遊び中心保育の意義4 どろんこ遊び 水遊び
平成28年8月25日号
平成28年8月25日号
どろんこ遊びや水遊びは、夏の戸外遊びの王様です。青空のもとで、友達と一緒に思い切り笑いながら遊ぶ子供の姿を見ていると、「これ以上に子供に必要なことなどあるのだろうか」とさえ思えてきます。
豊かに広がる遊び
よく晴れた暑い日にホースで水を撒くと、さっそく子供が集まってきます。シャワーのように降り注ぐ水を頭から浴び、歓声をあげて喜んでいます。バケツに汲んだ水のかけっこをしたり、ビニール袋に花びらと水を入れて色水遊びをすることもあります。
しばらくすると、どろどろになった地面でどろんこ遊びが始まります。水分を含ませた土は形を作りやすいので、子供にとっては格好のおもちゃになります。カレーライスやハンバーグを作ってままごとをしている子の横では、泥団子をつくって、光らせることに熱中している子もいます。園庭にできた水の流れにダムを作ったり、手押しポンプで水をくみ上げ、雨どいをつなげた水路に流す遊びも人気です。
あふれる「学び」
遊びの中で子供たちは、様々なことに気付いたり、疑問を持ったりします。「この砂を使えば泥団子はもっと光るかな」「どこを掘ったら水の流れが変わるだろう」
想像の枝葉を自由に広げ、手に入れられる材料を駆使し、試行錯誤を繰り返します。工夫次第で、遊びは無限に発展していきます。
テレビゲーム等のような「予め楽しさが組み込まれた遊び」とは違い、どろんこ遊び・水遊びは「自ら楽しさを作っていく遊び」です。積極的に環境(自然や人)に関わることで、取るに足らないものが楽しいことに変わっていく。こうした体験を積み重ねながら、子供は自然に対する基本的な知識だけでなく、自発性、創造性、社会性など、様々な力を身に付けていきます。
からだ、そして感性を育む
戸外で太陽の光を浴びながら遊ぶことで、子供は体力がつき、丈夫な体になっていきます。土の中に住む細菌やバクテリアに触れることで、免疫力も高まります。風邪をひきにくくなり、感染症などにもかかりにくくなります。体だけではありません…
子供は手で土をこね、はだしで地面に立ち、時には体中にどろんこを塗りたくることもあります。照りつける太陽、蝉の鳴き声、水のはじける音、椋の木を通り抜ける涼しい風。自然環境を全身で味わうことで、五感が刺激され、豊かな感性が育っていきます。どろんこは、体だけでなく心も豊かにしてくれるのです。