Sasaki, S., Kurokawa, H., & Ohtake, F. (2021). Effective but fragile? Responses to repeated nudge-based messages for preventing the spread of COVID-19 infection. The Japanese Economic Review, 72(3), 371-408.
https://doi.org/10.1007/s42973-021-00076-w
キーワード
新型コロナ、社会的距離、ナッジ、利他性、オンライン実験
要約・ハイライト
・本研究は、COVID-19の感染拡大を抑えるために用いられたナッジ・メッセージが、人々の接触回避や感染予防行動にどのような影響を与えるか、またその効果が繰り返し提示されても持続するかを検証した。
・2020年4月から8月にかけて、日本の4,241人を対象とする4波のオンライン調査実験を実施し、5種類のナッジ型メッセージが自己申告による予防行動に与える影響を比較した。
・分析の結果、「自分の行動が身近な人の命を守る」と訴える利得フレームの利他メッセージのみが外出や他者接触を減らした一方、その効果は第3波以降には消失し、一部では逆効果も確認されたことから、感染症対策としてメッセージを用いる際には、文言や提示方法、対象者ごとの副作用まで慎重に検討する必要があることが示された。
関連タグ
https://news.yahoo.co.jp/articles/7dd4b9c45879115a93a60e9bde9b28042c8a59ca
Emoto, N., Okazaki-Hada, M., Yamaguchi, Y., Okajima, F., Goto, R., & Sugihara, H. (2021). Risk Preferences, Rationality of Choices, and Willingness to Pay for Preventive Medicine in Patients with Graves' Thyrotoxicosis. Patient Prefer Adherence, 15, 1971–1979.
https://doi.org/10.2147/PPA.S323472
キーワード
バセドウ病、甲状腺機能亢進症、医療費、
要約・ハイライト
・甲状腺機能亢進症は患者の精神状態に影響することが知られている。甲状腺機能状態によって行動経済学的性向が変化するかどうかを検証。
・新規発症のバセドウ病による甲状腺機能亢進症患者86名に甲状腺機能亢進状態時と甲状腺機能正常化後に行動経済学的質問票調査を施行。さらに33名のバセドウ病治療中で一年以上甲状腺機能正常状態が続く患者も調査に加えた。甲状腺機能亢進状態と正常状態ではほとんどの行動経済学的質問項目で変化は認めず再現性の高いものだったが、唯一、予防的医療に使う金額(willingness-to-pay)だけは甲状腺機能状態のほうが有意に高く血中甲状腺ホルモンT3濃度と正の相関を認めた。これには甲状腺機能亢進状態時のほうが自己負担医療費が高いことによるアンカー効果も一部影響している。
・甲状腺機能状態は測定された多くの行動経済学的性向に影響はせず、質問票は再現性の高いものであることが示された。ただし甲状腺機能亢進状態は高度であるほど高い医療費を受け入れるが、正常化するとその金額は低くなる。治療開始時の患者のinformed consent取得にあたり甲状腺機能状態を考慮し、必要に応じて再取得が必要である。
Ando, J. Wives’ gender identity, work hours, employment status, and life satisfaction: evidence from Japan. IJEPS 15, 103–124 (2021).
https://doi.org/10.1007/s42495-020-00052-z
キーワード
identity economics、gender identity、social norm、life satisfaction、part-time job
要約・ハイライト
・本研究の目的は連合総合生活開発研究所が日本、米国、仏国、韓国で実施した「生活時間に関するアンケート調査,2007」を用い、アイデンティティ経済学をフレームワークとして、妻の労働時間と生活満足度に関するこのジェンダー・アイデンティティ仮説を検証することである。
・日本、米国、仏国の妻について、専業主婦が最も生活満足度が高くなるとのHappy Homemaker仮説と、労働時間が長くなればなるほど妻の生活満足度は低くなるというジェンダー・アイデンティティ仮説の2つを検証した。
・実証分析の結果から、日本の妻にはHappy Homemaker仮説が支持されること、そして子を持つ妻についてはHappy Homemaker仮説とともにジェンダー・アイデンティティ仮説が支持されること、子を持つ妻は短時間だけ働くべきであるというジェンダー行動規範が社会に存在すること、ジェンダー・アイデンティティ仮説は米国と仏国の妻には支持されないことが明らかにされた。