遊び中心保育の意義5 びゅんびゅんごま
平成28年9月23日号
平成28年9月23日号
年長児と年中児にびゅんびゅんごまを一つずつプレゼントしました。園長お手製のこまです。子供たちは自分のコマに思い思いの絵を描いて「自分だけのこま」にしています。
絵を描き終わるとさっそく回してみます。ところが、初めての子はなかなかうまく回せません。こまが勢いよく回り「びゅんびゅん」と音を出るようになるまでには、それなりの練習が必要です。
遊びの中には、このびゅんびゅんごまのように、技術の習得と熟練が必要なものがあります。初めはうまくできないけれど、練習を重ねるうちにできるようになり、徐々に難しい技を身に付けていく遊びです。こういった遊びを仮に「技(わざ)系の遊び」と名付けましょう。メンコ、ベーゴマ、けん玉、あやとり、ゴムとび、それから一輪車や縄跳びなども技系の遊びに分類できるでしょう。
勤勉-あきらめずに続ける心
それぞれの技は、簡単にできるようになる訳ではありません。難易度によっては、かなり根気よく取り組む必要があります。また「こまの一つ回しができるようになったら、二つ回し、三つ回し…」というように、多くの遊びには技の段階があるため、徐々に上を目指していくことができます。
遊びの中で子供たちは、「できなかったことが、練習によってできるようになる」ということを身をもって体験します。心と体を丸ごとつかいながら、「学ぶことの喜び」を知るのです。
こうした体験は、根気よく学習に取り組むための勤勉さにつながっていきます。びゅんびゅんゴマで遊びながら、勉強や仕事にコツコツと取り組むための力を身に付けていけるのです。
創造-新しいものを生み出す
技系の遊びの最大の醍醐味は、「自分だけの技」を作るところにあります。びゅんびゅんごまでも、当園の園児たちが編み出したオリジナル技がたくさんあります。
最近の傑作は、きりん組のKちゃんが開発した「Kスペシャル・タラコニンジン」という技です。(この不思議な技の名前の意味は、またいつかお話しいたしましょう)足で回しているこまをそのまま手に移して回し続けるという高難度の技です。
手先や体の動かし方の器用さが増すにつれて、自分なりの工夫を加えられる余地も生まれてきます。そして、試行錯誤の果てに誰も見たことのないような技が生まれることがあるのです。技系の遊びは子供たちの創造性をも育むことができるのです。
あこがれ-子供を成長させる心の輝き
技系の遊びを目にした子供の心に最初に芽生えるもの、それは「あこがれ」です。上手にできる友達や大人を見て「わたしもできるようになりたい」「僕もあんなふうになりたい」という気持ちを抱きます。この心の輝きが子供を遊びに駆り立て、熱中させるのです。
ひまわりは太陽に向かって自ら伸びていきます。無理やり引っ張るから伸びるのではありません。子供も同じです。「あこがれ」という心の輝きを大切に育み、子供が自ら成長していける環境を作ってあげることが私たち大人の使命なのでしょう。