上を見てごらん

10月28日、ぞう組さんは筑波山へ遠足に行って来ました。休園により延期が重なったにも関わらず、3名のお父さんにも引率として同行していただけました。頼りになる助っ人です。快晴の下、バスは園を出発しました。

山腹の駐車場に着くとまずトイレを済ませ、いよいよ登り始めます。登山口から続く長い階段が最初の難関です。厳しい上り道に疲れが出はじめた頃、前のほうからにぎやかな声が聞こえてきました。

「Mちゃんの分までがんばらなくちゃね。」「そうだね。」

体調不良でお休みのMちゃんを気づかう声でした。帰ったらたくさんお土産話を聞かせてあげようね。

いつも控えめなHちゃんは、登りきれるのかどうかお母さんが心配していました。初めこそ最後尾を私と一緒に歩いていましたが、置いていかれたのは私のほうでした。私の手を振り切りずんずん登っていきます。「登るんだ」という意志が瞳の奥に光っていました。頼もしいうしろ姿を見て、Hちゃんがこれからの人生を力強く歩んでいくことを確信しました。

岩場の上に立つと急に景色が開けました。

「下を見てごらん。お家があんなに小さく見えるよ。」

私が声をかけると、みながいっせいに下を見て感嘆の声をあげます。するとIちゃんが言いました。

「上を見てごらん!」

みなは何だろうと顔を上げます。

「お空に手がとどきそうだよ!」

Iちゃんのかわいらしい呼びかけに笑顔が広がります。バンザイをしてお空にタッチすると、疲れが一気にふっとびました。私たちは街から離れていくのではなく、お空に近づいていっているんだね。教えてくれてありがとう、Iちゃん。

最後の難所である切り立った岩場を登りきると、無事に山頂にたどり着きました。素晴らしい眺めでしたが、今回は上も向いて見ました。おいしい雲をお腹いっぱい吸い込みました。お日さまと握手もできました。達成感と心地よい疲れに包まれ、みなで食べたお弁当のおいしかったこと!