カラシニコフの伝説

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11月2日(2009)のロシア紙「プラウダ」に「カラシニコフ AK-47は過去の武器となる」という記事があった。

AK-47は設計者の名前からカラシニコフと呼ばれ、ソビエトが世界中に売りまくった事もあってその名を知られ、伝説的な突撃ライフルとなっている。まあ、このあたりの事は、よく知っている人が本に書いたり、サイトに書いたりしていると思う。

記事には、

60年近くにわたって使用され、100以上の型がある。55カ国以上が採用して来た。7500万丁が世界中で製造され、そのうち40000万丁がロシア製

とある。

紛争地域には、必ずカラシニコフが大量に流通しているが、弾丸が供給されていない場合も多いらしい。

ソ連の武器売買は、南米にはキューバ経由で、ヨーロッパとアフリカにはPLO経由での販売がなされていた。

南米のゲリラは、麻薬カルテルの護衛を引き受け、カルテルがアメリカやヨーロッパにコカインを売った収益から活動資金を得ている。ペルーのセンデル・ルミノソのように自らコカイン・ビジネスのすべてに関わっている組織もある。

南米の左翼ゲリラは、このコカイン資金でキューバから武器を買う。キューバは南米への武器卸問屋となって来たわけだ。もちろん、自らも麻薬ビジネスに手を出している他、キューバ軍を傭兵として各地に派遣している。

カストロのキューバ軍派兵代金の取り立ては厳しいそうで、恨みを買っているという。

ヨーロッパでは、イタリアの赤い旅団、ドイツ赤軍などの左翼テロ集団の武器入手先はPLOだった。ソ連がPLOに武器を卸し、PLOがヨーロッパに販売した。

PLOはアフリカにも武器を販売していた。今は中国製になったというが、カラシニコフである事に変わりはない。

パキスタンの武器闇市場には、こういう武器があふれかえっていると言われ、タリバンなどはここで武器調達をしているのだと思う。

アフガニスタンやパキスタンで、タリバンに武器を供給しているのは誰だろうか? あれだけ戦闘を続けていて、武器の消耗も激しいはずなのに、どうなっているのかと思う。

ソ連がアフガニスタンに侵攻していた頃、ソ連軍と戦うアフガニスタン・ゲリラは、パキスタンを介して、アメリカから全面的な支援を受けていた。アメリカは中国から武器を買い、パキスタン経由でアフガン・ゲリラに武器を供給していた。このため、前線で戦うアフガン・ゲリラの多くが、アメリカに支援されているのを知らないでいた。

アメリカが中国製のカラシニコフを、ソ連軍と戦うイスラム教徒に供給する・・・冷え冷えとした話だ。

カラシニコフの伝説というのは、まあ、こういう内容のものばかりで、人が生きていく糧になるようなものはない。

ロシアの新しい小銃は、来年お披露目になるようである。