発電菌

投稿日: Apr 30, 2016 7:16:51 AM

2016年4月24日(日)放送、Eテレ「サイエンスZERO」

東京薬科大学 渡邉一哉教授の解説

アメリカ、中国、韓国などで研究が進められており、日本でも9億円をかけたプロジェクトとなっている。

1980年ニューヨークのオナイダ湖の湖底からとりだされたシュワネラ菌が、2000年頃発電能力をもつことが発見された。

現在では、これ以外にジオバクター等、発電菌は約20種類におよぶ。

人間等動物は食物を消化吸収して生じた電子を酸素に渡し、水の形で体外に排出する。これに対して、発電菌は

有機物を消化吸収して電子をそのまま体外に排出する。これを土中(-極)と水中(+極)に電極を入れて外部に電気が取り出せば

微生物燃料電池となる。

ただし、餌となる乳酸や酢酸のコストが発電コストより高いので、実用的には下水処理場の活性汚泥法を発電菌で行うことが注目されている。

水処理能力も現状と同等という。

この方法なら、微生物に空気を送る必要がなくなり(下水処理場は送風機の電気代が大半を占める)発電もできるので一石二鳥となる。

国内総電気量は年間約70億kwhで、そのうち下水処理場では約0.7%が消費されている。このうち8割が削減可能という。

産業排水の処理にも利用されれば、国内総電気量の1~数%の削減につながるという。

さらに発電菌は、(+極)にリン酸(100%を輸入に頼っている)を析出し、養豚排水からの資源回収も確認されている(岐阜大)。