椋の木のひとりごと

「椋の木のおはなし」は牧の原宝保育園長による保育エッセイです。(ほぼ)月に一度発行いたします!

過去のお話は、画面上部のメニューバーからどうぞ!

令和6年度のひとりごと

令和6年4月22日号

「7秒ハグ」

開園して13回目の4月を迎えました。

毎年4月は園全体に慌ただしい雰囲気があります。新入園児が入り、担任が変わり、保育室も変わります。入園・進級の喜びもありますが小さい子ほど不安の方が大きいようです。大好きなお父さんやお母さんも気忙しい様子です。我が子に目を向け、手をかけたい気持ちはあるものの、新しい部署、新しい仕事、育休明けの復帰などでなかなか心の余裕も持てないですよね。


今年の入園式で次のような話しをしました。

「宝保育園ではそれぞれの子がいつ、何に、興味関心をもつのかに注目して保育にあたっています。特に4月は、興味を持つものを見つけられるように出来るだけ多くの選択肢を用意しています。絵本やブロック等の室内玩具。砂場や滑り台等の園庭遊具。また、草花や春の風、そしてダンゴムシやアリと言った自然物もあります。

気になるものを見つけ遊びだす子もいれば、じっと見ている子もいます。先生に抱っこされたり、側にいることで遊べる子もいます。そうして徐々に一定時間、園で過ごせるようになっていきます。初めての環境は大人でも疲れます。口には出さないかもしれませんが、子どもも相当疲れているはずです。


だから、お迎えに来たり、お家に帰ったら「今日はどんな遊びをしたの?」「たのしかった?」「手を洗ってね」「給食は食べられた?」等々、聞きたい気持ちや家事に向かいたい気持ちをぐっと抑えて「がんばったね」と7秒ハグをしてみてください。その7秒は子どもにとっても親にとってもほっとする時間です。特に子どもとっては大好きなお父さんやお母さんが自分だけに向いていることが分かり、明日の登園への期待や自己肯定感に繋がります。


1分や2分のハグと言うと意外に長くて、こなさなければならない家事や仕事に向かいたくなります。でも7秒ならどうでしょう?人のぬくもりはだいたい7〜8秒で相手に伝わるそうです。その間にオキシトシンという幸せホルモンも出ます。このホルモンは心を安定させ幸福感を増幅させる働きがあると言われています。帰宅後に忘れてしまったら、寝る前や翌日に14秒でも良いと思います。

ちょっと叱りすぎてしまった時にも効果があると思います。ぜひ、実践してみて下さい。私は下の息子も高校生になり、もうハグはさせてくれないので今のうちに!」


1歳児のわかば組では新入園の子ども達を沢山抱っこします。するとそれまで抱っこを求めず遊べていた在園のAちゃんがぐずり出しました。担任はすかさず、「Aちゃんも抱っこしようね」としっかり抱きしめました。気持ちに寄り添ってもらえたAちゃんはしばらくすると自ら降りて遊びだしました。園で1番のお姉さんになったゆり組のBちゃんも朝のお母さんとのハグは欠かしません。

園では新しい環境に不安を感じ涙する子、「せんせー見て!」と自ら話してくる子、何も言うことなく目で訴える子、全ての園児の気持ちを受け止めることを心がけています。

 

保育園は子どものための環境が考えられており、専門の先生が揃った場所です。だからお父さん・お母さんも親として自分が選んだ「子どものために用意された子ども中心の場所」に安心感を持ってもらえたらと考えています。その安心感も、子どもが保育園を好きになる1つの要素になります。

今年度も子ども一人ひとりの良さを見出しながら全職員で保育にあたっていきます。どうぞよろしくお願いいたします。(園長 足立園恵)