「Starrydata2での論文データ収集作業をゲームにすれば、楽しくなってやる人が増えて、もっとデータがいっぱいたまるのではないか?」
これはずっと前から温めていた研究構想で、時々他の人からも提案してもらうアイディアでしたが、そろそろ実現のため動き出すことにしました。
材料科学の論文からデータを収集するという作業を、ゲームの世界のシナリオに焼き直したらこんな感じかなと考えました。
ストーリー(設定)
遠い未来の地球の、剣と魔法の世界の物語である。
或る所に、2人の若い勇者がいた。
1人目は、炎と雷を操る能力を持って生まれた勇者。
2人目は、磁力を操る能力を持って生まれた勇者。
一緒に行動することはないものの、
互いを認める良きライバル関係にあった。
村に危機が訪れた。
だが彼らには、まだ戦う力が足りなかった。
そんな彼らに長老が授けたのは「復元の杖」であった。
彼らはそれぞれ、遠い昔に滅亡した古代文明の遺跡に向かった。
そこは、かつて人類が高度な科学技術を自在に操っていた時代・・・
21世紀の文明の遺跡であった。
遺跡には古代文明の技術が書かれた無数の文書が眠っていた。
文書は朽ち果てていてほとんど読めなかったが、
復元の杖をかざすと蘇った。
そこには、遙か昔の人類が残した科学技術の記録が書かれていた。
大地に眠る元素の力を組み合わせて、
いかに強い炎と雷、磁力を生み出すかという試行錯誤の記録であった。
勇者たちは古代文書から記録を蘇らせた。
記録のエネルギーを集めて放つことで敵と戦った。
これを繰り返すたびに勇者たちは強くなった。
そうしていつしか、強大な敵と戦えるようになっていった。
周期表の元素をいろいろ混ぜて試すという地味な研究でも、「大地に眠る元素を組み合わせて」と書くだけでなんかかっこよくなりますね。そしてこうやって書くと、論文を書き残すという作業が未来に役立つイメージがわいて、ちょっとだけ夢が出てきますね。21世紀文明が滅亡するという設定なのはどうなんだというのは置いておいて。
熱電材料のデータ収集の主人公は「炎と雷を操る勇者」としました。将来熱電材料も性能が良くなって、炎とか雷とか出るくらいのレベルになったらいいなと思います。あと最近、Starrydataで磁石材料のデータベースも作ってほしいというオファーが来ているので、永久磁石材料のデータ収集の主人公として「磁力を操る」勇者も入れることにしました。二人の勇者を対照的な性格にしても面白いかもしれないですね。そして今後Starrydataに他の材料のデータベース化のオファーが来たら、第三、第四の勇者も出てくるかもしれないですね。
熱電材料と磁石材料の立場に優劣がつくとよろしくないので、2人は能力が均衡にある「ライバル関係」としました。今後ゲームのストーリーを作っていくにあたり、二人の勇者の相互作用があった方が面白くなると思ったので、赤の他人とはせず「互いを認め合う関係」ということにしました。ただ、この勇者たちがパーティを組んで一緒に行動してしまうようになると今度はプログラミングがめんどくさくなるので、「彼らは一緒には行動することはなかった」としました。
肝心のデータ収集作業をやってもらう部分ですが、ゲーム中にいきなり普通の論文が出てきてしまうと現実に引き戻される気がして心配でした。そこで、論文たちには一旦朽ち果てた読めない状態で出てきてもらい、勇者が自分で魔法をかけることできれいになるという設定にしました。このために勇者に「復元の杖」を持たせることにしました。もし復元魔法を使うにあたってMPを消費したり、アイテムを消費するなどするとプログラミングがめんどくさくなるので、何度使ってもなくならなさそうなアイテムということで杖にしました。
以上がこのゲームに必要な設定です。その他の部分の設定はなんでもいいのでほとんど書いていません。「村に危機が訪れた」とか、超適当な書き方ですね。
おそらくこのゲームの魅力は、勇者たちのかっこよさで大きく左右されると思いますが、私にはかっこいい勇者を描く能力はありません。
そんな時は公募です。
論文からのデータ収集作業の募集でいつもお世話になっている、クラウドソーシングシステムのLancersさんで公募を出してみました。
https://www.lancers.jp/work/detail/2385124
タイトルは「勇者2人のキャラクターデザイン(王道ファンタジーRPG風)」としました。
学会に来ている教授の先生など、ゲームにあまり馴染みのない人にも見てもらいたいので、万人受けを目指したデザインと思われる「王道ファンタジーRPG風」を指定しました。性的な要素は苦手な人がいると思うので排除をお願いしました。8頭身とかよりも親しみやすさがあった方がいいかなと思い、4~7頭身と指定させてもらいました。過度な模倣は著作権関係でややこしくなるかもしれないので、避けるようにお願いいたしました。
Lancersでは3種類の募集方式が選べるのですが、今回は「コンペ形式」にしました。募集を読んで興味を持ってくれた人たちにいろんな作品を応募してもらい、一番良かった作品を採用するという方法です。Lancersさんの標準額を参考に、手数料含めて54,000円をLancersさんに支払ったところ、採用者の報酬が45,360円、このほか上位4名への参加報酬が2,160円となりました。才能の買い叩きだと思う方もおられると思いますが、いろいろ考えて今回はすべて自腹で払うことにしたので、これだけでも結構勇気が要る出費でした。
このコンペにはLancersのアカウントを作れば誰でも参加できます。応募締め切りは2019年5月16日(正確には5/17 AM4:05)です。なんとか10連休の始まりに合わせて公募をスタートすることができたので、10連休中に何か描いてくれる人もいるかなと期待しています。(注:日付が間違っていたので修正しました。申し訳ございません。)
今回のコンペでは、勇者たちの性別も性格もすべて応募者の方にお任せするという、自由度の大きなコンペにしてみました。これは、素敵な世界観を持ったクリエイターさんとつながって、一緒に共同研究者としてゲーム化の研究に取り組んでみたいという気持ちからです。
こちらの顔色や周りからの評価を見ながら作品を作る方ではなく、自分自身で「作りたいモノを持っている」クリエイターさんとつながりたいと思っています。このためクリエイターさんの世界観を存分に見られるように、できるだけこちらから縛りを入れないようにしたいと思いました。クリエイターさんの世界を表現するための場として、うちのStarrydataゲームが貢献出来たらと思っています。
とはいえもし良い作品がいくつも並んでしまった場合には、その中から直感で一番気に入った人を選ぶことになるので、最後はマッチングの問題になってしまうかもしれません。なのでどういう性格のどういうキャラクターなのか説明を添えて応募してくださった方が、世界観がわかりやすくなって助かるかもしれません。
ゲーム作りに関しては知識も技術も予算もない状態からのスタートなので、このままではきっとしょぼいゲームになって誰にも使われずに終わると思います。それでも良いクオリティの物を作れる可能性として、才能のあるクリエイターさんたちにうちのプロジェクトの存在を知ってもらい、興味を持ってもらうという可能性があります。
そこで今回はTwitterを使って、ゲーム作りの経過をリアルタイムで報告しながら進めていくことにしました。Twitterは見るのは好きでしたが、他人に自分を知られるのが怖かったので、ツイートはおろかお気に入りボタンを押すこともできませんでした。
けどTwitter上には素敵なクリエイターさんたちがいっぱいいて、もし面白いと思ってもらえるようなツイートができて、細々とでもリツイートしてもらえるようになれば、その方たちまで届くかもしれないという期待があります。このためには多少の生き恥は捨て、できないことをできないとオープンに表すことが大事だと思い、勇気を出して初ツイートしました。ツイートをいくつか書いてみましたが、やはり文章だけでは伝わらないなと思ったので、ツイート用の絵もを描いてみることにしました(下手ですみません)。
まだ誰も使ってなさそうなタグとして、#勇者の公募というタグをつけさせてもらうことにしました。もしこのタグでクリエイターさんと交流ができたら嬉しいですね。
ゲーム作りでもう一つ重要なのはBGMですが、これはたまたま高校時代に自分で作曲した曲があったのでそれを使うことにしました。
作曲まで誰かにお願いするとなると費用も大変だったと思います。こうして考えると、研究人生は何が役に立つかわからないものですね。
まず、採用された勇者のイラストを使ってゲームのモックアップ(見本画像)を作ってみます。
Twitterのほか、学会発表資料や研究費の申請書などの文書にも掲載します。
次に、採用された勇者2人のイラストをもとに、Web小説の公募を行います。
論文1本分のデータ収集が完了したときなど、ゲームが進むタイミングで、小説を一部表示します。
そうすると、続きが読みたくて次の論文の作業もしたくなるかなと期待をしてます。
続きが読みたくなる小説を書ける人を探したいので、設定上の縛りは少な目で公募します。
そして集めたイラストや小説を合わせることで、ゲーム風のデータ収集ソフトを完成させます。