会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
題目:ローレンツ幾何における完備性について
概要:近年,Chruściel–Grantによる研究を端緒として,距離幾何学の手法をローレンツ幾何学へ応用するLorentzian length spacesの研究が活発に行われている.正則性の低い時空においては,測地線の分岐やcausal bubbleと呼ばれる病的な集合の出現など,滑らかな時空とは異なる困難が生じる.本講演では,これらの概念について説明した後,Beemによるローレンツ版Hopf-Rinow型定理に着目し,そのLorentzian length spacesへの拡張に関する結果について述べる.
会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
題目:測度距離空間のマグニチュード
概要:マグニチュードはLeinsterによって定義された有限距離空間の等長不変量であり,「effectiveな点の数」を数えると考えられている.この不変量を無限距離空間に拡張する方法には,有限部分空間のマグニチュードの上限をとる方法と,weight measureという測度を用いる方法が知られており,この二つの方法がいつ一致するかを判定することは限定的な場合を除いて難しい.本講演では,マグニチュードの定義をより一般の測度距離空間に拡張することで,これら二つの定義を統一的に扱う定式化を与える.また,いくつかの具体例における計算結果を見ると,この測度距離空間への拡張が測地線の一意性と関係することが示唆される.特に,測地線の一意性とマグニチュードホモロジーに関する浅尾氏と五味氏による結果との関連について議論する.
会場:南大沢キャンパス8号館6階 618(いつもと場所が異なります!)
題目:Quiverから得られるnilpotentおよびsolvable Lie代数と幾何構造
概要:微分幾何学において, 与えられたリー群がいつどのような特別な左不変構造を許容するかは重要な問題である. 特に, solvable Lie群は興味深い対象である. 以前の研究において, 私たちは道代数を用いてcycleを含まない有限quiverからnilpotent Lie代数を構成した. 本講演では, 頂点を長さ0の道として加えることによって, solvable Lie代数を構成する. これらのLie代数に対応する単連結リー群がリッチソリトンなどの特別な左不変幾何構造を許容することについて述べる. また, これらの幾何構造の存在性とクイバーの組合せ論的性質の関係性も考える.
講師:小池 直之(東京理科大学)
題目:平均曲率流 – 部分多様体の時間発展 –
要旨:この集中講義では,曲面の一般概念であるリーマン部分多様体,及び,その時間発展である平均曲率流に関する入門的サーベイを与えたい.平均曲率流とは,リーマン部分多様体が,その体積が最速で減少するように変形していく流れ(リーマン部分多様体の1パラメーター族)であり,この流れが無限時間まで存在する場合,例外を除いて,無限時間後に極小部分多様体に収束する.それゆえ,平均曲率流は,極小部分多様体の研究において大変重要な概念である.講義の前半部では,リーマン部分多様論における基本的な概念と事実を述べた後,平均曲率流を定義する.後半部では,まず,平均曲率流に沿う様々な幾何学量の時間発展について説明した後,ユークリッド空間,球面,及び,対称空間内の平均曲率流に関する基本的な結果を紹介する.
日程・会場:
5月28日(木)14:40~16:10(8号館618)
6月 4日(木)14:40~17:50(8号館610)
6月11日(木)14:40~17:50(8号館610)
会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
題目:最適輸送理論を用いたスケールフリーな点群処理手法
概要:(3D)点群とは、物体形状をサンプリングして得られる離散的な点の集合である。二つの点群間の対応関係を求めることは点群処理における中心的な課題の一つであり、ICPやCPDといった最適化に基づく手法が広く知られている。しかし、それらの手法は、二つの点群が同一の尺度に基づいて記録されていることを前提にしており、そうでないと上手く機能しない。
この課題を解決するために、深層学習モデルによる特徴量抽出とFused Gromov-Wasserstein (FGW) 距離ベースのマッチングを融合させた新たな手法を提案する。この手法では、尺度の差異に依存せず、二つの点群に含まれる対応関係を抽出できる。
点群処理と最適輸送理論の基礎から始め、問題の数学的定式化、アルゴリズム、および実データによる実験結果について紹介する。
講師:本多 正平(東京大学)
題目:特異空間上のリッチ曲率の下限と幾何解析
要旨:本講義では特異空間上でのリッチ曲率に関する比較幾何学を紹介する.扱う特異空間はRCD空間と呼ばれるもので,その研究の発展は近年著しい.特にその基礎の部分をきちんと扱うことを本集中講義の目的とする.よってこの講義が終わるころにはRCD空間の定義はいえるようになる.この理論は最適輸送理論と深い関わりがあるが,それについては時間が許せば軽く紹介する.なお,この理論の最近の大きな応用の一つにGabor Szekelyihidiによる特異ケーラーアインシュタイン多様体の研究がある.そのあたりについても時間が許せば触れる.予備知識としては距離空間(と測度論を少々)がわかっていればなんとかなる.
日程・会場:
6月24日(水)14:40~17:50(8号館610)
6月25日(木)13:00~15:00(11号館103)
7月 6日(月)14:40~17:50(8号館610)
7月 8日(水)14:40~17:50(8号館610)
7月 9日(木)13:00~17:50(8号館610)
会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
題目:等積アファインはめ込みの絶対全曲率の最小性と凸性の関係について
概要:ユークリッド空間へのコンパクトn次元多様体のはめ込みに対して,Lipschitz–Killing曲率の絶対値を積分して得られる大域的な幾何量として,絶対全曲率が定義される.Chern–Lashofの定理によれば,絶対全曲率はベッチ数の総和以上であり,絶対全曲率が2であることは,像がある(n+1)次元アファイン部分空間に埋め込まれた凸超曲面であることと同値である.Koikeは2001年に,任意の次元・余次元の等積アファインはめ込みに対して絶対全曲率を定義し,Chern–Lashof型不等式を示した.しかし,等積アファイン幾何において絶対全曲率が2となる場合の幾何学的特徴付けは,これまで明らかにされていなかった.本講演では,アファイン基本形式の非退化性を仮定しない等積アファインはめ込みを対象として,絶対全曲率の最小性と凸性の関係を論じる.主結果として,絶対全曲率が2であることと,像がある(n+1)次元アファイン部分空間に埋め込まれた凸超曲面であることが同値であることを紹介する.
会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
題目:グラフ積のbi-exact性について
概要:与えられたグラフC=(V, E)とその頂点集合Vで添字づけられた群の族(G_v)に対して、それらのグラフ積群G_Cは(G_v)らの自由積を「辺で隣り合う頂点上の群は互いに可換」という関係で割ったものとして定義される。この群の幾何学的・解析的な構造は近年Huang, Horbezや Caspersらによって様々な側面から精力的に研究されているが、本講演では群の解析的な構造の一例としてbi-exact性に注目する。Bi-exact性はOzawaにより導入された双曲群を含む群のクラスであり、フォンノイマン環論に重要な応用を持つ。主結果としてこのグラフ積、およびグラフ積上の特殊な作用による半直積として定義されるグラフ環積のbi-exact性について紹介する。
会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
題目:Generating family spectra and excellent Morse functions
概要:Generating Familyとは、ルジャンドル多様体を関数の族の停留点集合として表す概念である。余接束内のルジャンドル多様体の不変量はいくつか知られているが、本講演では、Generating familyを用いて新しく構成された安定ホモトピー型不変量について紹介する。応用として、従来の手法では区別できなかったユークリッド空間上の「Excellent Morse Function」のペアを無限個挙げ、これらが全て本不変量を用いて区別できる。時間があれば、深谷圏、Linearized Contact Homology, Chekanov-Eliashberg Algebra等とのつながりについて議論する。これはLisa Traynorとの共同研究である。