時間:16:30 --
題目:高次元複素トーラス上の射影的平坦束の成す完全三角系列について
要旨:一般的に, ホモロジー的ミラー対称性により, シンプレクティックトーラス上のアファインラグランジュ部分多様体とその上の局所系の組の成す完全三角系列と, ミラー双対な複素トーラス上のある種の射影的平坦束の成す完全三角系列が対応すると考えられているが, ここでは特に,そのようなものの例として, 高次元複素トーラス上で定義される3つの射影的平坦束とそのシフトから成る完全三角系列を考える. 講演者のこれまでの研究により, そのような完全三角系列であって正則直線束を含むようなものは, 本質的には楕円曲線上で定義される3つの射影的平坦束とそのシフトから成る完全三角系列から誘導されて定まるものに限るということが証明されている. 本講演では, ホモロジー的ミラー対称性から予想される対応関係についても考慮しつつ, この研究結果の一般化について紹介する.
時間:16:30 -- 17:30
題目:要旨:n次元立方体上の自己相似集合に対するFredholm加群
要旨:A. Connesは区間の部分集合として実現されたCantor集合 (例えば3進Cantor集合) に対するFredholm加群を構成し, Cantor集合上の非可換幾何学を展開した (Academic Press, 1994). 特に, 1次元Lebesgue測度dxを"非可換化"してCantor集合上の"積分"を定義し, Cantor集合の"体積"を計算した. 本セミナーではConnesの仕事の高次元化, つまりn次元立方体上の自己相似集合Kに対してFredholm加群を定義し, n次元Lebesgue測度を"非可換化"してKの"体積"を計算する. 本セミナーの内容は丸山貴志氏 (NEC) との共同研究に基づく.
時間:15:30-16:30
題目: 代数多様体の標準計量と最適退化
要旨:Fano多様体と呼ばれる代数多様体のクラスは、微分幾何学的には「正に曲がった」代数多様体であると捉えられます。さらにEinstein条件を満たす計量が存在するか考えると、これはK安定性と呼ばれる代数的な条件と同値になります。この議論の面白いところは、元が滑らかな多様体であっても、特異点を持つ多様体へ様々に退化させた上で特性数を計算する必要があるという点です。K安定でない一般のFano多様体は何か標準的な計量と結びつけられないのでしょうか?ここでは計量の時間発展方程式を幾つか導入し、これらの方程式がある特別な退化と対応するという予想について述べます。
時間:16:30 -- 18:00
講演題目:p エネルギーのある種のミニ・マックス値とパッキング半径
講演概要:
1999 年の Juutinen, Lindqvist and Manfredi の先駆的な結果を経て, 2005 年に Grosjean は, 「閉リーマン多様体の p ラプラシアンの第1正固有値の 1/p 乗は, p を無限大に飛ばしたときに, 空間の直径の逆数の 2 倍に収束する」ことを示した. 講演者はこれらの主張の「第 k 版」を考えた. ここで「k番目の直径」にあたるのは, Grove-Markvorsen の第(k+1)パッキング半径である. そして, 「p ラプラシアンの k 番目の固有値に代替するもの」を考えるのであるが, その定式化は講演で詳しく述べたい. また, 考える下部空間は多様体に限らず, かなり一般の測度距離空間で良い事も時間があれば紹介する.
時間:16:30--17:30 ※Zoomによるオンライン開催
(16:00からonline tea time)
講演題目: 双曲曲面の測地流の弱安定葉層のde Rhamコホモロジー
要旨:多様体のde Rhamコホモロジーの定義における接束を葉層構造の接束に置き換えることによって葉層構造のde Rhamコホモロジーが定義される。これを計算することによって葉層構造の幾何学への応用が得られることがあるが、このコホモロジーはトポロジカルなものではなく解析的な対象であるため多様体のde Rhamコホモロジーの計算でやるような方法がうまく使えず一般には計算が難しい。この講演では基本的な例であるにもかかわらず長い間計算されていなかった双曲曲面の測地流の弱安定葉層のde Rhamコホモロジーの計算について話す。この内容は九州大学の蔦谷充伸氏との共同研究に基づく。
時間:16:30--17:30 ※Zoomによるオンライン開催
講演題目:接触角条件付き面積保存型曲率流に対する進行波解の安定性について
講演概要:
平面曲線の挙動を記述する偏微分方程式の一つとして,面積保存型曲率流がGageによって提唱された.ジョルダン曲線に対する上記の曲線流は,汎関数を長さとした解の,曲線で囲まれた面積を保存させる条件下における,L^2勾配流として導出された.その変分構造により,等周不等式問題の解である,円に収束することが示されている.一方,面積保存型曲率流に特定の境界条件(接触角条件)を課すと,解の収束性理論は,等周不等式問題等の変分問題に帰結できない場合がある.本講演では,上記の構造を持つ時間発展問題を考察し,異なる漸近挙動に関する解析手法について解説する.尚,本講演の内容は,東京都立大学の下條昌彦氏との共同研究を含む.
日程:11月19日, 20日, 26日
講師:山田澄生(学習院大学)
題目:タイヒミュラー理論における調和写像の応用
11月19日 3限
11月20日 1,2限
11月26日 2,3限