執筆: 2019/5/23
最近は忙しさのあまり考えを巡らす時間が足りず、
「こんなに素敵な作品が世に出ないままになってしまうなんてもったいない!」
と、情に流された判断をしてしまって、
計画の詰めが非常に甘かった点について反省しております。
計画にいろいろ不備と問題がありました。
本当に、新しいことをしようとすると問題が噴出しますね。
短期間で考えた大きな計画を、すぐに行動には移さない方がいいと深く反省しました。
私の、ランサーズにおける経験の少なさも、今回の問題を大きくしてしまいました。
そして、これらの問題を私に指摘してくださった方に、深く感謝しております。
悲しい思いをする人を少なくするために最善の対処をしてくださり、
本当にありがとうございました。
今回の公募で当選させる作品は2件といたしました。
これらは現在修正依頼中なので、まだ当選通知が出せず、当選者へのお支払いもできていない状態ですが、
その2件については当選金額を支払うことにより、お支払い後は小節の公募に利用することができると思います。
一方で、今回当選させていない作品を小説に使う可能性を示唆する事には、問題が山積みでした。
①当選していないのに、作品が「小説集め」という活動に
勝手に利用されてしまっている。
②せっかくイラストレーターさんが考えたキャラクターが
小説の執筆者に改変されてしまう可能性があり、
その内容がイラストレーターさんの意に添わない場合、
小説の改変も求めることになってしまうので、対処が難しい。
③落選した作品の著作権はまだイラストレーターさん側にあるので、
その作品を売ったりするなど自由に使っていい権利があるはずなのに、
小説公募に使うという名目で私にキープされてしまうことで、自由に使えなくなってしまう。
このため、作品を小説の公募に使っていいかどうかは、
ひとりひとりのランサーさんに確認を取らなくてはいけませんでした。
なので、当選作品以外を使った小説の公募(公募②)はいったん取りやめとします。
もし行う場合にも、計画の問題点を細部まで洗い出したうえで
今回のコンペの応募者に、小説の候補にしてもよいか確認のメッセージを送った上で、
候補にすることを希望するというお返事を得られたランサー様のみを
小説化の候補として使うことにしますが、実現できるかはまだわかりません。
ご迷惑、ご心配をおかけしまして、大変申し訳ございませんでした。
小説の公募方法はネタバレ防止のためプロジェクト形式での募集が良いと思ったのですが、
こちらにも問題がありました。
①せっかく長い時間をかけて書いた小説作品であっても、
キャラクター設定がイラストレーターさんの意に添わなかった場合に、
使われないまま終わるか、大幅な修正作業を課せられる可能性がある。
②小説の1章あたりの字数は応募者に任せるとしてしまったが、
小説の字数制限を全くしなかった場合に、
1章が非常に長い小説を投稿する人がいる可能性もゼロではなく、
内容のチェックが追い付かなくなる
③プロジェクト方式での提案時にあらすじを送るようにお願いしているが、
あらすじを考えて執筆して送るだけでも結構大変な作業なのに、
採用されない場合はその作業に報酬が発生しないというのは良くない。
このため、現在の変更案としては
あらすじ自体をプロジェクト方式で複数名に発注することにしようと思います。
プロジェクト方式では、複数名から提案があったときに
どの方にお願いするか私が選ぶわけですが、
それを決めるための情報は、より応募者に負担のかからない方法で行おうと思います。
(過去作品のポートフォリオやWebリンクの提出などが候補に挙がっています。)
その際に、同時にどのような質問をして小説を募集するかについても
これから詰めていきたいと思います。
こちらもまだ本業の仕事が忙しくて
計画の問題点を深く検討できていないので、十分に検討してから公募を出します。
大変申し訳ございませんが、よろしくお願いします。
最近よく聞くキーワード「やりがい搾取」。
・楽しい仕事
・夢の実現につながるかもしれない仕事
・自分の成長につながる仕事
・やらないと言っても他にやってくれる人がいる仕事
・社会的に意義がある仕事
「だから不当に安い報酬で仕事をしてもらってもいいでしょ?」
という雇用者側の態度。
それが搾取であるという考え方は、とても大事な視点だと思います。
ここで発生するのは
無償で論文からデータを集めてもらうようにすることは、
やりがい搾取として問題になるのではないか?
という疑問です。
この問題で、私は今までずっと深く悩んできました。
私がStarrydataプロジェクトを始めた目的は、研究活動の社会への還元です。
膨大な税金(研究費)を使って研究をさせていただいて得られたそのデータは、
1本何千円も払わないと読めない論文の中のグラフにしか載せずに
消えてしまうことが多く、使いたい人がいても自由に利用できません。
このため、研究データをオープンなデータベースにすることが必要だと思いました。
研究データ自身には著作権がないので、画像から抜き出してしまえば
誰でも無料でアクセスできて、みんなに役に立つデータベースが作れるはずです。
そんなデータベースがあれば、研究者たちみんなの研究がもっと効率的に進むはずです。
そしたらみんなが必要だと思っている「再生可能エネルギー」などの実用化も近づきます。
けど研究者は自分の研究に忙しくて、そんなデータ収集作業は誰も手伝ってはくれません。
なので、研究に興味を持ってくれている一般の人たちの力を借りることで、
研究を進めていきたいと考えました。
ただ、社会的に意義があるからと言っても、やりがい搾取にはなります。
なので私もどうすればいいのか、ずっと気になっていたところです。
世の中時給換算するとおかしなことになることばかりで、すぐ混乱してしまいます。
あらゆる所で行われているコンペも、ボランティア活動もそうですし、
自発的な意思で参加する応援活動なども、自らお金を払って汗を流して頑張っています。
やりがい搾取の考え方と対極にあるのは教育の分野です。
教育費は本人の成長やチャンスを得るための対価なので、
支払う側も一応納得して教育費を支払っているのですが、
仕事の内容やクオリティが、給与をもらえる人と同等以上のこともあります。
学校のPTAでも、無給で仕事をしてくれる人が大勢いることで学校が成り立っています。
研究室でも、大学院生に役に立つ研究をやらせること自体も問題となってしまいそうで、
考え始めると本当にキリがありません。
我々研究者も大学に閉じこもってないで、社会の人たちに研究の魅力を知ってもらえるよう
アウトリーチ活動をもっと多く行うように推奨されています。
その活動の中で、一般の方に実際の研究に役に立つことを体験してもらうことは、
研究のまねっこのようなおままごとで終わるよりも絶対に夢があって楽しくて、
やりがいもあると思うのですが、やりがい搾取との線引きが難しくなります。
やりがい搾取は良くないという思いから、
私はLancers上で有償で論文データ収集タスクをずっとやっております。
・グラフトレース作業&試料情報収集:論文1本あたり1080円(手取り1000円)
https://www.lancers.jp/work/detail/2402748
・グラフトレース作業:論文1本あたり540円(手取り500円)
https://www.lancers.jp/work/detail/2414388
英語が読めて専門知識があるという、かなり限られた人しかできない仕事ですが、
経験のある人なら、1時間で論文を平均1本くらいさばけて
そのうち半分くらいがグラフをトレースする時間になるという情報を参考に、
最低賃金を考えてこの価格で発注させていただいております。
(本当はもっと時間がかかってしまっていたら申し訳ないとも思ってます。)
私が頑張って研究費100万円を獲得し、すべてこの活動に投入すれば
論文1000本分の論文データが公共化できます。
世界に論文は数万本(全研究分野で見れば数億本)もあるので、
ほんのごく一部でしかないですが、
それでも多少は役に立つことができると思います。
けれども研究費は獲れるかどうか、確証がありません。
すごくがんばって申請書を書いても落ちる場合が多くあり、
審査結果が出るのももらえる直前だったりするので、
継続的にデータ収集費用が確保できるかどうかは不明のままです。
もし私が「ゲーム上でやってもらった作業にも正当な対価を払う」
と決めてしまった場合は、プレイヤーが増えた場合に
研究費が足りなくなり、支払いができなくなってしまいます。
その時点で、ゲームの公開も終わってしまいます。
なので、解決策としては
・つまらなくても有償がいい人はデータ収集のタスクをやる
・無給でも楽しい方がいい人はゲーム上でデータ収集をやる
という棲み分けを常に用意しておくことしかないかな、と思っています。
これがやりがい搾取だと受け取られて炎上することはありえるという事は
十分にありうる可能性だと認識しております。
マスコミで怖いのは叩く記事よりも持ち上げすぎの記事だったりします。
持ち上げすぎると当然「それは違うだろ」と思う人が一斉に不満をぶつけますが、
その持ち上げすぎの記事を書いた人もただ善意で書いただけだったりします。
私たち研究者サイドが世間を騒がせてしまった例として、STAP事件があります。
STAP関連の世間のコメントは、心を痛めながら毎日全部目を通して読みました。
あの時の私は、批判されている理研の先生方の立場で読んでいたので、
周りの先生はどう対応するのが正解だったんだろうと、すごく悩みました。
本当に、自分が外から見えるところで研究活動をするときは、
私の浅はかな判断のせいで迷惑をかけないように
気を付けて行動しないといけないですよね。
今回私ができることは
・科学研究に参加したくない人はやらないでよい
・自分が誰かの研究活動に利用されたくない人はやらないでよい
という立場をしっかり理解した上でゲームをやってもらうようにして、
・科学研究に参加したい一般の方にその機会を用意する
・そのままでは楽しくないので、それを楽しくするための工夫をした
・ゲームの過程で研究の世界を垣間見てもらえたらOK
・学生さんだったら楽しみながら専門知識を身に着けてくれたらOK
という立場をキープすることくらいしかできないですね。
そして、決して上から目線だと誤解されてしまうことのないようにすること
(その時点でプロジェクトは完全に終わりです)
協力してくださった方には私からきちんと作業のお礼を言うということも、
頑張っていかないといけないと思いました。
ちなみに、よくいろいろな人が提案してくださるのですが、
Starrydataを有償化して、その収益を使ってデータ収集活動をするというのは、
実は結構難しいです。
少し考えるだけでもこれだけの問題が挙げられます。
・営利目的の論文利用として出版社からライセンス違反に問われないかどうか
・データを勝手に取られないようにするシステム開発費(すごく高いです)
・データへのアクセスやダウンロード、ファイルの譲渡を制限することなどにより
使いにくくなるのでユーザーが激減する
・データが間違っていた時の補償
データチェックが足りてないので、間違ったデータ、まだまだいっぱい入ってます。
・ライセンス料を大学では受け取れないので、代わりに受け取ってもらう会社を立てる必要。
その時に、国の研究費を1営利企業に横流ししたことにならないようにする公正な手段。
・大学発ベンチャーを自分で起業した場合、
国の研究費を使って開発したものを自分達の利益として着服したように見える
がそれはどうなのか(私にはその境界が難しくてうまく判別できる自信がない)
このためStarrydataでは、競争的研究資金の公募に応募するほかに
以下の方法でデータ収集の経費を集めています。
・ある分野のデータを集めてほしい企業から、大学への寄付金をいただく。
・その寄付金で、研究業務員を雇用するかクラウドソーシングを行うことで
その分野のデータを優先的に集める
・集めたデータはアクセス制限はせず、学術目的のデータとして世界に無償で公開する
寄付金だと社内の許可が得られないから「ライセンス料」として請求書がほしいとか、
データの独占権がないと社内の許可が得られないとか
企業の方にもいろいろ言われてしまいますが、それを理解してくれる企業さんからしか
お金を受け取らないようにしているので、なかなか資金を集められていません。
あとは、自分から競争的資金に応募して研究費を獲得することで、データ収集の経費を集めています。
私の計画の不備が、大きな問題につながる可能性があったので、長文ですが書かせていただきました。
いろいろご迷惑をおかけして本当に申し訳ございません。
これから研究費の執筆をがんばります。
今後ともどうぞよろしくお願いします。