小学校に向けて
平成29年11月25日号
平成29年11月25日号
「ランドセルを買ってもらったよ」ぞう組(年長児)の子供たちから、こんな声が聞かれ始めました。ご家庭でも、小学校に関する会話が増えてきたのではないでしょうか。
期待が膨らむ一方で、不安もあるというのが正直なところでしょう。「Aちゃんはもう、五十音全部書けるんだってよ」なんて話を聞くと、ますます不安になってしまいますよね。
こども園で行う文字の教育
幼児期に必要なのは、「ひらがなの読み書きができる」ようになることではなく、「文字に対する興味を持つ」ことです。文字の学習をしっかりと進めるための準備として、文字への興味を膨らませることが何よりも大切なのです。
当園ではそれを、遊びの中で行っています。読み聞かせやお手紙ごっこ、かるたを使った言葉あそびなどを通じて、自然と文字への興味が育まれるようにしています。
幼児期の発達は個人差が大きいので、それを無視して一律にひらがなの習得を行おうとしても無理があります。わざわざ「お勉強」をしなくても、遊びを通じて文字に触れるうち、当園ではほとんどの子が、就学までに自分の名前の読み書きくらいはできるようになります。ここまでくれば、小学校での学習を始めるにあたり何の問題もありません。
出遅れは、出遅れではない
日本の小学校は「入学時点でひらがなの読み書きができる」ことを求めていません。「できる子もいれば、できない子もいる」という状態でスタートするのが当たり前なのです。
入学後しばらくの間は、できることや知っていることに差のある子供たちをじっくりと指導できるカリキュラムが組まれています。何も心配することはありません。
私事で恐縮ですが、実は幼少期はとても発達のゆっくりした子供でした。小学1年生の3学期まで鏡文字(左右が反転した文字)を書いていたそうです。そんなわたしでも大学まで進学し、まがりなりにも博士号の学位を取得することができました。スタート時の遅れがその後の学習に決定的な影響を与えたかといえば、まったくそんなことはなかったと感じています。
本当はもっと大切なこと
幼児期にしっかりと遊んだ経験は、必ず小学校での学習につながっていきます。しかし、遊びや学習の前に本当はもっと大切にしなければならないことがあります。それは、日々の生活を通じて安定した「心と体」を育むことです。
「親子でふれあう時間を持つ」「早寝早起きをする」「朝ごはんをしっかり食べる」…簡単ですが大事なことばかりです。
親に大切にしてもらった時間の積み重ねが自己肯定感を育み、きちんとした生活習慣が心身を健康に成長させ、安定した「心と体」の土台を作ります この土台があって初めて、子供は思い切り遊び、進んで学習に取り組むことができるようになるのです。
我孫子市では、本年度より「幼保小連携・接続カリキュラム」を試験的にスタートさせています。まだまだ発達に差のある時期の子供たちが、みんな期待をもって小学校に入学し、その子に合ったペースで学校生活に慣れ、学習を進めていくための取り組みです。
心配ありません。今の生活を大切にし、今しかできない体験を十分にさせてあげましょう。保育園・幼稚園・小学校は手を携えて、お子さんの就学を支えていくことをお約束します。