Nishihata, M., & Otani, S. (2026). Reference points, risk-taking behavior, and competitive outcomes in sequential settings. Journal of Risk and Uncertainty, 72(2), 297-337.
https://doi.org/10.1007/s11166-026-09484-y
キーワード
参照点、プレッシャー、リスク、スポーツ競技
要約・ハイライト
・本研究は、ベンチプレス競技のデータを用いて、参照点から生じるプレッシャーが重量選択(リスク選択)と成功確率に与える影響を検証した。
・競技中の暫定順位を参照点として、逐次的な情報構造をもとに順位変動の可能性をライバルからの外生的プレッシャーと定義して分析した。
・分析の結果、平均的に参照点から生じるプレッシャーはリスク選択を促すが、成功確率への影響は順位が下がる局面と上がる局面で異なる。また、性別・経験・ライバル関係の歴史によっても効果は異質であり、競争環境がリスク選択とパフォーマンスに与える不均一な効果が示された。
Eugene Malthouse et al. (2026). Assessing private solutions to collective action problems in a 34-nation study. Proceedings of the National Academy of Sciences, 123 (12) e2504632123, 2026. https://doi.org/10.1073/pnas.2504632123
https://doi.org/10.1073/pnas.2504632123
キーワード
社会的ジレンマ, 協力行動, 公共財
要約・ハイライト
・34か国・7,500人超を対象とした大規模実験を通じて、人々が公共的解決ではなく private solution を選好する傾向を分析した。
・個人的回避策が利用可能になると、公共財への協力や集団的解決への支持が弱まるかを検証した。
・分析の結果、private solution の存在は協力行動を体系的に低下させ、「private solutions trap」が多くの国で観察されることが示された。
Shirasuna M, Yoshida Y (2026) Attempts to investigate what words trivia experts focus on in quiz questions: Human-AI comparison through “LLM-as-a-judge” approach. PLoS One 21(9): e0358332. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0358332
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0358332
キーワード
早押しクイズ、認知プロセス、大規模言語モデル、人とAIの比較、クイズ熟達者
要約・ハイライト
・一問一答形式の問題に答える際に、人は問題文の途中すなわち情報が不十分な場面でも、時に素早く的確に回答することができる。人が問題文中のどのような単語を重要視しているのかについて、LLMとの比較を通して検証した。
・少ない情報から素早く解を導く場面として、「早押しクイズ」に着目した。問題文の各単語(トークン)の重要度を定量化するAIシステムを構築し、実際の大会で使われたクイズ問題を用いて、「システムの出力」と「実際のクイズ熟達者の回答」とを比較した。
・クイズ熟達者は、一見すると正答と強く関連しない単語であっても、少数の単語から共通の概念を見出すなど、帰納的推論を迅速に行っていることが示唆された。人の認知プロセスをLLMの情報処理に応用することで、より高度な応答システムの開発に繋がるかもしれない。
Shirasuna, M., Honda, H., & Kagawa, R. (2026). Dilemma between Bias Interaction and Trustworthy AI in Human–AI Collaborated Judgments. Computers in Human Behavior: Artificial Humans, 100314.
https://doi.org/10.1016/j.chbah.2026.100314
キーワード
人-AI コラボレーション、行動実験、計算機シミュレーション、AI への信頼性、ブースト
要約・ハイライト
・本研究では、人が持つバイアス(例: 過大評価バイアス)とは逆方向のバイアス(例: 過小評価バイアス)を意思決定支援 AI に持たせても、正確な AI と同程度に判断の精度を向上させられる可能性を検証した。
・計算機シミュレーションと行動実験の結果、上記の予測は支持された。一方で人は、自分と逆方向のバイアスを持つ AI を(それを受け入れることが効果的だったとしても)「信頼できない」と評価しがちであった。
・本研究は、AI 使用者および AI 設計者双方への示唆を与える。すなわち、「自分と異なる意見を示す AI であっても、時にはそれを受け入れる」こと、および「人の認知的側面を考慮したうえで意思決定支援を行う」ことの重要性を強調している。
Ida, T., Ishihara, T., Ito, K., Kido, D., Kitagawa, T., Sakaguchi, S., & Sasaki, S. (2026). Choosing Who Chooses: Selection‐Driven Targeting in Energy Rebate Programs. Econometrica, 94(1), 225-247.
https://doi.org/10.3982/ECTA21180
キーワード
行動経済学、エネルギー政策、自己選択、ターゲティング、社会厚生、省エネ、リベート、実験経済学、政策設計、厚生分析
要約・ハイライト
・本研究は、エネルギー・リベート政策において、「誰に介入するか」だけでなく、「誰に選ばせるか」という制度設計が厚生に与える影響を明らかにすることを目的とした。
・家庭向けリベート・プログラムの実験データを用い、自己選択と処置効果の異質性を踏まえた厚生分析を行った。
・分析の結果、自己選択を活用したターゲティングは社会厚生を大きく高めうることが示され、政策設計における選択制度の重要性が明らかとなった。
Takebayashi, M., Koyama, T., Takebayashi, K., et al. (2026). Evaluation of self-weighing promotion interventions integrating health education with transparent priming and commitment nudges: A one-year randomized controlled trial. Social Sciences & Humanities Open, 13, 102520.
https://doi.org/10.1016/j.ssaho.2026.102520
キーワード
肥満予防、公衆衛生、セルフモニタリング、透明化、ナッジ
要約・ハイライト
・PrimingナッジとCommitmentナッジを透明化した上で、健康教育を組み合わせて定期体重測定を推奨した場合、1年後の状況を検討した。
・地域住民向け定期体重測定促進の研修会参加者を2群に分け、開始時にプライミング型ナッジ介入を実施(否定的プライミング群は肥満コストのクイズを、肯定的プライミング群は成功体験の共有)し、最後に体重測定の具体的な場所と時間の宣言を促された。
・1年後、両群ともに週の測定回数が1.1~1.2回増加(Cohen's d = 0.44-0.52)で、透明化してもメタ解析で算出された効果量と同等以上のインパクトが示唆された。
Takebayashi, M., Koyama, T., Kaneda, Y., et al. (2026). Impact of a transparent easy nudge-based notification on the follow-up examination behaviors in Japanese workers: A controlled experiment. JMA Journal.
https://doi.org/10.31662/jmaj.2025-0570
キーワード
産業保健、二次検査、受診促進、ナッジ、透明化
要約・ハイライト
・二次検診受診促進ハガキでEasyナッジを透明化しても受け入れられるのかを検証した。
・対照群には従来型の通知(「有所見項目に合わせて各自が医療機関を予約して報告してください」)を、ナッジ群には「Easyナッジを使います」と手の内を明かした上で受診すべき診療科を明記した通知を送った。
・ナッジ群が予約状況報告率は2倍以上、受診率は5倍以上高く、透明化しても受け入れられたと示唆された。