この世界は、四つの環境から作られていると述べました。
自然環境 社会環境 対外環境 体内環境
これらの環境は、明確に区別されるわけではなく、互いに関連、
重複(じゅうふく)しています。
そして、それらの世界は、複合構造で作られています。
そして、それらの構造の中を、「気(エネルギー)」という風が流れています。
自然環境とは、物理的、化学的また生物学的な法則に従った
世界(自界)です。
「気」はまさに、因果と言う流れで生じるエネルギーです。
「気」の流れは、確率におおよそ従いますが、絶対ではありません。
偶然や奇跡と言う乱気流が巻き起こる場合がありますが、
しかしそれらも、やがて大きな因果の流れに巻き込まれていってしまいます。
自然環境の中で、生物は特異な反応をします。
すなわち環境への侵食と汚染(おせん)、自己の増殖(ぞうしょく)です。
これらの反応は、一定の範囲の中で生物同士でバランスをとります。
生態系という構造を作ります。
社会環境は、人類の構成する世界(外界)です。
人も生物であるため、上で述べた環境への侵食と汚染、
自己の増殖を行います。
しかし人は、環境を自分の都合のいいように変えてしまう力を持っているため、
人類優位の生態(せいたい)系を作ってしまいます。
この、さらに特異で変動的な、人類中心の生態系が、社会環境です。
社会環境では、それぞれ個々の人が持つ欲望が重なり合って、
集合して、人類の大きな気となります。
そのためには、その欲望を叶える「技術」の種が、はじめに発想され
なければなりません。
「技術」は、やがて目を出し、条件が整えば育ちます。
「技術」が認められ、欲望に合致すれば、気の風が吹き始めます。
「技術」は、文明、文化、流行と言う形に成熟し、
そして、つぎつぎに変化していきます。
この大きな気は、ストレートに人に影響を与えますが、一方通行です。
その影響力は、受け取る側の状況、欲求や能力に大きく左右されます。
そして、人がそれを受け入れる、または無視すると言う選択は可能ですが、
人の反応によって、すばやくその気が対応できるような融通性は
持っていません。
たいていの場合、人は、社会環境の気の流れに翻弄(ほんろう)されます。
対外環境は、おもに人と環境の対面的な関係から作られます。
人は、「気」の塊(かたまり)です。
その「気」は、生物的「気」と動物的「気」、そして精神的「気」からなります。
基本的には、上で述べた生物の、環境への侵食、汚染、自己の増殖による
ものですが、それらが個のレベルで発生している「気」です。
生物的「気」は、生命維持のためのエネルギーを吸収、廃棄物を
出す排出を行います。
動物的「気」は、食料というエネルギーを得るための行動や、
種族を残すための行動に働きます。
精神的「気」は、人の存在価値を主張しようとする意識の働きです。
これらの「気」が、自己の外に向けば、対外環境の「気の流れ」となります。
人の「気」は、ぶつけた対象の反応によって、すばやく対応します。
すなわちその気流は、対するものの反応によって大きく影響されます。
これが、上の社会環境の「気」と違う点です。
対象がものでなく、人であると、「気」の反応はさらに特異になります。
人と人との関係には、「協調(きょうちょう)」と「対抗」があります。
「協調」は、対抗しても、互いにまたは自分に損害(そんがい)しか生じないと
判断されたときに、用いられる関係維持の方法です。
協調すれば、自分にとって、ものごとが進展する、または良くも悪くもならない、
損害を防(さまた)げるという場合に用いられます。
「対抗」は、相手より抜きに出る、相手を貶(おとし)めれる、
または相手をけん制して、自分に利得が得られるという場合に
用いられます。
「協調」志向の者は、その対外環境での気が、温和で順調、弱気、沈静気味
となります。
「対抗」志向の者は、その対外環境での気が、冷酷で不安定、強気、活発気味
となります。
対外環境が、個々の人の外に向いたものであるのに対して、
自己の内部に向いたものが、体内環境です。
外から取り込まれたエネルギー(気)が、やがて排出されるまでの流れが、
中心となります。
体内には「生体バランス」があります。
そのバランスに基づいて、気の流れが活性、沈静するのが理想です。
このバランスは、交感神経、副交感神経に支配されています。
これらは、ホルモンの分泌(ぶんぴつ)で制御されます。
また、体内には「生体リズム」もあります。
そのリズムは、上のバランスによって「気」の速さが変化しますが、
たえずリズムカルであることが重要です。
このリズムは、呼吸と心臓の拍動(はくどう)をつかさどる
自律神経に支配されています。
これらは、電気的信号によって制御されます。
そして、そのリズムを刻(きざ)む「生体パワー」が必要です。
そのパワーこそ「気」そのものですが、強すぎず弱すぎないバランスの良さと、
また、リズミカルに変化することが重要です。
このパワーは、食料の炭化物の酸素による酸化での
代謝(たいしゃ)作用によって生み出されます。
これらは、血液の流れによって制御されています。
体内環境の気は、生命の維持に働きます。
生命の維持とは、細胞、組織の新陳代謝(活性化))、
他からの汚染・侵食の防止(防御)、そして自己の癒し(修復)です。
これらの維持が多く、早く、強く必要されると、「生体バランス」は活性化し、
「生体リズム」は早くなり、「生体パワー」は強くなります。
これらの維持が、それほど必要とされなければ、生体は沈静化します。
この気の緩急(かんきゅう)が生体の反応性を良くします。
反応性の良い状態が、健康です。
緩急を活発に起こすには、外環境からの適度なストレスと、
その解消(かいしょう)が必要です。
解消のできないストレスは、生体にとって害となります。
人は鍛錬(たんれん)によって、ある程度ストレスを解消できるようになります。
ストレスを恐れすぎないことが肝心です。