本の話

最近読んだ本の話などをします。

■2019年5月20日(月)

なんだか変な騒動に巻き込まれてしまった、津原泰水『ヒッキーヒッキーシェイク』(幻冬舎)。

すごく面白いので、広く読まれてほしいところ。今回の騒動が、早川書房から6月に刊行される文庫版の追い風になってくれれば良いけれど……と書くと、いささか不謹慎だろうか。


『ヒッキーヒッキーシェイク』の主題は「引きこもり」。

物語の中心となるのは、タイム、パセリ、セイジ、ローズマリー——サイモン&ガーファンクルの演奏で有名な『スカボローフェア』の歌詞にちなんだコードネームを持つ引きこもりたち。

本作は、頭の中にバグを飼い、社会のバグのような存在である彼らが、自称・引きこもりカウンセラーの竺原丈吉(JJ)に指嗾され、不気味の谷を越えるバーチャルアイドルやら、トンチキなUMAやらを創造していく群像劇だ。

場当たり的なのか深慮遠謀があるのかサッパリ分からない竺原の計画を実行していくうちに、引きこもりたちは自分の人生と向き合い、成長していく。そして、竺原個人の過去や目的が明らかになっていき……というストーリーが、スピード感のある文体に乗って紡ぎ出される。

話運びや文章のテンポが速く、読後感はさわやか。津原泰水を怪奇小説でしか知らない読者は、いささか面食らうかもしれない。


■2019年5月5日(日)

『Dモーニング』掲載のマンガ『どくヤン!』作中で登場した本を調べました。

▼第一話

・3ページ目

ドストエフスキー『罪と罰』上巻(新潮文庫)

宮部みゆき『模倣犯』1巻(新潮文庫)

野崎まど『2』(メディアワークス文庫)


・4ページ目

又吉直樹『火花』(文藝春秋)

住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉社)

谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』(角川スニーカー文庫)

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)


・5ページ目

池波正太郎『鬼平犯科帳』 1巻(文春文庫)

池波正太郎『男の作法』(新潮文庫)

鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』1巻(電撃文庫)

草野原々『最後にして最初のアイドル』(ハヤカワ文庫JA)

※『最後にして最初のアイドル』は作画担当のカミムラ晋作さんに教えていただきました。


・6ページ目

池井戸潤『下町ロケット』(小学館文庫)


・10ページ目

上林暁『春の坂』(私家版)


・16ページ目

藤井太洋『ハロー・ワールド』(講談社)

山岡荘八『徳川家康』18巻( 山岡荘八歴史文庫)

隆慶一郎『影武者 徳川家康』上巻(新潮文庫)

東野圭吾『探偵ガリレオ』(文春文庫)

不明(※左端の人)


・17ページ目

藤井太洋『HELLO,WORLD』

山岡荘八『徳川家康』18巻( 山岡荘八歴史文庫)

東野圭吾『探偵ガリレオ』(文春文庫)


・20ページ目

丹道夫『らせん階段一代記』(講談社サービスセンター)


▼第二話

・2ページ目

今村昌弘『屍人荘の殺人』(東京創元社)


・9ページ目

夏目漱石『夢十夜 他二編』(岩波文庫)


・12ページ目

夏目漱石『夢十夜 他二編』(岩波文庫)

ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』(河出文庫)

渋澤龍彦『うつろ舟』(河出文庫)

夢野久作『ドグラ・マグラ』上巻(角川文庫)


・16ページ目

『広辞苑』(岩波書店)

夏目漱石『こころ』(新潮文庫)


▼3話

・5ページ目

香坂燈也『子づくりは息子の嫁と』(フランス書院文庫)

庵乃音人『ゆうわく巨乳島』(竹書房ラブロマン文庫)

なぎさ薫『雪国温泉旅館』(フランス書院文庫)


・6ページ目

葉月奏太『よがり村』(竹書房文庫)


・7、8、10、16ページ目

斎藤孝『だれでも書ける最高の読書感想文』(角川文庫)

■2019年5月4日(土)

『ジャンプSQ』2019年6月号をパラパラ。真っ先に見るのは葦原大介『ワールドトリガー』。

移籍後、1号あたり週刊2話分掲載のペースだったが、今号は1話分しか載ってない模様。同じ号の中で分割掲載されているのかと思って目次を確認してしまった。

分量が少ないのは残念だけど、葦原さんの健康第一で進めてほしい。

■2019年5月3日(金)

アサイ『木根さんの1人でキネマ』6巻(白泉社)を読む。相変わらず、ある種のマニアがドキッとするネタが満載。

また、百合マンガとしての側面が強くなってきている印象。そろそろ百合マンガとして評価するレビュアーが出てきそう。

■2019年4月25日(木)

講談社の電子雑誌『Dモーニング』で連載開始した『どくヤン!』が面白い。

http://d.morningmanga.jp/viewer/1394/1386

本さえ読んでいれば在学を許される、イカれたヤンキー校・私立毘武輪凰(ビブリオ)高校を舞台にしたギャグマンガ。

『最狂超プロレスファン烈伝』のビブリオマニア版を、『魁!男塾』のノリで味付けした感じの作品……と言って伝わるだろうか……?

■2019年4月23日(火)

三方行成『流れよわが涙、と孔明は言った』(ハヤカワ文庫JA)を読む。

ネット小説サイト「カクヨム」で注目され、ハヤカワSFコンテストをきっかけに商業デビューを果たした作家の第2短編集。

奇想とユーモアとインターネットミームで形成された奇譚集といった趣で、筒井康隆の悪ふざけ色の強い短編集を彷彿とさせる内容。

そろそろ、ネットミームに頼らない長編作品を読んでみたい。