さようなら

(平成30年3月)

ある学者先生がこんなことを言っていました。「親子というのは、別れることが運命づけられた関係である」

なるほどなあと思います。どんなにわが子を愛おしく思っていても、いつまでも懐の中に入れておくわけにはいきません。子育てというのは、いつかやってくる「自立」という名の別れのための準備作業なのかもしれません。

わたしたち保育園の先生も、一年生になるぞう組さんとはいったんお別れです。でも、別れは同時に、新しい出会いへと開かれた扉でもあります。小学校では、たくさんの新しい友達や先生が待っていることでしょう。

巣立っていくぞう組さん、お父さん、お母さんに、わたしが大好きな谷川俊太郎さんの詩を贈ります。

 

 

 

さようなら       谷川俊太郎

 

ぼくもういかなきゃなんない

すぐいかなきゃなんない

どこへいくのかわからないけど

さくらなみきのしたをとおって

おおどおりをしんごうでわたって

いつもながめてるやまをめじるしに

ひとりでいかなきゃなんない

どうしてなのかしらないけど

おかあさんごめんなさい

おとうさんにやさしくしてあげて

ぼくすききらいいわずになんでもたべる

ほんもいまよりたくさんよむとおもう

よるになったらほしをみる

ひるはいろんなひととはなしをする

そしてきっといちばんすきなものをみつける

みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる

だからとおくにいてもさびしくないよ

ぼくもういかなきゃなんない