東京逃亡者調査研究委員会、考察と調査研究結果
□ ゲームの世界観概要
この「東京逃亡者」をプレイした途端、作者の脳によって作り上げられた謎の世界に突然放り出される事になる。
そしてここでは一切の事は語られる事は無く、プレイヤーは自力でこの世界の姿を、世界に生きる住人の言葉や置かれた書物、そして経験などから解き明かして行くのである。
物語を進めて行くと、どうやらここは日本列島であり東京である事は間違い無いのであるが、どうやら現実のそれとは全く違った異様な世界であると言う事に気がつくであろう。
物語を進めて行くと、段々と分かって来るのだが・・・。
どうやら東京と言うのは「東京国」と言う国になっており、隣接する「日本民国」との戦争状態になっている様である。日本民国については明らかにされていないが、東京国に隣接する千葉県と埼玉県が東京国をけん制する為に合併し「埼葉県」となった様であるが、これも日本民国の一自治体であると思われる。
これはこの物語に登場する関東地方、もしくは日本列島は、二つ以上の国に分断、分割統治されている可能性が高い。そして、この世界の異様な形体の荒野や野原は、度重なる紛争など、その情勢の有様が形になった物なのかもしれない。
東京国の工作員によって保護された日本民国の、とある重度煙草中毒患者の発言によると、東京国は資本主義だと言う。そして彼はそれを嫌ってもいたので日本民国は反資本主義国家である可能性が高い。
そして先の時代では「日本真帝国」と言う国家が「大戦」を戦い続けていた様であり、とある洞穴では、その時の帝国陸軍の特務兵によって書かれた石碑文があり、帝国に対する連合軍による戦後の日本分割統治計画について、記述されている点が見受けられる。
そしてこの世界に登場する東京浜石区の国立図書資料館は、すでに敵国からの砲撃を受け壊滅状態であり、それら敵国の攻撃に怯え、地下での生活を余儀なくされている住人も多い。東京城川区の明治眠信館は砲撃の直撃からは逃れ、その代わりに建物周辺に出来た砲撃による穴が多くあり、それらは水溜りや池になっている。
物語の至る所には、消化不良とも思える部分も存在する。ただこの作品が、与えられる条件をクリアする事を前提にした作品ではなく、単に奇妙な世界を歩き回る事を前提にした作品と言う事であれば、作者が創作した世界や人物の姿や行動様式、価値観を、物語の起承転結なしに淡々と描き続けるだけに終始するスタイルの映画や小説は存在するので、この作品もそう言った類の物であるのかもしれない。
(調査研究は続く・・・)
東京逃亡者調査研究委員会