第09回例会 (2015. 3. 29)

Data pubblicazione: 14-mar-2015 13.27.00

 片山 浩史  

17世紀イタリア小説:ジョヴァンニ・フランチェスコ・ビオンディの作品を中心に

場所:立命館大学衣笠キャンパス敬学館235教室

参加者:片山、土肥、霜田、秋葉、星野、竹下、Gallo、Ichitani、太田、大西、國司

近畿大学で非常勤講師を務める片山浩史氏に、「17世紀イタリア小説」をテーマに発表していただきました。「17世紀イタリア小説」といっても、今日ではあまり顧みられることがないですよね。ですが、当時の資料を見ると、小説というジャンルに属するような作品が非常に多く刊行されていたことが分かります。この発表では、「17世紀イタリア小説」に関するジェネラルな情報が紹介された後、その代表者と目されるジョヴァンニ・フランチェスコ・ビオンディについての解説がありました。

片山氏によれば、17世紀に小説形式の文学作品が盛り上がりを見せたのはイタリアに限ったことではなく、とりわけヘリオルドス『エチオピア物語』を中心とするギリシャ小説が再発見されて以降、ギリシャ小説を範に取った作品が汎ヨーロッパ的に大流行しました。その火付け役となったのは、ジョン・バークレイによるラテン語小説『アルゲニス』です。それは、ギリシャ小説の形式のうちに政治的教訓と歴史的寓話を織り交ぜたromanceとでも説明すべき作品でありまして、小説というジャンルがそれまで抱えていた「通俗」というネガティブなイメージを払しょくするほどの、非常に大きな成功を収めたといいます。

このバークレイとの類似が指摘されるのが、小説家・歴史家ジョヴァンニ・フランチェスコ・ビオンディです。同時代人からの評価も非常に高く、革新的な文体の持ち主であったことから、イタリアにおける17世紀小説の先駆者とみなすに値する人物です。それでは、彼がものした作品は一体どのようなものだったのでしょうか。今回は時間が無くなってしまったので、次回、主要作品L'Eromena(1624)およびLa donzella desterrada(1627)に関する踏み込んだ分析をしていただくことになりました。Non vediamo l'ora!

(國司記)