第13回 ダイバーシティ&インクルージョン

ダイバーシティ(diversity)は一般に「多様性」と訳されます。人の集団でいえば、多様な属性(性別・人種・価値観など)を有する人たちが所属している状態を指します。一方、インクルージョン(inclusion)は「包括性」「一体感」と訳されます。多様な人々の個々の特性が十分に活かされ、一体感が醸成されている状態を指します。例えば、ジェンダー(社会的性別)はダイバーシティの一つの要素です。日本はジェンダー平等(SDG5)では世界の低位にあります1)が、これはジェンダーについてインクルージョンの面で問題があるとも表現できます。

ダイバーシティ&インクルージョンが達成された組織が望まれるのは、激しく変化する時代にあって、適応力に優れ組織の存続に有利なためと説明されます。ただ、そこまで功利的に考えなくても、斯様な組織であれば皆が生き生きと仕事をし、生活し、人生を謳歌できるからで良いと個人的には思います。

世界の動向を鑑み、昨年末、東洋大学SDGs推進センター内に2つ目の推進プロジェクトとして「ダイバーシティ&インクルージョン推進プロジェクト」が設置されました。東洋大学を、多様であるが互いに敬意を払い合う、一体感のある組織にすることが目標です。しかしながら、対象が余りに広く、何から取り組むべきか、どこまで進めるべきか、考え始めるとすぐに多くの難問に直面します。さらに、カーボンニュートラルと異なり数値化が難しいため、客観的な評価も中々できません。そこで、哲学の東洋大学らしく深く考え、地道な行動を積み重ねて目標達成に近づきたく思います。


1) 内閣府・男女共同参画局によると、世界経済フォーラムが2022年8月に公表した、各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数では、日本の総合スコアは0.650(0が完全不平等、1が完全平等)、順位は146か国中116位です。なお、この指数は「経済」「政治」「教育」「健康」の4分野のデータから作成されます。日本の特徴は、「政治」のスコアが0.061と極めて低く、逆に「教育」「健康」は1.000、0.973とほぼ完全平等に近い評価となっていることです。なお、「経済」は0.564です。


 出典:「共同参画」2022年8月号  (内閣府男女共同参画局) 

    (https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2022/202208/202208_07.html


\この記事を書いた人/

副学長 川口英夫

公開日:2023年2月1日