日時: 金曜日 16:30 -- 18:00
会場: 8号館6階 618号室
世話人: 深谷友宏
(以下, 敬称略)
題目:superheavy部分集合とfragmentationノルム
要旨:シンプレクティック多様体上の時間依存する関数は、ハミルトン微分同相写像と呼ばれる微分同相写像を生成する。本講演では、ハミルトン微分同相群の「大きさ」について考察する。ここで「大きさ」は、fragmentationノルムで測る。Brandenburskyは、種数が2以上の閉リーマン面のハミルトン微分同相群の直径が無限大であることを示した。彼は、証明にPolterovichの擬準同型を用いた。本講演では、彼の結果をLagrangian Floer理論由来のスペクトル不変量を用い拡張する。本研究は川崎盛通氏との共同研究である。
16:30 -- 17:20: Hung Mai Cong 氏(京都大学)
講演題目:Rigidity for the isoperimetric inequality of negative effective dimension on weighted Riemannian manifolds
17:30 -- 18:20: 太田 慎一氏(大阪大学)
講演題目:Self-contracted curves and their rectifiability
講演題目:層の超局所理論と余接束におけるdisplacement energ
要旨:
Kashiwara-Schapiraによる層の超局所理論によって層係数コホモロジーのモース理論的な取り扱いが可能になる. Tamarkinはこの理論を用いて余接束のシンプレクティック幾何に新たなアプローチを与えた. 具体的には, 彼は余接束内のある部分集合のnon-displaceabilityを証明した. 彼が定義した圏の対象たちの上に "距離" を導入し, 定量的な考察を行うことで, 余接束内の部分集合のdisplacement energyの下からの評価が可能になる. 本講演では層の超局所理(の特にモース理論的な部分)について概説し, displacement energyの的な評価の証明の概略を述べる. 本講演は池祐一氏との共同研究に基づく.
講演題目:拡張されたMilnor数の計算方法について
要旨:
1987年に、Rudolphはファイバー絡み目に対して、拡張されたMilnor数 (the enhancement to the Milnor number)と呼ばれる不変量を定義したこの講演では、(結び目理論における基本的な用語を説明した後)拡張されたMilnor数が、ファイバー絡み目から(Thurston-Winkelnkemperの構成により)得られるコンタクト構造の d_3不変量から求まることを紹介する。 この方法を使って、いくつかのファイバー絡み目の拡張されたMilnor数を決定する。また、その応用について説明する。 この結果は、田神慶士氏(東京理科大学)との共同研究である。
題目:局所スペクトル収束とその応用
要旨:Ricci曲率に適当に仮定を置くと,いろいろな偏微分方程式のスペクトラムが,測度付きGromov-Hausdorff収束と呼ばれる非常に弱い位相の下で,連続的に振舞うことが知られている.それらは大域的な主張であり,この局所版がどうなるかということを考える.本講演はLuigiAmbrosio氏(Scuola Normale Superiore)との共同研究に基づく.
題目:H^3内のCMC1曲面を3次元射影二次超曲面上の零曲線として扱うことについて
要旨:3次元双曲空間にはめ込まれた(immersed)平均曲率一定(CMC)1の曲面は、1987年の R.Bryant の論文で初めて扱われた。Bryant は論文の中で、これらの曲面はWeierstrass表現方法をもつことを示した。すなわち、CMC1のはめ込みは局所的に SL(2,C) への正則零曲線(null curve)で与えられるというものである。正則で滑らかなエンド(regular smooth ends) は零曲線の極に対応するので、SL(2,C) の射影化である3次元の二次超曲面(3-dimensional quadric)を考えることは自然である。講義では、Pluecker 二次超曲面を用いて、正則で滑らかなエンドを持つCMC1のはめ込みをこの観点から構成する方法を説明する。更にこの構成方法から自然に導かれるいくつかの数学的問題を提示する。
Title: CMC1 surfaces in H^3 as null curves in a 3-dimensional quadric
Abstract:
We consider surfaces immersed in 3 dimensional hyperbolic space of constant mean curvature (CMC) 1 which were first studied by R. Bryant in his 1987 paper. Bryant shows that such surfaces have a Weierstrass presentation, that is, they are (locally) obtained from holomorphic null curves into the Lie group SL(2,C).
Regular smooth ends of the surface are poles of this null curve, which motivates the projectivization Q of the 3 dimensional affine quadric SL(2,C) and the study of holomorphic null curves into Q.
In this talk, I will present a way to construct CMC 1 immersions with regular smooth ends in this set-up using the Pluecker quadric. I will then propose some problems which naturally arise in this formulation.
題目:Borsuk-Ulam theorem for quantum spheres
要旨:コンパクト量子群に対する「等質空間」を考えることにより得られる量子球面代数系 C(S^k_q) が自然な Z/2Z の作用に関してBorsuk-Ulamの定理と類似の性質を満たすことを説明する。証明の過程にはPoisson変形量子化と同変KK理論の関係や,有限群の自由な作用の下での同変KK射のLefschetz数に関する考察が現れる。
題目:連結和上のポアンカレ定数
講演題目:正の曲率テンソルをもつ擬リーマン多様体の基本群について
講演概要:
正定曲率と完備性を仮定した場合において, リーマン多様体の場合と違い擬リーマン多様体はコンパクトではないが, その基本群が有限になることが知られている. そこで, リーマン幾何のMyersの定理の類似が擬リーマン幾何で成り立つか,つまり, 擬リーマン幾何において非一定曲率の場合で曲率の正値性からある種の基本群の有限性が導かれるかという問題を考察する. 一般的な場合は難しいので,擬リーマン沈めこみでファイバーの計量の符号がすべて正で底空間の計量の符号がすべて負である状況で考えた. ファイバーが閉でありかつ水平分布が可積分である仮定で, Andersson--Howardの意味で全空間の曲率テンソルが正であれば,ファイバーの基本群が有限になる結果を得たので, 本講演で紹介する
題目:等質空間の Clifford–Klein 形の幾何学
10月 8日(月)14:40~17:50 (8号館610室)
10月 9日(火)13:00~14:30, 16:20~17:50 (8号館610室)
10月10日(水)14:40~17:50 (8号館610室)
10月11日(木)14:40~17:50 (8号館610室)
10月12日(金)10:30~14:30 (8号館618室)
場所:11号館201教室 ※いつもと場所が異なりますのでご注意ください。
題目:A construction of special Lagrangian submanifolds by generalized perpendicular symmetries
要旨:We show a method to construct a special Lagrangian submanifold $L^\prime$ from a given special Lagrangian submanifold $L$ in a Calabi-Yau manifold with the use of generalized perpendicular symmetries. We use moment maps of the actions of Lie groups, which are not necessarily abelian. By our method, we construct some non-trivial examples in non-flat Calabi-Yau manifolds $\mathrm{T}^\ast S^n$ which equipped with the Stenzel metrics.
講師:井川治(京都工芸繊維大学題目)
題目:一般化された双対と重複度付き対称三対,及びそれらの応用
10月23日(火) 3,4限
10月24日(水) 4,5限
10月25日(木) 2,3限
講演題目:Sphere theorems and eigenvalue pinching without positive Ricci curvature assumption
要旨:Hessianを含む、関数についてのある2階微分方程式の非自明解が存在する完備リーマン多様体は球面に限る、というObataの定理は、
ラプラシアンの第一固有値に関するLichnerowiczの定理の等号条件を導く。
その安定性に関して、正の定数でRicci曲率が下から抑えられている状況でラプラシアンの第k固有値をピンチした際のRiemann多様体の挙動は
Petersen, Aubry, Hondaらによって明らかにされてきた。
本講演ではObataの定理そのものには正のRicci曲率の仮定が必要でないことをふまえ、
負でも良いRicci曲率の下からのバウンドと直径の上からのバウンドのもとでのObataの定理に関する関数についてのL^2ピンチについて調べる。
このピンチ条件は、あるベクトル束の接続のラプラシアンの固有値に関するピンチ条件としても表せる。
またユークリッド空間におけるnearly umbilicalな超曲面(ここでは第二基本形式のトレースレスパートがL^2で0に近いものを指す)に対する応用を述べる。
講演題目:非正曲率距離空間への群作用の固定点性質
要旨:群Gがk次元Busemann空間にsemi-simpleに作用するとき、部分群Hが常に固定点をもつならば、組(G,H)はproperty FBkを持つというこれは木への群作用に関するSerreのproperty FA、k次元CAT(0)セル複体作用に関するproperty FAkを更に一般化しこの講演では、ある群と部分群の組がproperty FBkを持つための十分条件を与える。応用として、Thompson群Tとその一般化が、任意の自然数kに
を持つことを示す。
講演題目:複素射影直線から複素グラスマン多様体への同変調和写像について
要旨:本講演では複素射影直線から複素グラスマン多様体への調和写像の分類問題について考える.Target spaceが複素射影空間である場合は,正則等長写像はCalabiによって,一般の調和写像については Bando-OhnitaやBolton-Jensen-Rigoli-Woodwardによって完全に決定された.分類結果を見ると,それらはすべて2次特殊ユニタリ群の作用について同変である.しかしTarget Spaceを高次の複素グラスマン多様体にすると,正則等長写像で群作用を保たないものが存在することが知られている.そこで講演者は,複素グラスマン多様体への正則写像や調和写像のうち群作用を保つものについて分類し,非自明なモジュライ空間を構成することにした.グラスマン多様体への写像の分類理論はDomain上のベクトル束の接続の空間といい関係を持つことがNagatomoによって知られており,今回はその手法を用いる.本講演の内容は明治大学の長友康行氏との共同研究に基づく.
講演題目:Gromovの$Cycl_4(0)$条件とCAT(0)空間
要旨:
M. Gromovは, CAT(0)空間が持つ性質として, 4以上の各整数kに対して, $Cycl_k(0)$条件と呼ばれる条件を導入し, 測地的な距離空間においては, 空間が$Cycl_4(0)$条件を満たすこととCAT(0)であることが同値であることを証明した.それでは, 測地的という仮定を外した場合には,$Cycl_4(0)$条件を満たす距離空間とはどのようなものであろうか?近藤氏(鹿児島大学), 上原氏(岡山大学)と講演者は, Gromovが提示した問題に答えを与える形で, そのような距離空間はGromovの導入したWirtinger不等式と呼ばれる不等式を満たすことを証明した. 本講演では, さらに, そのような距離空間は4以上の任意の整数kに対する$Cycl_k(0)$条件をも満たすことを説明する.
講演題目
双複素数から眺める平均曲率ベクトル場が零な部分多様体について
要旨:
近年、3次元 Lorentz‐Minkowski 空間内の平均曲率零曲面の型変化やそれらに関する研究が活発に行われている。平均曲率零曲面は空間的部分と時間的部分に分かれるが、本講演では、双複素数を用いることによる型変化の様子や空間・時間的部分を統一的に扱った考察について概説する。また、この考察から分かるある種の高次元への適用についての説明を紹介したい。講演の内容は大阪市立大学の加藤信氏との共同研究にもとずく。
講演題目 : 重み付きハミルトン安定性と変形ラグランジュ平均曲率流
Title. Flat structures on minimal surfaces
Abstract. Inspired by the Finn-Osserman (1964), Chern (1969), do Carmo-Peng (1979) proofs of the Bernstein theorem, which characterizes flat planes as the only entire minimal graphs, we prove a new rigidity theorem for associate families connecting the doubly periodic Scherk graphs and the singly periodic Scherk towers. Our characterization of Scherk's surfaces discovers a new idea from the original Finn-Osserman curvature estimate. Combining two generically independent flat structures introduced by Chern and Ricci, we shall construct geometric harmonic functions on minimal surfaces, and establish that periodic minimal surfaces admit fresh uniqueness results.