「椋の木のおはなし」は牧の原宝保育園長による保育エッセイです。(ほぼ)月に一度発行いたします!
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令和8年4月27日号
開園して15回目の春を迎えました。
新しい部屋、新しい先生、新しい友だち。毎年この時期はワクワクした様子と少し心配そうな様子を職員、子ども、そして保護者からも感じます。
全員新入園児のふたば組(0歳児)。初日は目新しい玩具で過ごせていたものの、2日目になると「ここは大好きなママと離れる場所だ」と理解し、朝はしっかりと泣くようになりました。
「そうだよね。さみしいよね。」先生が思いを受け止めます。抱っこされて安心したのか、少しずつ笑顔を見せるようになってきました。
「A君は給食後に10㏄ミルクを飲むと30分長く眠れたんです」と担任が嬉しそうに話してくれました。
わかば組(1歳児)の新入園児のB君は給食の時間も涙が止まらず、食べ始めることが出来ませんでした。先生は保護者から聞いておいた好きな玩具を出してみました。効果がありません。そこで先生は、兄弟がいるクラスに連れて行ってみました。
すると次第に泣きやみ、兄弟の横で食べはじめたのです。大事なのは自分の部屋で食べることより、まず保育園のどこかに安全基地を作ることでした。
新入園児の登場に動揺を隠せないのが在園児です。持ち上がりのC先生に抱っこをせがみます。その週はクラス全体を引っ張る役割だったC先生は、抱っこにまで手が回りません。
すぐにクラス会議を持ち、クラス全体を見る役割は別の担任がすることになりました。在園児はC先生に十分に甘えることができ、満たされたのか興味のある遊びに向かっていきました。
すずらん組(2歳児)では鯉のぼり製作をおこないました。無理強いせず、興味を示した子から取り組んでいきます。
先生は絵の具を塗るための道具として、普通の絵筆だけでなく、布製のタンポとスポンジ筆(四角いスポンジを割りばしの先につけたもの)の3種類を用意しました。
製作が進むと、筆だけではもの足りなくなり、手に直接絵の具をつけて楽しむ子もでてきました。一方で汚れるのが苦手なD君は、手が汚れにくいタンポを選び鯉のぼりを完成させました。
子どものことをよく分かっている先生が様々な道具を用意したので、思い思いに製作に取り組むことができたようです。
ひまわり組(4歳児)では、定番の赤や青の鯉に交じり、紫や黄、ピンクの鯉が泳いでいます。先生が鯉の形に切り抜いた画用紙を用意したところ、子どもが好きな色で塗りだしたそうです。
塗る前から「鯉のぼりは赤や青だよ」とは伝えず、完成してから鯉のぼりの由来を話してみました。子どもは自分の好みの色を尊重されたまま、「そうなんだ」と鯉の色の意味合いを学びました。
黄やピンクで塗りだした途端「それは違うよ」と言われていたら、やる気も失われたことでしょう。
子どもたちが新しい環境に慣れていけるように、私たちは様々な手立てを考えています。だからお父さん・お母さんも、親として自分が選んだ「子どものために用意された子ども中心の場所」に安心感を持ってもらえたらと考えています。その安心感も、子どもが保育園を好きになる一つの要素になります。
今年の入園式で「こどもまんなか」(注)についての話をしました。
子どもに思いを馳せ、大人が少し考え方を変えたり、一緒にやってみる。その中で1つでもその子の良い所を見出していくことが私なりの「こどもまんなか」だと感じています。
全職員で「子どもにとって」を考えながら今年度も保育にあたっていきます。(園長 足立園恵)
注:「こどもまんなか」の趣旨:こどもたちのために何がもっともよいことかを常に考え、こどもたちが健やかで幸せに成長できる社会を実現すること。(子ども家庭庁ホームページ)