キム・ビアンカのUSTを見ているときに思いついたのがこの作品
性に関する話の流れの中で、女性が男性を嬲るというのはどうなんだろう?みたいな・・・実はよくい覚えてないw
ともかく、アベサダの話とかからめて、そんな話で盛り上がったときに、そこから妄想が暴走して、一つの結末がみえた
物語を書くときに、頭とケツが思い描ければ、あとはなんとでもなるというのが持論
書かずには居られなくなり、書き始めたのですが、どうせならと、キム・ビアンカみたいに毎日140文字のお話を更新するというのを、まぁ、マネしたわけです
以来、まぁ、諸般の事情で更新できない日もありましたが、基本平日毎日、この作業をやり続け、2011/3/10現在で40話を超える内容になりました。いやいや、意外と長くなっちゃって、もう少し淡白な内容にしようと思ったんですけどね
実はこの作品と平行して執筆している『夢追い人~別の夢、別の夏』とは、まぁ多少なりともクロスオーバーするところがありまして、また、研究資料としてフロイトやユングといった心理学者についても調べたりとかした結果、盛り込みたい内容が雪だるま式に増えてしまったわけですな
当初は、呟きで部分的に読んでもわかるような内容にしようと思ったのですが、そんなわけで、まったく違う内容に変わりつつありますw
以下、つぶやき履歴
エスカレーション001「どうしてこんなことにいるの?ちがうわ、ワタシ、何してるんだろう?それもちがうわ」ワタシは地下へと降りる薄暗い階段の途中で考え込んでいた。「ほんの一週間前までワタシ、普通の女の子だったはずなのに・・・ちがうわ、さえない女。それもちがうわね」
エスカレーション002再び階段を降り始める。もう、戻ることはできない。立ち止まることはできても引き返すことなんかできない。一段、また一段、ひとつ階段を降りるたびに響くヒールの音が、ワタシに暗示をかけているようでもあり、ワタシがそう思いたいだけなのかもしれない。
エスカレーション003総ての始まりは気まぐれで、他愛もない、そして可愛げのないネットでのつぶやき「あんな男最低!氏ねばいいのに」ワタシの陰鬱な、それでいて無垢で繊細な部分の一等激しい部分が顔を出しただけなのに、ただそれだけなのに。でも本当にそれだけ?
エスカレーション004「そんなあなたは是非こちらをご覧ください」ただのスパムだ。無視するつもりだったのに携帯でRikoと愚痴を言い合っているうちにうっかりクリックしてしまった。「しまった」と思ったけど、どうすることもできなかった。PCの画面に現れたものは…
エスカレーション005一瞬モニターがブラックアウトしたかと思ったら画面の中央から何か扉のようなものが現れた。それは観音開きする西洋の頑丈な扉で、女のワタシの力ではとても開きそうのない重量感があった。扉はギーィィという音を立てて…いや、そんなはずはない!
エスカレーション006空耳?携帯では相変わらずRikoが喚き立てている。でも、わたしの耳には入らない。扉の開く音、どっからしたの?このPCってスピーカ繋がっていないはずじゃぁ・・・これっていったい?開かれた扉の向こうは再び闇が広がる。えっ?奥で何か動いてるみたい #meque01
エスカレーション007カメラアングルは扉から闇の中に落ち込むよな感じ。やがて立ち止まるカメラ。何かが蠢いている。そして音?ノイズ?もはやスピーカーのことなどどうでもよかった。人の影?ところどころ白い肌が認識できた。女?うめき声?踊っている?ちがう、なにか変だわ #meque01
エスカレーション008これってもしかしてSMクラブかなんか?画面の暗さに目がなれた。そこに写っているのは四つん這いになっている男性を鞭で叩きつけている女の映像だった。変な風俗のサイト開けちゃったみたい。だけど画面を消すことができない。ゴメンRikoちょっとトラブル #meque01
エスカレーション009ワタシはしゃべり足りなさそうにしているRikoの電話を強引に切り上げ、PCに向かった。何よこれ、どういう仕組みになってるの?マウスを触ろうともキーボードを触ろうとも画面は変化しない。ctrl+alt+delも聞かない。電源を切るしかないかな #meque01
エスカレーション010ダメだ。効かない。いくら電源スイッチを押しても反応がない。とうとうワタシは覚悟をした。かなりヤバイことになっている!画面上では相変わらずボンテージ姿の女が四つん這いになった男を鞭でいたぶっている。この女、欲情している。女だから・・・わかる。 #meque01
エスカレーション011ワタシは思わず見蕩れてしまった。こういう世界があることは知ってはいたが、見るのは初めて。カメラのアングルはボンテージ姿の女性を実に妖艶に捕らえている。彼女の息遣いが伝わってくる。ワタシは微妙な体温の上昇を感じていた。ヤバイよ、これ、ヤバイ #meque01
エスカレーション012息遣いが画面の女と同期した瞬間、いや、正確には同期するほんの一瞬前、突然と画面は消えた。「なぁっ!」ワタシは何が起きたのか理解できずに思わず声を漏らしてしまった。慌ててマウスを動かす。何事もなかったかのようにマウスの起動が放物線を描くだけだ #meque01
エスカレーション013パニック。うっかり押してしまったアイコンを探すもそれはどこにもなく。ブラウザの履歴にもなにも残っていない――どうして?いや、なんで?そうじゃない!ワタシは慌てふためいていた。あの続きを見たいという衝動――そんなはずはない!でも確かに感じてる #meque01
エスカレーション014ワタシはどうしようもなくなり、トイレに駆け込んだ。鏡の中のワタシ。鏡を見つめるワタシをなぶるような目つきで睨んでいる。ワタシはそんなんじゃない。SMなんて興味ない!鏡の中のワタシは何かの呪縛から解かれたような表情をしている。解放或いは覚醒? #meque01
エスカレーション015不意に携帯が鳴る。Rikoからだ。鏡の中のワタシは姿を消した。もしもし、うん、終わった、さっきはゴメン、ううん、なんでもないの。ちょっとPCがトラブっただけ。この時私はRikoに救われた。だけど聞こえる。邪魔しないで!と舌打ちする内なる声が #meque01
エスカレーション016そう、始まりはあまりに突然で、滑稽だった。ワタシの中のドス黒い部分が、いや、ちがうわ、一番激しい部分、それも違うわね。最初は点ほどの小さなものだったのに、それは波紋のようにワタシの心の中に広がり侵食していった。愛欲・愛憎・狂喜・虚像・虚無 #meque01
エスカレーション017引き返すことはできたのかもしれないわ。でも慣性に逆らうにはそれを上回る力が必要なの。ワタシは階段を下りているんじゃなく、小石が崖を転がるように 下へ、下へと落ちているんだわ。そこにはきっと奈落が口をあけて待っている。でも不思議。怖くないの #meque01
エスカレーション018鏡の中のワタシに背を向けてトイレを出る。見なくてもわかるわ。鏡の中のワタシは出てゆくワタシの背中をイラらしい笑みを浮かべながら見送っているの。あの時わからなかったことが今ならわかるって、そういう感覚。でも無垢なワタシは全てが恐怖だったわ #meque01
エスカレーション019いけない。もうこんな時間。週明けのプレゼンに向けての資料を作成していたらいつの間にか一人に。ふと息抜きに立ち上げたtwitterのせいで仕事がすっかりストップ。デスクにもどり、しばらく画面を見ていたが、何も起きない。もう大丈夫みたいね #meque01
エスカレーション020戸締りをして事務所を出る。エレベーターに乗ると事務所の扉に自分の姿が写り込んでいるのが見えてドキッとする。怯えすぎよ。エレベーターのドアが閉まる。扉に写りこんだ自分の姿が赤いドアの中に消えていく。え?なんで赤なの?クリーム色のはずじゃ! #meque01
エスカレーション021歯車が狂ってしまっている。1Fのボタンを押すのも忘れ、しばし呆然とする。エレベータはドアが閉まったまま沈黙している。はっと思い、パネルのボタンを押そうと右手を出す。ない!そこにあるはずのパネルがない。嘘、な、なんで左側にパネルがあるのよ? #meque01
エスカレーション022恐怖に身がすくむことよりもこの場から早く立ち去りたいという気持ちが優先する。一瞬戸惑いながらもワタシは左側に移動した操作パネルの1Fのボタンを押そうとして、ハッとする。1から14までの数字が全て左右逆になっている!まるで鏡に映したように! #meque01
エスカレーション023なによ!なんなのー!恐る恐る逆向きになった「1」を押すが反応がない。「開」のボタンを押すが反応がない。「どーすればいいの、どーすれば」パネルの文字は全て鏡写し、逆向きになっている。ふと「8」という数字に目が留まった。これなら動くかも知れない #meque01
エスカレーション024ピンクのマニキュアのついた指先が8の文字盤をそっと押す。グーン。エレベーターは気だるそうに上に向かって動き出す。4階のフロアから5、6.7と昇っていく。助かったと思った瞬間に強烈な目眩に襲われる。立っていられない。やだ、8じゃなくて∞なの? #meque01
エスカレーション025気を失う寸前、ワタシは一瞬の無重力感のあとエレベーターの扉が開くのを感じ、倒れこむようにエレベーターの外に出た。「どうしました?大丈夫ですか?」声をかけてくれたのは何度か見たことがある他の階の中年のサラリーマン。独特の加齢臭に嫌悪感を覚える #meque01
エスカレーション026「だ、大丈夫ですから」できれば早くそばを離れて欲しいと、そんなことを思いながらも、自分の身に何が起きているのかを考えると、とても一人ではいられない気分だった。こんなとき、アイツがいてくれたら…ちがう、あんな最低の男、全部アイツが悪いんだわ! #meque01
エスカレーション027ワタシは軽く会釈をして、その場から逃げるように外に出た。幻覚なのか、それとも霊的なことなのか?そんなのどうでもいいわ。地下鉄の駅に向かうワタシのヒールの音がビルの谷間に木魂している。いつもと同じ風景のはずなのにどれも浮世離れして見えてしまう #meque01
エスカレーション028一人でいるのが怖い。でも今もし誰かに話しかけられても、警戒レベルは下げられないわ。肉食獣の寝床に放り込まれた兎のように震えるしだけ。地下鉄の改札の扉、ホームに鳴り響く警笛音、どこからともなく聞こえてくる誰かの笑い声。全てが恐怖の対象だった #meque01
エスカレーション029夜の地下鉄。疲れきったサラリーマン、酒臭いオヤジ、携帯をずっと眺めているOL、ヘッドフォンから漏れてくるシャカシャカと耳障りな音、携帯ゲームに夢中にな若者。みんな他人のことなんか気になんかしていない。孤独でわがままで存在が希薄なのに鬱陶しい #meque01
エスカレーション030でも、妙に落ち着く。このゴミゴミした空間こそワタシの居場所なのね。そんなことを思いながら地下鉄の扉にもたれ、真っ暗な窓の外を眺める。ふと窓に2重に映りこんでいる自分の姿に違和感を感じる。手前と奥とで表情が違うような?怖くなって窓に背を向ける #meque01
エスカレーション031誰にも構って欲しくない。でも一人でいられない。それは葛藤というにはあまりに身勝手で傲慢でナンセンス。でも、ナンセンスというのはまさに今起きているこの現象よ。震えそうな身体を必死で堪える。誰にも気付かれたくない。幻覚に嬲られる自分の姿なんて! #meque01
エスカレーション032ワタシは思い出していた。高校1年の夏、朝のラッシュの中で体験した恐怖の体験。ワタシは声も出せずにただ、じっと耐えるしかなかった。あの時の記憶、あのイヤらしい指使い、ベトベトと脂ぎった感触。あの臭い、父と同じ臭い。そう、あのときからなのだ。 #meque01
エスカレーション033昨年逝ってしまった父。とうとう口も利かないままだった。あの時のおかあさんの目、怖い。彼女は本気でワタシを許さないという目で睨んでいた。あのときからワタシに家族はいない。独りぼっち。でも、どうしてなの。どうしてこんなことを思い出させるの? #meque01
エスカレーション034ワタシは不快感に身をよじりながら、どうにか誰の関心も引かずに駅に降りることができた。あとはこの人の波に乗って地下鉄の改札を出て、アパートまで歩いて15分弱。なにか耳鳴りのようなものが聞こえるけど、そんなことどうでもいい。早く帰りたい。 #meque01
エスカレーション035頭上を街頭が通過するたびに、自分の影に怯える。ヒールの音がコツコツと夜の街に響き渡る。鼓動が激しさを増し、足音は強く、早く、さらに強く、そして早く。目に映るもの、耳に聞こえるもの全てが怖い。叫びたい。鳴き出したい。でも歯を食いしばり堪える #meque01
エスカレーション036バッグの中に手を突っ込んでカギを探す。携帯にメールの着信音。爪がキーホルダーに触れる。早く、もう我慢できない!早く!声が少しだけ漏れていた。もう感情を抑えきれない。バッグから部屋のカギを取り出す。鍵穴にうまく入らない。体中の血液が沸騰する #meque01
エスカレーション037 もう、もう、何よ!早く、早くして!誰に向かって言うでもなく、そう、強いて言うのであれば冷たく硬く閉ざした鉄のドアに対してだろうか。ようやくカギが鍵穴に滑り込む。カギをまわし、扉を開けて真っ暗な部屋の中に入った時にはすっかり泣き出していた #meque01
エスカレーション038 それからどうしたのかは覚えていない。化粧も落とさず、着の身着のままでベッドにもぐりこんだらしい。らしいというのは、今、こうしてはっきりとした意識でベッドの上に横たわっているから。もう3時を廻っているのね。こんな時間に目が覚めるなんて最悪ね #meque01
エスカレーション039ワタシは一瞬ためらった。このまま起きてシャワーを浴びたい。だって、誰かに犯されたような嫌な気分。体に嫌な汗がこびり付き、体液が乾いてカピカピしたような感覚が微かにある。夢とも現実とも区別が付かない妄想と錯覚に取り憑かれたなんて馬鹿馬鹿しい #meque01
エスカレーション040でも、言い知れない不安がワタシを包む。我慢しよう。夜が明けるまで。そうだ、何か他のことを考えよう。でも頭に浮かぶのは、あの淫らな映像。それでも構わない。怖いのはいや。なぜだろう心が落ち着いてくる。そしてその夜、ワタシは不埒な夢に溺れた。 #meque01
エスカレーション041暴力的な陽射しがカーテンから漏れる。朝だ。シャワーを浴びて支度をしなきゃ。「しなきゃ、どうなるの?」そんなことを思いながらも身体は脳からの指令なしに着替えやタオルを用意している。そう全てはオートマティック。ワタシの意志など関係ないのよ。 #meque01
エスカレーション042シャワーから冷たい水が噴出す。ただ、ぼーっとその様子を眺めている。身体は動いているけど頭は全く働いていない。気がつけば湯気が立ち上っている。少々熱めに温度設定をしたことも忘れ、思わず「アツッ」と手を引っ込める。その瞬間、やっと目が覚めた。 #meque01