中国ネット小説簡易年表

中国ネット小説がどう発展してきたのかを、ざっと概観(工事中)。

ざっくりメモなので、あまり信用しないでください。詳しくは、参考資料に挙げている文献を読んで。

「〜〜期」は、自分の方で便宜上つけた呼称なので、専門家は別の呼び方をしているはずです。

■前史

1989年、海外の中国人留学生グループが「華夏文摘」を設立。LISTSERVを用いて、仲間内のメーリングリストに作品を配信する形だった。

■黎明期(1990年代)

1991年、王笑飛(王笑飞)が「中文詩歌網(中文诗歌网)」を設立。中国最初のネット文芸誌「新語糸(新语丝)」が登場。

1991年4月、少君が『奮斗与平等(奋斗与平等)』を発表。中国最初のネット小説家とされる。

1992年、米国インディアナ州に留学していた中国人学生がUsenet上に「中文新聞組(中文新闻组)」を設立。世界で中国語のネット小説が読まれるようになる。

参考:UsenetとNewsgroups: Usenetとは何ですか?

1993年3月、詩陽(诗阳)がメールで詩を配布し、出版される。中国最初のオンライン詩人とされる。初期のオンライン詩壇は女性が優勢を占めていた模様。

1998年、台湾の作家・蔡智恒の作品『第一次的親密接触』を発表。大学を舞台にした恋愛小説。翌年、書籍化されてヒット。ネット小説に注目が集まるきっかけとなった。

1998年、香港の作家・黄易が『大唐双龍伝』、台湾の作家・莫仁が『星戦英雄』を発表。

1999年、「榕樹下」や「博庫」といったサイトが出現し、ネット小説が盛り上がる。


※欧陽友権は、1990年代に活躍した作家を「第一期」に分類。

■発展期(2000年代前半)

2000年ごろから、ネット小説は従来より幅広い層に受け入れられ、商業化が盛んになる。女性小説家の増加。

2003 年、「起点中文網」が VIP 制度を実施。作家と掲載サイトが契約できる制度。ウェブからプロ化しやすく。

2004年、周行文『重生伝説』が開始、人気を博す。「重生」は「転生、生まれ変わり」の意。

2004年、阿越『新宋』が開始、人気を博す。 初期の穿越小説。「穿越」は「タイムスリップ」の意。

※欧陽友権は、2000〜2004年に活躍した作家を「第二期」に分類。

■爛熟期(2000年代後半〜)

2005年、「起点中文網」が年収制度を導入。固定給+インセンティブが契約作家に支払われる形。

2005年、玄幻小説の流行(「玄幻年」と呼ばれる)。作品数の増加、メディアミックス化などの傾向。盗墓の代表作であり、多くのフォロワーを生んだ天下霸唱『鬼吹灯』が登場。

2006 年、玄幻鬼怪小説(ホラー)が隆盛。玄幻鬼怪は「東方修仙」と「盗墓」などのジャンルへと派生。

2006 年、盗墓小説が隆盛(「盗墓年」)。以降も盗墓小説の人気が続く。

※欧陽友権は、2005年以降に活躍した作家を「第三期」に分類。

■参考資料

中国語版Wikipedia - 网络文学

https://zh.wikipedia.org/wiki/%E7%BD%91%E7%BB%9C%E6%96%87%E5%AD%A6

百度百科 - 网络文学

https://baike.baidu.com/item/%E7%BD%91%E7%BB%9C%E6%96%87%E5%AD%A6/152347

中国のネット小説の物語論的構造及びそれを生み出したネットコミュニティのあり方 : 穿越小説を例に

https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/58601/1/Huiming_Qiu.pdf