Kayoko Kobayashi.(2025). The Mystery of the Ultimatum Game; Why We Are Predictably Irrational. Springer.
https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-97-8979-5
キーワード
最後通牒ゲーム、適応合理性、アノマリー、利他行動、不公正回避
要約・ハイライト
本書は、『最後通牒ゲームの謎:進化心理学から見た行動ゲーム理論入門』の改訂英語版として、最後通牒ゲームに見られるアノマリーを手がかりとして、経済学の基盤を成す合理性概念を再検討する。
本書では、ヒトという存在を進化的観点から捉え直すことにより、従来の「合理性」と行動経済学における「限定合理性」とを統合する概念として、「適応合理性」という概念を提唱する。これにより、伝統的経済学と行動経済学とを対立的に捉えるのではなく、両者を統一的に理解するための理論的枠組みを提示する。
原著日本語版は、優れた経済図書として、第64回日経・経済図書文化賞受賞。英語版原稿は、優れた論文として、第7回髙島國男自遊賞奨励賞。
Ida, T., Tanaka, M., & Ito, K. (2024). Smart grid economics: A field experimental approach to demand response. Springer Singapore.
https://doi.org/10.1007/978-981-99-8577-7
キーワード
スマートグリッド、デマンドレスポンス、フィールド実験、行動経済学、電力市場
要約・ハイライト
・本書は、日本のスマートグリッド実証を題材として、デマンドレスポンスの経済学的理解を提示することを目的とした。
・2012年から2014年にかけて、横浜市、豊田市、けいはんな学研都市、北九州市で実施されたフィールド実験をもとに、行動経済学とビッグデータの観点から分析を行った。
・その結果、動学料金、習慣形成、情報摩擦、社会厚生といった論点を通じて、需要側介入と電力システム改革の政策的意義が体系的に示された。
Takahashi, Y. (2024). Japan's happiness index: concept, framework and a public policy tool. In Encyclopedia of Happiness, Quality of Life and Subjective Wellbeing (pp. 322-336). Edward Elgar Publishing.
https://doi.org/10.4337/9781800889675.00053
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幸福度指標、日本、政府
要約・ハイライト
ブータンの「国民総幸福量(GNH)」やフランスの報告書に象徴されるように、多くの政治指導者が幸福度指標に関心を寄せている。しかし、指標の策定には定義や測定方法といった技術的課題に加え、「政権交代による継続性の喪失」という大きなリスクが伴う。社会の改善を監視するには、指標が長期的に公表され続けることが不可欠である。
1970年代以降の日本の事例を見ると、指標が評価基準を満たしていても公表継続を断念したケースが多く、長期存続の鍵は「ステークホルダーにとっての正当性」にあることが分かった。2011年に日本政府が提案した幸福度指標は、経済状況、心身の健康、つながりの3領域からなり、市民からも理想的だと支持されたが、政権交代によって結局廃止された。
現在、世界中で政治的に開発されている幸福度指標が真に機能するためには、単なる政治的ツールではなく、一般市民にとっての正当性を備えているかどうかが厳しく評価されるべきである。
Singh, K., Takahashi, Y., & Kaur, J. (2019). Perceived happiness and its determinants. In K. Singh & S. Sigroha (Eds.), Translational research and applied psychology in India (pp. 121–191). Sage Publishing.
https://psycnet.apa.org/doi/10.4135/9789353287795.n5
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幸福、決定要因、インド、調和、平穏
要約・ハイライト
幸福に関する概念は、西洋と東洋で大きく異なる。西洋では主観的幸福感や「PERMAモデル」のように心理的・社会的な側面から定義される一方、東洋では内面の調和や心の平穏、内なる幸福の源泉(サット・チット・アーナンダ)といった自己の内面が重視される。
本章では、インド・ハリヤナ州の138名を対象とした実証研究である。当該研究は、一般市民が過去・現在・未来の幸福や人生の満足度をどう捉えているかに焦点を当てたものである。最良・最悪の人生や相互協調的幸福尺度(IHS)といった定量データに加え、対面インタビューによる定性データを組み合わせて分析している。
この研究の意義は、一般人の幸福観を浮き彫りにしたことにある。こうした知見は「翻訳的リサーチ」として価値があり、他国や地域が人々の実態に即したメンタルヘルス政策を策定する際のフレームワークを提供し得るべきである。
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https://www.researchgate.net/publication/335033761_Perceived_Happiness_and_Its_Determinants