の考え方

景観基本軸に於いて、景観形成の目標とは次のようにかかれています。「玉川上水や河川沿いの水と緑を帯状に 連続させ 、 親水空間の拡張を図るとともに、周辺の歴史的・文化的遺産を生かした 街並み 整備を 併せて 実施し 、季節感 や 潤い 、 玉川上水の歴史が 感じられる 景観 形成を図る。」とあります。

そしてそのイメージを表現するイメージとして左図があります。

高さは、周辺 建築物群 のスカイライン と の 調和 を図り 、著しく突出した高さの建築物は避ける。 特に、玉川上水や緑道の樹木と隣接する敷地では、玉川上水や緑道に面する 建築物の高さが、玉川上水や緑道の樹木の最高高さを超えないよう工夫する 。

 玉川上水沿いの散策路や周辺の主要な眺望点 道路・河川・公園など からの見え方に配慮した規模とする。

懇談会での建物高さの考え方

懇談会の資料にで左図「玉川上水沿いの建築物の考え方」が掲載されていました。眺望地点をどこにするのかで対象となる建物の高さの見え方が大きく変わってしまいます。

角度を調べると32度ほどで線が引かれているので、冬至の南中高度を意識した角度なのかもしれません。

この二つの図の違いは、条例では立木の高さを超えないようにと、対岸にある立木と立木を意識しながら、遠くに見える山々などを意識してラインを引きそれをスカイラインとしています。

しかしながら懇談会資料では、立木に高さをはるかに超える建物を最初から想像し、その建物に向けてラインを引いています。まるで高い建物があることを前提にしたイラストを作成し、理屈に合ったような見せ方をして、まるでイメージの刷り込みがあるように思いました。

何のために景観条例はあるのでしょう?

景観条例は届出制とはいえ基準を設けているのであればそれを守る、守らせることが必要ではないでしょうか。
このようなことで、玉川上水景観基本軸が定める目標を達成することができるのでしょうか?
何かの案件がある都度に解釈が変わるようであれば法律とは言えないのではないでしょうか。

昭島市の建物高さの現状と将来の予想

「周辺建物の高さ」という資料(下左)を見ると、昭島市には高さの高い建物はほとんどありません。
市民に説明をする資料ですから、何故GLPの施設ができた時の状況を示さないのでしょう。GLPから発表された新しいイメージを書き込んでみました。データセンターは35m、物流施設は西から4055m、45m となっています

どれほどの高い施設ができるのか、一目瞭然です。

玉川上水からの景観の悪さだけではなく、昭島駅北側エリアのどこから見ても際立って高い建物が出現します。
懇談会では、名古屋城の高さの物流施設が、市のど真ん中に突然出来たらどのように思いますかとの質問も飛び出しましたが、本当に高くて圧迫感のある施設です。下に眺望のイメージ変化を掲載しておきます。

※ 名古屋城の高さは55.6m(天守36.1+石垣19.5)で、石垣を入れた評価では日本で一番高いお城だそうです。

懇談会資料の図

GLP施設を書き込んだ図

つつじが丘団地から施設眺望

つつじが丘団地の現在の眺望

つつじが丘団地の側方からの眺望

つつじが丘団地の側方からの現在の眺望

西武立川駅からの眺望

西武立川駅からの現在の眺望

2.横田基地の航空制限について

計画地は、横田基地の制限空域下にあり、航空法による高さ制限を受けるエリアにあります。昭島市のホームページでは都市計画の説明の中にこの航空制限の解説は記載されていますが、今回の懇談会資料には記載されていません。当日質問をすると事業者は十分にこの件について理解しているとの発言がありましたので、計画している建物高さには問題が無いかのように聞き取れます。

もしそうであれば、55m高さの物流施設は立てられることになります。

でもなぜ今までそのような高さの建物が建ててこなかったのか。これを契機に高層の建物が建てられるようになるのでしょうか。今までの景観、まちづくりのイメージが変わってしまいます。

航空法による高さの制限については、航空管制からの考察 の項で説明していましたが、間違っていたと言わざるを得ません

55m高さが成立するのは?

左図を見て下さい。186mエリアの外側は196mとなっています。

196m-141m = 55m になります。

地図で見ると一部このエリアにかかっている土地があります。それで55mを主張するのであれば分かるのですが、その場所に建てる予定の建物平面は186mエリアにかかっていますので、45mしか建てられないと思っていましたが、実際には建てられるようです。

本来であれば昭島市が懇談会の席でその説明をすればいいはずですが、明言を避けましたので、確証はありませんが、下記により建てられると考えられます。

1.航空自衛隊のホームページに航空法の高さ制限について次のように記載されています。

「進入表面、転移表面又は水平表面の高さを越えて建造物、植物その他の物件を設置、植栽及び留置することは禁止されております。」 https://www.mod.go.jp/asdf/iruma/osirase/info_avi/index.html

2.昭島市HPの解説には、下記と書かれています。

横田基地の飛行場の制限空域の地図に表示される制限表面(●●m)から横田飛行場の基準標高(141m)を引いて建物高さを算出するとあります。 

3.防衛省 北関東防衛局 横田防衛事務所おしらせ但し書きに下記とあります。

「調べたい地点の標高が基準標高(141メートル)より高い場合には、141メートルではなく、調べたい地点の標高を引くこととなる」とありました。

以上の中に、調べたい地点の標高が基準標高より高い場合は書かれていましたが、調べたい地点の標高より低い場合は書いておらず、勘違いをしていましたが建築可能な高さは次により確認するようです。

 「横田基地の飛行場の制限空域の地図に表示される制限表面」から「計画地の標高」を引く。

計画地の標高を「国土地理院の地図 」で確認すると計画地の標高は111m~116m強です。

それを前提にすると、

 186m-141m = 45 m ではなく
 186m-117m = 69 m となり、十分に55mは建てられることになります。

.新設道路は交通渋滞の緩和になるのでしょうか

交通渋滞の緩和については、課題の一つとしながら地区計画の中ではルール化など定めることができないとしています。
しかしながら「安全性・回遊性を考慮した通行空間」という項目で交通負荷を軽減する東西方向の道路と、安全な歩行者空間の確保としています。

この道路は事業者の提案で、これをうのみにして受け入れたらどうなるのでしょう。

新規提案の新設道路は渋滞の元

今回事業者が新設道路を提案している。縦の移動(はなみずき通り)に対し横断する16m道路を提案することが渋滞解消の方法としています。
しかしながらこの新設道路ができると当然信号が取り付けられ今以上の渋滞が発生する可能性があります。それは信号の多さです。

新設道路はGLPの施設内の移動を行う目的の為のものであり、地域住民が渋滞で困るであろうことへの対応ではありません。

この新設道路はかえってはなみずき道路の大渋滞を起こす可能性は無いのでしょうか。

昭島市と立川市は共同で交通問題を考えなければいかないのではないでしょうか。

新設道路付近の現在の渋滞の状況のアニメーション

左のアニメーションは、新設道路付近の朝8時頃の1週間の渋滞状況を示したものです。

土曜日、日曜日の朝はさほどの渋滞は見られませんが、月曜日~金曜日の朝8時頃は、既に渋滞が始まっています。

この交差点は上記の3.の交差点で、近くに西砂小学校があり、子供たちの通学路と重なり事故を心配する声が絶えないエリアです。

この道を朝からトラックが通ればどうなるでしょう。大渋滞が引き起されることは間違いなく、側道に逃れようとした車が事故を起こす確率が高くなるのではないかと心配です。

この道の渋滞回避は誰が対策すべきなのでしょう。建設地は昭島市、左の交差点は立川市です。

昭島市と立川市が共同で対策を考えなければならない時期が来ているのではないでしょうか。

4.はなみずき通りは既にひび割れが走って危ない道路です。誰が補修するのでしょう。

はなみずき通りは既にひび割れなども発生し、自転車で走行するのも危険です。はなみずき通りに限らず、道路強度の問題があり、道路新設時の将来交通量予測の値を超えている可能性が無いのか、4月に行った直近の交通量調査の結果も踏まえ、広報して欲しいとお願いしました。

はなみずき通りの強度問題はこちら

道路の幅員の問題もあります。自転車で走行している時に車が並走する、追い抜かれる時には風圧を感じるてとても怖く感じます。これが乗用車でなく大型トラックともなれば大変危険なのではないでしょうか。
特に昭島市内を通ると予測される道路は市道中心です。強度や幅員は国道・都道には及ばない仕様ではないでしょうか。ましてや全て片側1車線です。
今昭島市では自転車事故が増えてきており、その対策は喫緊の課題です。
にもかかわらず今回の計画が実行されると今以上の交通事故が増えるのではないか心配です。

先ずは事業計画・建設計画の前に、交通量がどのようになるのかのシミュレーションを実施すべきです。
それに基づき道路計画を立てて実行すべきではないでしょうか。

「最初に事業計画・建設計画があって、それを実行した結果が多くの市民が困り、交通事故の遭遇し」ではなく、そうなる前に回避策を考えるのが行政の役目ではないでしょうか。

子供たちの命を守ってください。


そして今回の事業の為に市税で道路の補強や拡幅を行うことには反対です。
GLPは既に昭島市内に倉庫を有しており、このような事態が発生することは十分に知りえる環境にあり、事業を行うことにはそれなりの覚悟を持って実行しているはずです。問題点を事業者に全てぶつけ、回避策を策定させ、市民に全て公表してください。

それは市政の責任です。

5.懇談会は誰の為に開くのでしょう。 「市民に寄り添った市政を貫いて下さい」

今回の懇談会が開催されのは、昭島市役所(20日 19時~)、瑞雲中学校(22日 10時~)の2回。

何故この2回だけなのでしょうか。もしこの計画が実行されたら一番困ることが想定できる美堀町や堀向地区の住民の方に説明会を開かないのでしょうか。
近くには小さいながらも公民館もあり住民の方に丁寧な説明と要望を聞く努力を何故しないのか質問しましたが回答はありませんでした。
市が開催する懇談会については下記案内があります。

市役所広報:玉川上水南側地区の地区計画策定に関する懇談会及びパネル展示等を開催 

色々な事業が行われる時に、直接影響を受ける地域では苦情や要望が多く出されるはずです。少し離れていると、私には直接関係が無いからという意見も飛び出してくるでしょう。ですから本当に困るであろう人たちにヒヤリングすることが大切だと思います。

と同時に、決められた2回の開催では出席したくても出席できない人たちがいます。瑞雲中学校での開催の時間帯は丁度地域のお祭り開催の当日で、午前中はその準備でお大忙しで出席したくても出席できない人たちが多くおられました。瑞雲中学校はお祭り会場の真ん前で、地域の役員などはお祭り準備で大忙しです。しかし、昭島市は懇談会資料を展示するからとの一言で終わりました。

昭島市は何故、懇談会の回数を増やしたり、色々な地域で開催することができないのでしょう。
市長は建設委員会の場で「市民に寄り添っている」と発言されたのにと思うと、悲しくなります。

美堀町や堀向地区に住まう方にお聞きすると、水と緑に恵まれ、玉川上水を毎日散策できる、このような環境が好きでこちらに住まいを求めたとおっしゃっておられました。

住まいを求める、住宅を購入するというのは人生の大きな決断の結果です。その決断を簡単に否定されてしまう事態になる前に、住民の皆さんの声を聞き取り「市民に寄り添っていただける市政を貫いて頂きたいと思います。」