落合恵美子 「21世紀家族へ 〜家族の戦後体制の見かた・超えかた〜」ゆうひかく選書
よく「家から核家族へ」といわれるが、1955年から75年にかけて長男が「家」を存続させ他の兄弟姉妹はその血縁ネットワークを利用しながら都会で「核家族」を作ったのだと分析し、これが「家族の戦後体制」の安定期であり「近代家族」(専業主婦が2〜3人の子どもを育てるというイメージの家族)が大衆化した時期だと捉えた本である。次の世代は最も近代家族らしい家族(愛と性によって結ばれ対等な関係の夫婦)を目指したが、孤立無援の育児が母子密着の問題を生み、自立に悩んだ主婦は(かつて「リブ」が主張した苦悩や怨念を体現したような)「思秋期」に陥ることになったと整理。また兄弟姉妹が少ないこの世代では双方の「家」の継続の問題にも直面していると指摘している。さらに97年の新版では、従来の役割分担から解放された男性の出現にも触れ、家族にぞくすることが自明でも必然でもない社会が到来し、個人を単位とした社会制度の見直しが「主婦」を袋小路に追い込む危険を追記している。
私たちがどういう時代を生きているのか、わかりやすく整理していて、特に「主婦」必見の一冊だと思う。
でるくい創刊号 1999年11月