日時:金曜日 16:30 -- 18:00
会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
世話人:赤穂まなぶ,深谷友宏,数川大輔
(以下, 敬称略)
会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
題目:Spin-Sp(4), Spin-SU(8), Spin-Spin(16)同境群の計算
概要:リー群Gに対して、Spin-G同境群は理論物理学におけるアノマリーの有無を調べる上で重要な対象である。Spin-G同境群の計算は一定の条件下ではAdamsスペクトル系列を用いた比較的易しい計算方法が知られていたが、G = Sp(4), SU(8), Spin(16)はいずれもその条件を満たさない。Debray-Yuはこの条件が不要なことを示し、この結果をもとに私は前述したGに対して7次元までSpin-G同境群を計算した。
本講演では、これらの計算手法の概要を紹介するとともに、加群の生成元を具体的な多様体を用いて明示的に与える方法についても解説する。
会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
題目:CR Paneitz operator on non-embeddable CR manifolds
概要:The CR Paneitz operator, a CR invariant fourth-order linear differential operator, plays a crucial role in three-dimensional CR geometry. It is closely related to global embeddability, the CR positive mass theorem, and the logarithmic singularity of the Szegő kernel. In this talk, I will discuss the spectrum of the CR Paneitz operator on non-embeddable CR manifolds, with particular emphasis on how it differs from the embeddable case.
講師:窪田 陽介 (京都大学)
題目:物性物理と指数定理
要旨:本講義では,トポロジカル絶縁体という物性物理の理論の,その背後にある数学的基礎を解説する.数学的内容としては,差分作用素の関数解析とその指数理論である.
関数解析においては,作用素やその集合が持つトポロジー的な性質が,対応する方程式の解の解析的な挙動に関するロバストな特徴を規定することがしばしばある.特に有名な例として,トポロジーがロバストな解の存在を保証するFredholm指数と,その値を記述する Atiyah-Singer の指数定理が挙げられる.そもそも指数定理は,擬微分作用素やその主表象に関する Hormander らの解析的研究をひとつの起源としている.指数理論には色々な変種があり,例えばある種の作用素は Z でなく Z/2 に値を取る不変量を持っている(このZ/2はBott周期性に由来する).
これらの数学の一部が,21世紀に入ってから物性物理を記述する道具として再注目されることとなった. そもそも物性物理は関数解析と相性がよい.強結合近似のもとではハミルトニアンは有界作用素だし,物性理論の重要な基礎であるバンド理論(ブロッホ理論)とはすなわちフーリエ変換のことである.21世紀の流れの一つに,様々な対称性を加味した指数理論を考えるというものがある.これはAtiyahの実K理論によって適切に記述され,理論上の概念に具体的で説明のしやすい役割を新たに与えた.
物理に関する事前知識は特に要求しない.まずはいろいろな具体例を見てもらい,それからその背後にある統一的な考え方を知ってもらうことを目標とする.
日程:
10月27日(月)4限、5限
10月28日(火)3限、5限
10月29日(水)3限、4限
10月30日(木)4限、5限
10月31日(金)3限、4限