日時:金曜日 16:30 -- 18:00
会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
世話人:赤穂まなぶ,深谷友宏,数川大輔
(以下, 敬称略)
会場:南大沢キャンパス8号館6階 610
題目:コンパクト距離空間列からなる空間のGromov-Hausdorff空間への等距離埋め込み
要旨:コンパクト距離空間の等距離同型類にGromov-Hausdorff距離を導入して得られる距離空間をGromov-Hausdorff空間という。これはコンパクト距離空間を点に持つ空間であるだけにこの空間の位相的性質に興味がある。ここでは、ある一定の直径以下のコンパクト距離空間からなる部分空間たちの直積空間をmax距離でGromov-Hausdorff空間に埋め込む等距離写像を具体的に提示する。
講師:窪田 陽介 (京都大学)
題目:物性物理と指数定理
要旨:本講義では,トポロジカル絶縁体という物性物理の理論の,その背後にある数学的基礎を解説する.数学的内容としては,差分作用素の関数解析とその指数理論である.
関数解析においては,作用素やその集合が持つトポロジー的な性質が,対応する方程式の解の解析的な挙動に関するロバストな特徴を規定することがしばしばある.特に有名な例として,トポロジーがロバストな解の存在を保証するFredholm指数と,その値を記述する Atiyah-Singer の指数定理が挙げられる.そもそも指数定理は,擬微分作用素やその主表象に関する Hormander らの解析的研究をひとつの起源としている.指数理論には色々な変種があり,例えばある種の作用素は Z でなく Z/2 に値を取る不変量を持っている(このZ/2はBott周期性に由来する).
これらの数学の一部が,21世紀に入ってから物性物理を記述する道具として再注目されることとなった. そもそも物性物理は関数解析と相性がよい.強結合近似のもとではハミルトニアンは有界作用素だし,物性理論の重要な基礎であるバンド理論(ブロッホ理論)とはすなわちフーリエ変換のことである.21世紀の流れの一つに,様々な対称性を加味した指数理論を考えるというものがある.これはAtiyahの実K理論によって適切に記述され,理論上の概念に具体的で説明のしやすい役割を新たに与えた.
物理に関する事前知識は特に要求しない.まずはいろいろな具体例を見てもらい,それからその背後にある統一的な考え方を知ってもらうことを目標とする.
日程:
10月27日(月)4限、5限
10月28日(火)3限、5限
10月29日(水)3限、4限
10月30日(木)4限、5限
10月31日(金)3限、4限