車寅次郎の愛した女、リリー

歴史さとう

私はずっと渥美清の「男はつらいよ」を見てきました。私の娘二人もいつもお正月に王子の映画館で見ていたものです。まだ二人が小さいときには、寅さんを実在の人物と思っていて、二人に「寅さんは、今どうしているの?」なんて聞かれたものです。私は、「映画に出てないときは、真面目に働いているんだよ」なんて答えていました。でも大きくなると、二人ともよく判ってきて、「寅さんって、あれで食べていけるのかな?」なんて心配するようになっていました。

私は全作を見ていて、どのマドンナも好きですが、とりわけ浅丘ルリ子演ずるリリーが大好きでした。浅丘ルリ子は、日活時代の映画でも好きでしたが、でもこの寅さんのマドンナ役が私には一番好きでした。

彼女は、リリーという役で出ているわけで、これは実に多いマドンナ役でした。複数回マドンナ役になった女優もいますが、浅丘ルリ子だけは、リリーとして以下の4回出演しています。

第11作 男はつらいよ 寅次郎忘れな草

第15作 男はつらいよ 寅次郎相合い傘

第25作 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花

第48作 男はつらいよ 寅次郎紅の花

いつも私も家族も、どうしてリリーが寅さんと一緒にならないのかなあ、とばかり思ってきました。でも仕方なかったのでしょうね。もう時間は元には戻りません。これらの映画をまた見直すしかないのです。