ネバダ州の温泉
ネバダ州といえばギャンブルの街、ラスベガスが有名です。飛行機で夜ラスベガスに向かうと、砂漠のまんなかに忽然と現れる光の洪水に感動してしまいます。筆者の住むシリコンバレーからは飛行機で1時間半と手軽な距離にあり、何回か家族で訪れています。夏など暑いためむしろシーズンオフで、飛行機代やホテル代もあまり高くありません。砂漠の中なのでおいしい食べ物には恵まれていませんが、家族でマジックショーをみたり近郊に足を伸ばしたりするにはいい拠点です。ユタ州の温泉へはここから車で行きました。
スチームボート温泉 (2003年2月訪問)
スチームボート温泉は料金がお一人様1時間 17ドルとすこし高めで、また子供は不可なので筆者のところはカミさんと交代で入りました。脱衣場とシャワーつきの洗い場(石鹸なし)がある個室形式の家族風呂が複数あり、そのひとつを貸し切りで使う形式です。お湯は無色透明ややたまご味の単純泉と見られますが、分析表はありませんでした。源泉の温度は相当高く、タイルの浴槽に加水して温度調節するしくみです。浴槽の水は毎回新しいものに取り替えています。マッサージが好評のようで、予約して来ている若いカップルがいました。スキー場からリノに戻る道に近く、その立地条件からすればずいぶん空いていると思いました。
ネバダにあるもうひとつの大きな町は北にあり Reno (リノ)と呼ばれています。こちらはサンフランシスコなどから車で5時間ぐらいの距離にあり、シリコンバレーから週末に出かけるには手ごろな場所です。リノの近くには Lake Tahoe (タホ湖)があり、こちらは四季を通じて観光客でにぎわっています。タホ湖はちょうどカリフォルニアとネバダの州境に位置するので、ネバダ側に行けばギャンブルもできます。タホ湖のほとりにある温泉はこちらをご覧ください。
リノとタホ湖の間ぐらいに Mt. Rose (マウントローズ)という山があり、大きなスキー場があります。ここでたっぷり滑ったあと、温泉に入って体を温めたいなと思った方にお勧めしたいのが、左の地図でご紹介する Steamboat Villa Hot Springs Spa (スチームボート温泉)です。場所は、マウントローズからリノに降りてくる州道 431号を東に進み、州道 395号で南に向かうとすぐの左手にあります。395号からでも湯元の湯煙が見えます。ちなみにこの湯煙が蒸気船のようにみえることからスチームボートと名づけられたそうです。リノの町からも近く、高速道路の 395号を南下して高速道路の終点から州道 431号経由で 395号に入ります。このあたりはちょっとした地熱地帯で、395号の西側には地熱発電所もあります。
こちらはスキーウエアのうえ子供連れのためいささか場違いのような気もしましたが、スキー帰りに冷えた体を暖めるには最高の温泉で、予約なしの飛び込みでも親切に対応していただきました。ちなみにここは歴史的建築物として保存されているようです。ここと州道の間に源泉小屋があり、時折大きな音をたててお湯が噴出しています。そのあたりには湯気を出す穴が地面に複数あり、温泉好きにはたまらない場所です。リノに遊びにきたついでにぜひ寄ってみてください。良心的なスタッフが迎えてくれます。
スチームボート温泉前の源泉の湯気
温泉の浴室(写っているのは筆者)
カーソン温泉(2002年10月訪問)
州道 395号は別名温泉街道とも呼ばれ、リノより南の道沿いにいくつもの温泉があります。スチームボート温泉を左手に見てさらに南下すると州都でもある Carson City (カーソン市)につきますが、この街のすぐ北東にあるのが Carson Hot Springs (カーソン温泉)です。地図は上をご覧ください。左手に Safeway が見える Hot Springs Road という道で 395号を左折します。途中新しい道のため Hot Springs Road は分断されていますが、そこを迂回して進みます。昔油田を掘っていて石油のかわりに温泉が湧いたため、温泉プールと10個の浴室を設けたお風呂屋さんを始めたそうです。外見では普通のレストランなので、そのとなりにある浴舎の建物の塀にかかれたサインを目印にしてください。
屋外の温泉プールでは、源泉温度が高いため打たせ湯のように屋根の高さから温泉を注ぎ込んでいます。アメリカの温泉プールは殺菌剤として臭素を入れてるところが多いのですが、ここは毎日水を入れ替えて掃除するので特に薬は入れてないそうです。屋内は温度の高い順にAからJまで名前のついた個室の浴室があり、摂氏 43度から 38度ぐらいの範囲に温度調節されているようです。空いていれば自分の好みの温度の浴室が最大2時間利用できます。
浴室には脱衣場があり、そこから階段で下に数段下がったところがもう浴槽です。天井の高い建物のため湯気はこもりませんが、まるで四角い穴蔵の底で湯に浸かっている気分です。洗い場やシャワーはありません。無色透明、無味無臭の単純泉がプール側の壁の穴から静かに注ぎ込み、反対側のかべの穴から流れ出てゆきます。浴槽にはコンクリートブロックが椅子代わりに沈められています。料金は子供二人に大人一人で35ドルぐらいでした。浴舎の利用は大人に限られているみたいですが、家族ということで認めてもらいました。ただし浴舎はコンクリの壁に囲まれていてやや情緒に欠けます。
州道 50号を利用してタホ湖から来る場合もそう遠くないので、子供連れにはよさそうです。プールには一日いてもよく、プール代は温泉代に含まれています。またプールのみの使用もできます。ただし温泉プールは温めのお風呂くらいの温度なので、気温が高いとあまり泳げません。昔からある内湯のつくりがいまいちですが、掛け流しの温泉はまろやかで体が温まります。これで露天風呂があれば最高なのですが。