本作において重要な要素の一つとなっているのが、明治眠信館の特別寝室に安置されている魔性のベッドである。
この魔性のベッドについては非常に謎が多く、明らかにされている事は少ないが、このベッドに乗り移っている不可視な知的生命体が、その正体だと言う事が作品中で判明している。
それは白鳥座の方向に一万五千光年以上も離れた所から地球にやってきた知的生命体であり、地球人の様に猿から進化した者では無い物の、地球人より一億年以上も進化した生命体である。
能力としては、自らが乗り移ったベットに眠る者を「信念と疑念の空間」に陥れて、永遠の睡眠者にしてしまう物などがある。(しかし信念と疑念の空間が、この生命体によって用意された物なのか、そしてこの空間で聞こえる「何者かの声」が、この生命体の物なのかは断定できない。)
また過去には喜多川新平の感情を遠隔操作をしたり、複数の人間を一瞬で消滅させる等の恐ろしい力を持つ。この生命体が、どれだけ広い直径範囲内で、付近にいる人間に影響を与えられるのかは不明である。
地球人で発音できる様な名前では無く、自らを地球人が発音できる言葉で「夢鬼魔」(むきま)(自身が人の夢を操り、鬼の様に冷酷で、悪魔の様に邪悪な存在だとして)と名乗らせる事を喜多川に提案した。しかし喜多川の一生においてこの生命体をこの名で呼んだ事はなく、常に「魔性のベッド」と呼んでいた様だ。
喜多川物語終盤にて、この生命体は異界を操れる程の能力は無い事が喜多川によって見破られてしまう。(地球外知的生命であっても異界、つまり異次元の生物ではない為)
その後、たった一人で異界に取り残されてしまったこの生命体の、その後の行方は物語では描かれていない。
さて本作には三つの世界、すなわち「現実の世界」(東京国内)と「夢の中の世界」、そして「異界」が登場する。そしてここで、もし屠殺師(擬態屠殺師)が佇んでいた空間が異界だったと仮定する。
夢の中の世界である「信念と疑念の空間」を抜け出そうとする主人公に対して、負け惜しみの言葉を放った「何者かの声」が、この生命体の声だったとする。するとこの生命体が作り出したこの空間には欠点があり、それはこの生命体さえもコントロールできない異界へと繋がってしまっていたと言う事が考えられるのではないだろうか。
屠殺師が居た空間が異界の一種だったとしても、後の物語から振り返って考えると、主人公は、いとも簡単に(ゲーム難易度的に)この異界から帰ってきた事に関しては不思議とも思える。・・・とすると、やはり屠殺師との対話は異界ではなく人の夢の中で行われたのだろうか?いずれにしても、この箇所については真相不明である。
(続く・調査中)