首都大学東京・幾何学セミナー

日時: 金曜日 16:30 -- 18:00

会場: 8号館6階 618号室

世話人: 高津飛鳥

(以下, 敬称略)

2017年度

2018年3月16日(金)16:30- 坂田繁洋氏(宮崎大学) "Symmetry of a triangle and critical points of Riesz potentials"

講演概要: We consider the characterization of regular triangles. In Euclidean geometry, it is well-known that if at least two of the centroid, the incenter and the circumcenter of a triangle coincide, then the triangle has to be regular. In 2012, O'Hara showed that the centroid, the incenter and the circumcenter of a body (the closure of a bounded open set) are obtained as a critical point of a Riesz potential. In other words, critical points of Riesz potentials of a body can be regarded as "centers" of the body. Using critical points of a Riesz potential of a triangle, we derive a sufficient condition for that the triangle has to be regular.


2018年1月26日(金)16:30- 笹木集夢氏(東海大学) "簡約型球等質空間に対するカルタン分解"

講演概要: リーマン対称空間や擬リーマン対称空間の幾何構造の研究の1つに,その微分同相全体のなす群の適当な部分群による作用による軌道の幾何構造や軌道と交叉する部分多様体を調べる方法がある. リーマン対称空間における対称部分群の作用や擬リーマン対称空間における極大コンパクト群の作用の場合,カルタン分解と呼ばれる群の分解定理が背景にあり,これにより軌道の幾何構造や交差する部分多様体が具体的に理解できる. 一方で,その枠組みから外れると軌道と交叉する部分多様体を具体的に理解することが難しい. 本講演では,非対称な等質空間で対称空間を含むあるクラス(球等質空間)に対して群の分解定理を得ることができたことを,具体例を交えながら解説する.


2018年1月19日(金)17:00- Jérôme Bertrand氏(Université Toulouse III)"Prescribing the Gauss curvature of convex bodies in the hyperbolic space"

講演概要:I will state and prove an hyperbolic analogue of a classical theorem on Euclidean convex bodies due to Alexandrov. It consists in prescribing the shape of a (pointed) convex body given its Gaussian curvature measure (viewed as a measure on the unit sphere). The existence of such a convex body is based on the study of a non-linear analogue of Kantorovitch's dual problem, a standard tool in optimal mass transport. This is joint work with Philippe Castillon.


2017年10月6日(金)16:30- 本多正平氏(東北大学) "RCD空間上のWeylの法則"

講演概要:Ricci曲率が下に有界な測度付き距離空間のことをRCD空間という. 典型例の一つは区間[0, \pi]の上に\sin tdtで測度を置いたものである(この測度付き距離空間ではRicci曲率は正になるように曲がっている). このような空間でラプラシアンの固有値の漸近挙動を考える. コンパクトリーマン多様体だと,その漸近挙動に体積が現れることが知られており,それはWeylの法則と呼ばれる. これは測度に重みをつけても結果は同じで,重みの情報が漸近挙動では消える. RCD空間では定義から,最初に測度が与えられているため,Weylの法則が成り立つとすれば,漸近挙動に現れるべき体積にあたる量が何かがわからない. この問いに答えることが本講演の内容であり,ピサ高等師範学校のL.Ambrosio氏とD.Tewodrose氏との共同研究にもとづく.


2017年7月28日(金)16:30- 大野晋司氏 (大阪市立大学数学研究所)"球面内の等質二重調和部分多様体"

講演概要:二重調和写像は, 調和写像の一般化としてJ. EellsとL. Lemaireによって導入された概念である. 調和写像はエネルギー汎関数の臨界点として定義され, その条件は張力テンソル場が0であるというEuler-Lagrange方程式で特徴づけられる事が知られている. それに対して、二重調和写像は, 張力テンソル場のノルムの二乗の積分で定義される2エネルギー汎関数の臨界点として定義される. 調和写像の場合と同様に二重調和写像は, 2-張力テンソル場が0であるという偏微分方程式で特徴づけられる. 調和写像は定義から明らかに二重調和写像となる. 一方で, 二重調和写像は一般には調和写像であるとは限らない. このことに対して, B. Y. Chenは, ユークリッド空間内の二重調和部分多様体は調和である という予想をしている. B. Y. Chenの予想は未だに未解決ではあるが, 様々な仮定のもとで部分的に解決されている. また, 値域の多様体の曲率が負の場合にも調和でない二重調和写像の非存在性が部分的に示されている. これらの場合とは対照的に, 値域の多様体の曲率が正の場合, 調和でない二重調和写像の例が数多く見つかっている. 特に超球面内の二重調和等質超曲面の分類はIchiyama, Inoguchi, Urakawa によって既に得られている. この講演では, Ichiyama, Inoguchi, Urakawaの結果を一般化し, ある種の球面内の等質部分多様体の二重調和性を, 代数的な方程式で特徴づけ, 調和でない二重調和等質部分多様体を得る方法を紹介したい.


2017年7月21日(金)16:30- 深谷友宏氏 (首都大学東京)"粗Cartan-Hadamard定理と粗Baum-Connes予想への応用 "

講演概要:幾何学的群論や距離空間の幾何学の研究に於いて,「非正曲率を持つ距離空間」の様々な定義が知られている. 例えばGromov双曲空間・CAT(0)空間・Busemann空間などである. そうした中で,講演者等は擬等長同型の元で普遍な性質を持つ「非正曲率性」を導入し,その性質を持つ距離空間に対して,Riemann幾何学に於けるCartan-Hadamardの定理の類似が成立することを示した. これにOsajda-Przytyckiによる結果を合わせることにより,Systolic群と呼ばれる群のクラスに対して粗Baum-Connes予想が成立することが得られる. 最近になり,古典的に重要なArtin group of large typeがSystolic群であることが示されている. 講演者の知る限り,このクラスの群に対して粗Baum-Connes予想が成立するかはこれまで知られていなかった. この講演は愛媛大学の尾國新一氏との共同研究に基づく.


2017年6月30日(金)16:30- Oliver Baues (Georg-August-Universitat Gottingen) "Isometry groups of compact manifolds with indefinite metric "

講演概要:The group of automorphisms of a geometric structure on a compact manifold is a Lie group whose properties are determined to a large degree by the underlying geometry. We consider the question which Lie groups act by isometries on manifolds with indefinite metric. Whereas in the Riemannian case the isometry group acts properly, the isometry groups of indefinite metrics enjoy much greater freedom. In the Lorentzian case, a complete local classification is available for some time now, by work of Adams-Stuck and Zeghib. In this context it is of particular interest to determine the compact homogeneous model spaces for metrics of higher signature. In the talk, we introduce several new results on local and global properties of their full group of isometries.


2017年6月23日(金)16:30- 藤田玄(日本女子大学) "Toric origami多様体に対するDanilov型定理の指数の局所化による証明"

講演概要:超曲面に沿ったある種の退化を許容する閉2次微分形式が付与された多様体を(symplectic) origami多様体という. また, toric origami多様体とは, origami多様体とその上への半分次元の効果的なトーラス作用であって, 対応する運動量写像が存在するもののことである. 定義からわかるように, これらの概念はsymplectic多様体および(symplectic) toric多様体の一般化である.

Toric多様体に対してDanilovの定理という古典的な定理がある. それは, toric多様体上のトーラス同変な正則直線束の正則切断の空間と, 運動量写像の像(Delzant多面体)内の格子点から定まるトーラスの表現空間の同型を主張するものである.

本講演では, 古田幹雄氏と吉田尚彦氏との共同研究による指数の局所化の立場から, Danilovの定理のtoric origami多様体への拡張について説明する. この拡張自体は, Cannas da Silva-Guillemin-Piresによる origami多様体に対するある同境定理からも得られる. また, 枡田-Parkによるmulti fanを用いたtoric origami多様体の記述(および不動点定理)からも証明が可能と思われる. これらと比べて, 本研究によるアプローチはより直接的で幾何的な証明となっている.


2017年6月16日(金)16:30- 池 祐一(東京大学)"Applications of microlocal sheaf theory to symplectic geometry in cotangent bundles"

講演概要: 柏原とSchapiraによる超局所層理論はある意味で層係数のモース理論とみなすことができる. Tamarkinはこの理論を用いて余接束におけるシンプレクティック幾何学,特にnon-displaceabilityの問題に新たなアプローチを与えた. この講演では超局所層理論とTamarkinのnon-displaceability定理について概説する. またラクランジュ部分多様体の層量子化と余接束内のラクランジュ交叉の問題への応用についても述べる予定である.


2017年5月26日(金)16:30- 本田淳史(横浜国立大学) "非負曲率空間型の特異点を許容する等長はめ込み"

講演概要:近年,特異点を許容する(超)曲面である波面の微分幾何学的性質が盛んに研究されている. 波面の内在的な幾何構造を抽出したモデルとして,リーマン多様体の特異点を許容する一般化にあたる「連接接束」という概念が佐治-梅原-山田により導入された. 本講演では連接接束に「空間型タイプ」という空間型の一般化にあたる概念を導入する. そして正曲率の場合に,それらの球面内の波面としての実現の分類定理を紹介する. それは,O'Neill-Stiel の定理「同じ正の断面曲率を持つ空間型の間の余次元1の等長はめ込みは全測地的である」の一般化を与える. さらに,曲率が0,つまり平坦の場合には Hartman-Nirenberg による柱面定理が知られているが,特異点を許容すると 3次元ユークリッド空間の平坦波面には非自明な例が存在する. 村田-梅原は平坦波面の大域的な分類と4頂点型定理を示した. 本講演では高次元の平坦波面の分類についても解説する.


2017年5月19日(金)16:30- 佐々木東容(早稲田大学) "曲面上のサブセットカレント"

講演概要:サブセットカレントは測地カレントの自然な一般化としてKapovichとNagnibedaによって導入された. 測地カレントはBonahonによって導入され,双曲曲面(以下,単に曲面という)上の測地カレント空間はその上の(重み付き)閉測地線全体の集合の``よい完備化空間''と見なせることが知られている. 例えば,閉測地線に対してその長さを対応させる写像は,測地カレント空間上に連続に拡張される. 曲面上の閉測地線を基本群の巡回部分群の共役類と対応させて考えると,曲面上のサブセットカレント空間は基本群の(重み付き)有限生成部分群の共役類全体の集合の完備化空間となることが期待されるものであり,Kapovich-Nagnibedaによって基本群が自由群の場合には示されている. 講演者は基本群が曲面群である場合に上記のことを示した. また,基本群の有限生成部分群の共役類は幾何学的には被覆空間の凸核に対応し,曲面上のサブセットカレント空間がそれらの``よい完備化空間''となっていることを支持するいくつかの結果を得た. 本講演では,まずサブセットカレントの概念についてなるだけ詳しく説明し,その後得られた結果について概観する予定である.


2017年4月28日(金)16:30- 杉本佳弘(京都大学数理解析研究所) "Spectral spread and autonomous Hamiltonian diffeomorphisms"

講演概要:シンプレクティック多様体が与えられると、その上の時間に依存する関数は微分同相写像を生成する。 この微分同相写像の集合をハミルトン微分同相群という。 この集合の内、時間に依存しない関数によって生成された微分同相はautonomouと呼ばれる。 PolterovichとSchelukhinは特別なシンプレクティック多様体に対し、Conley conjectureを使うことでこのautonomousなハミルトン微分同相写像の集合が ハミルトン微分同相写像群の中で「非常に小さい部分集合である」という事を証明した。 この講演では、Conley conjectureを使わずにPolterovich-Schelkhinの 結果を一般の閉シンプレクティック多様体に一般化する方法を紹介します。


2017年4月26日(水)16:30- 福本佳泰(華東師範大学) "Proper G-多様体の低次元コホモロジー類に対する higher signature の G-ホモトピー不変性について"

講演概要:閉多様体に対して signature というホモトピー不変量が定義されるが、それを一般化したものに higher signature という概念がある。 Higher signature は定義上ホモトピー不変かは分からないが、そのホモトピー不変性を主張するのが、Novikov 予想である。 Novikov 予想は多くの離散群に対して、その群を基本群に持つ閉多様体では正しいことが知られている。 本講演では、離散とは限らない群 G が多様体に proper かつ co-compact に作用している状況への higher signature の拡張と、それが或る条件の下では G-同変なホモトピーで不変となる事を紹介する。 また、同様の条件下で得られた Gromov--Lawson--Rosenberg 予想に対応する結果、すなわち正スカラー曲率を持つ G-多様体の higher A-hat genus の消滅に関する結果についても紹介する。


2017年4月21日(金)16:30- 山本光(東京理科大) "Mean curvature flows in several ambient spaces and its monotonicity formulas"

講演概要:In this talk, I will review a series of my recent studies to generalize the monotonicity formula found by Huisken for mean curvature flows in a Euclidean space. First, I introduce the original monotonicity formula of Huisken and its importance for the study of singularities. Next, I will explain a purely analytic approach to find such a monotonicity formula. Finally, by using this approach, I rediscover monotonicity formulas in several ambient spaces.


2017年4月14日(金)16:30- 相野眞行(名古屋大学) "Riemannian Invariants that Characterize Rotational Symmetries of the Standard Sphere"

講演概要:コンパクトRiemann多様体における、Ricci曲率の条件のもとでのラプラシアンの第一固有値の評価としてLichnerowicz-Obataの定理が知られており、この定理によって標準球面は特徴づけられる。 しかし、Obataの定理にはRicci曲率の条件が不要なバージョンが存在する。 以上のことに触発され、 Riemann不変量の族{Ω_k}を定義しその性質を調べた。 特に、これらの量は多様体の回転対称性を持った部位に強く反応し、Ω_1とΩ_2により(Ricci曲率の仮定なしで)標準球面が特徴づけられることを示した。 これは、異なる2つ以上の回転軸を持つようなある種の回転面は標準球面に限るという事実に基づいている。