誰もが知っているカチカチ山のお話。だけど子供の頃、この物語を聞かされたとき、何か違和感を感じた。最近になって調べてみると、この物語の前半部分は、あとから付け足されたお話で、最初は狡猾なウサギが愚鈍なタヌキをいじめ殺す――つまり『愚者にはなるな、お人よしにはなるな』というお話だったらしい。しかし後に前半部分のおじいさんとおばあさん、ウサギとタヌキという人間関係からウサギの行為を正当化する理由――タヌキは愚かなだけではなく悪事を働いたのでウサギに殺されても当然――というお話に作り替えられたのでした。子供の頃感じた違和感を解決すべく、物語を小生なりにホラーの要素を入れて再編してみました。後に知ったのですが、かの太宰治もこのカチカチ山を独自の解釈で書いたそうです。それにはきっと、遠く及ばないでしょうが、十分楽しんでもらえる作品に仕上がったと思います。