毛顎動物文献集の作成の経緯
黒田一紀
東アジア諸国(中国、台湾を含む;ロシア、日本)の毛顎動物に関する文献集を作成に至った経緯を記します。
日本の毛顎動物文献集の作成に目鼻のついた2007年当初に、さらに日本のヤムシ研究の足元を固めるために、日本近海だけでなく縁辺海(ベーリング海・オホーツク海・日本海・東シナ海・南シナ海)を含む北西太平洋の180°E以西、25°N以北の海域を対象とした文献集の必要性を感じた。しかし、他国の文献を個人で収集することは、言語の相違もあるため至難の業でないことが理解できた。
たまたま中国とロシアに知人がいたので、文献集とりまとめを依頼することにした。一人は、1980年代後半頃に「日中黒潮共同調査」の交換研究者として東海区水産研究所で滞在研究した中国国家海洋局第三海洋研究所(厦門)のヤムシ研究者である戴 燕玉女史であり、もう一人は1997年に「漁業に関する日ロ科学技術協力協定」に基づく交流研究員として日本海区水産研究所で滞在研究を行った太平洋水産海洋研究所(チンロセンター、ウラジオストック)のカイアシ類を主とする動物プランクトン研究者であるナターリア・ドルガノーワ女史であった。両人とも依頼を心よく引受けてくれたので、中国では台湾の文献を含めて作業が始まった。一方、ロシアではドルガノーワ女史がヤムシ類を専門としていなかったので、ヤムシ類の専門研究者であるアラ・カセットキーナ女史が協力者として加わった。なお、韓国でもヤムシ類に関する研究論文が発表されているが、依頼する適切な研究者が見つからなかったので、本文献集には含まれていない。3年間にわたる各人の努力の結果、過去から2007年までの北西太平洋海域における毛顎動物に関する文献集として2010年4月に完成に至り、ヤムシ研究会の成果物として登録された次第である。
Contents (The bibliography on chaetognaths studies in each area.)
・Bibliography on Chaetognatha studies in China and Taiwan (Yanyu Dai)
・Bibliography on Chaetognatha studies in Russia (N. T. Dolganova and A.P.Kassatkina)
・Bibliography on Chaetognatha studies in Japan (by Kazunori Kuroda)