SYMPOSIUM 2016
連続講演会「映像×メディアの未来」
第1回 「日本における公共放送の役割」(2016年10月24日)
公立はこだて未来大学 システム情報科学部教授 前NHK経営委員会委員 美馬 のゆり先生
放送に国家権力が関与することを排除する。自分たちの責任で情報を得て判断していく。国営放送でなく公共放送であるメディアのあるべき理念を美馬氏は説明した。
報道活動の使命には二つの機能がある。一つは批判的機能。権力を監視監督し、必要な情報を市民に提供すること。もう一つはアジェンダ機能。社会の重要な争点を見つけ、公共の意見形成の課題として市民に伝える働き。いずれも現在、NHKの真価が問われている論点である。
「公共放送の主たる使命は報道と教育」という期待を美馬氏は述べつつ、聴講生たちに最後問いかけた。公共放送は必要か?必要だと思う番組の内容は?受信料は払うのか?
第2回 「報道機関の役割と課題」(2016年11月21日)
毎日新聞社 デジタル報道センター編集委員 元村有希子氏
講演では、報道の自由をうたった日本国憲法第21条から話し始めた。あとから聞くと、危機感を募らせているからだという。そして報道の「生命線」として、取材の自由とは「お金のやりとりを原則としてしない」ことと表裏一体であり、編集権の独立、取材源の秘匿の重要性を挙げた。
現在デジタル報道センターに所属する元村氏は、ネット世界への造詣も深い。新聞とネットとの特長を「じっくり学べる vs. すぐに知りたい」という図式で説明した。「メディアの特質を知り、使い分けることが大切」と語ったが、新聞離れの風潮には歯止めがかかりそうもない。
第3回 「チャップリンの遺産」(2016年12月1日)
脚本家・日本チャップリン協会会長 大野裕之氏
チャップリンが描いた社会とは何か、そして彼がメディア史に果たした重要な役割とは何かについてお話頂いた。 イギリスで大衆娯楽の演者として活躍していたチャップリンがアメリカに渡ったのは第一次世界大戦が勃発する1914年。20世紀型産業資本主義の隆盛を含め、世界の中心がヨーロッパからアメリカに移る時期であった。
キャラクタービジネスを生み出し、映画を世界的インフラとするなど、チャップリンがメディア史に果たした役割は大きいが、とりわけ「イメージ」が社会を動かす威力を持つことを最初に示した人物でもあるという。
チャップリン映画を鑑賞したことがなくともチャップリンは知っている、「蒸気船ウィリー」を観たことがなくてもミッキーマウスを知っている―――。 知らないけれど知っている気になっていることの怖さ。それを増幅させる新しいメディア。イギリスのEU離脱やトランプ現象、右極化する政治―――。現代社会でより顕著に、そして支配的になる「イメージ」の功罪を考えさせられた。
→詳しくは「News letter vol.7」をご覧ください。