かけ算の意味

3羽の鳥が入ったかごが4つあります。鳥は何羽いますか。

この問題の正答は12羽というのはすぐに分かります。

では、求め方は?

かけ算でもたし算でも求まりますが、算数は「正確にできるだけ簡単に早く、わかりやすく(きれいに)」を基本にしますので、計算の回数が少ないかけ算を使います。

ここで、問題になるのが、

1・・・ 3×4

2・・・ 4×3

のどちらの式になるかです。

小学2年生での学習ですが、テストなどで違ったほうをバツにすると保護者の方から「どちらでも同じではないか。」というご意見やご質問、または質問してくるように言われたと子どもが質問に来る時もあります。

答えは、①です(日本では)。

これは、言葉に由来しています。

日本語では「どれだけの塊がいくつある。」「◯の何倍」と言いますね。

「塊がいくつあって、一つの塊はどれだけ。」とか「何倍の◯」という言い方はしません。

英語では逆に「何倍のどれだけ」という言い回しになるのでかけ算も逆になります。

世界陸上やオリンピックのリレーでテレビ画面の上の方に「4×100m」と言うように出ていませんか?

これは、英語を基準として考えたためです。

日本でいえば「100m×4」となります。

「それならどっちもいいじゃないか」と言いたくなるところですが、塊の大きさとそれがいくつあるのかをはっきり認識できることが大切なのです。

それが理解できて「日本では3×4だけど英語圏では4×3」とまで理解できていたら素晴らしいです。

そして、これが理解できていないことが、この先大きく影響するのです。

3年生でわり算が登場します。

12羽の鳥を4つのかごに入れると、一つのかごには何羽入りますか。(塊の大きさを求める「等分除」)

12羽の鳥を4羽ずつかごに入れると、かごはいくつ必要ですか。(いくつぶんを求める「包含除」)

2つとも式は「12÷4」になりますが、意味が違ってきます。

このどちらでわっているかが大切になりますが、ここでは大きい数を小さい数でわっていれば正答が出ますし、単位は問題文を読めば分かります。

それが5年生になると商が小数になるものが登場します。

今までと違って小さいものを大きいもので割ってもよいことになります。

こうなるとどちらでどちらを割ってよいのかが分からなくなってしまいます。

2mのリボンを4人で分けて、一人何mになるか。

2mは4mの何倍か?

一人◯メートルが4人分→◯の4倍が2m→◯×4=2

4mの◯倍は2m→4×◯=2

どちらも◯に4÷2の答えである2を入れると等式が成り立たないことが分かります。

または、

2×3=6

2が分からない時の計算は?

◯×3=6

だから6÷3→積を掛ける数で割っているから同じように2÷4と考えることができるようになります。

この素地として、3年生のわり算の時に「2このケーキを4人で分けたら 一人何個もらえる?」と質問してもよいかもしれません。

わり算を学びたての子たちの中の多くは、「わり算は大きい数を小さい数で割ればよいのだ」と感じていますので、わり算をやる前なら分かったことのはずなのに「2個」と答えます。

図を描いて考えればいとも簡単にわかることなのですが…。

このように、かけ算で一度しっかり理解しておくと、どちらのわり算かが分かりやすくなります。

また、それによってそのあとの小数になるわり算や単位量当たりの大きさといった考え方も身について行きます。